ボーリング・カンパニーのホーソン試験トンネルの除幕式で展示されている掘削機械。アメリカ、カリフォルニア州ホーソーンで。2018年12月18日。
Robyn Beck/Pool via REUTERS
- イーロン・マスクのボーリング・カンパニーが、現在の約3.7メートルよりも広いトンネルの建設を検討中と報じられている。
- ブルームバーグによると、プレゼンテーションでは約6.4メートルのトンネルに輸送コンテナが2つ並んでいたという。
- 専門家は、この変更は実現可能ではあるが、プロジェクトのコストは大幅にアップするだろう、としている。
イーロン・マスク(Elon Musk)の掘削スタートアップ、ボーリング・カンパニー(Boring Company)が新たに幅の広いトンネルを企業に売り込んでいることが、ブルームバーグ(Bloomberg)が入手したプレゼンテーション資料で明らかになった。
それによると、この新トンネルは直径21フィート(約6.4メートル)で、現在の規格の12フィート(約3.7メートル)より広く、標準サイズの輸送コンテナを2つ並べて通すことができる広さだという。
Insiderは確認のためコメントを求めたが、ボーリング・カンパニーからの回答はなかった。
メディアの多くがボーリングは旅客輸送に注力していると報じているが、同社はウェブサイトに、現在の12フィートのトンネルを使った貨物輸送ソリューションについても掲載している。それによると、専用の輸送プラットフォームに高さ9.6フィート(約2.9メートル)の輸送コンテナが「ギリギリ」収まるとしている。
より大きなトンネルのプレゼンテーションでは、コンテナ1つ用と2つ用、各サイズのバッテリー駆動式輸送機が紹介されている。専門家らはブルームバーグに対し、このアイデアはコスト面がうまくいけば成功するだろう、と語った。
ワシントン大学のサプライチェーン輸送・物流センター(Supply Chain Transportation & Logistics Center)の創設者、アン・グッドチャイルド(Anne Goodchild)は、このコンセプトは「完全に実現可能」だとしながらも、やはり地上の道路の方がトンネルと比較して低コストで魅力的だと述べた。
ボーリング・カンパニーによると、同社のループ・トンネルには1マイル(約1.6キロメートル)あたり約1000万ドル(約11億8000万円)かかるが、最近完成したラスベガスのプロジェクトは、1.7マイル(約2.7キロメートル)で4700万ドル(約52億740万円)だったという。従来型のトンネル・プロジェクトの多くは、1マイルあたり1億ドルから10億ドル(約111億円から1110億円)かかるだろうと同社は述べている。
重建設業界の団体、モールズ(Moles)のエグゼクティブ・ディレクター、トム・グローク(Tom Groark)によると、掘削にかかるコストはトンネルの大きさ以上の割合で増加する。その主な理由は、穴からすべてのものを取り出すのが難しいからだという。
それでも、ボーリング・カンパニーはすべてのプロジェクトで標準規格を採用することでコストを抑えることができているという。
「機械に仕事を合わせていることが大きい」とグロークは述べた。
スイスのスタートアップ企業も、地下トンネル・ネットワークで貨物を輸送することを目指しているが、ボーリング・カンパニーとは異なり、世界的に使われている輸送コンテナではなく、独自の自律型モジュールを使うという。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)