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米、過去1200年で最悪の干ばつに見舞われる恐れも —— 専門家が警鐘

デスバレー

カリフォルニア州にあるデスバレー国立公園では6月17日、華氏130度(摂氏約54度)を観測した。

Patrick T. Fallon/Getty Images

  • 熱波に見舞われたアメリカのカリフォルニア州は、カラカラに乾いている。その水位は史上最も低くなっている。
  • 専門家らは、ここ1200年で最悪になるかもしれないアメリカの干ばつは、気候変動の影響だと話している。
  • こうしている間にも西部や南西部では猛暑が続いている —— そして、夏の暑さのピークはまだこれからだ。

アメリカ西海岸の住民は、長期間に及ぶ干ばつと記録的な暑さによる、カラカラに乾いた悲惨な夏を経験するだろうと、専門家たちは話している。

ガーディアンが取材した科学者に至っては、アメリカが近代史上最悪の干ばつを経験する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

「いま起きている干ばつは、わたしたちが少なくともここ1200年で目にしてきた中で最悪のものとなる可能性があります。そして、その原因は人類が引き起こした気候変動に直接関連しています」と、カリフォルニア大学アーバイン校の地球システム科学の准教授であるキャスリーン・ジョンソン(Kathleen Johnson)氏はガーディアンに語った。

カリフォルニア州では今、河川や貯水池が干上がり、その水位は記録的な低さとなっている

中でも、カリフォルニア州で2番目に大きい貯水池であるオロビル湖の水位は下がり続けていて、カリフォルニア州の電力供給に壊滅的な影響を及ぼす恐れがある。これは、オロビル湖の水を使ってエドワード・ハイアット水力発電所が発電しているからだ。CNNによると、水位の低下によって発電所の閉鎖を強いられ、約80万世帯で電気が使えなくなる可能性もあるという。

熱波に見舞われたカリフォルニア州のニューサム知事は先週、州全体に緊急事態を宣言した。知事は住民に対し、この暑さで「電力使用量が大幅に増え、カリフォルニアの送電網に大きな負担がかかり続けるだろう」として、節電を呼びかけた

熱波による電力トラブルは、テキサス州でも起きている。同州で電力網を運営する電気信頼性評議会(ERCOT)は、州内にある多くの発電所が先週、電力の供給を停止したと述べた。テキサス州では数カ月前、記録的な寒波の影響で大規模停電が起き、住民が真冬の寒さの中で暖房を使えなくなった

ワシントン・ポストの6月18日の報道によると、アメリカ全体では4000万人以上が先々週、自身が生活している場所で気温37度以上を経験したという。最高気温の記録は、ユタ州ソルトレークシティーでも6月15日に更新された。華氏107度(摂氏約42度)は、6月の最高気温としては147年ぶりの高さだった。

アメリカの天候トラブルをさらに悪化させそうなのは、夏の暑さがまだピークに達していないということだ。

National Centers for Environmental Informationの1981年から2010年までのアメリカ各地の気温データによると、地球に届く太陽光線の量は6月21日の夏至にピークに達する傾向がある。ただ、アメリカの気温は7月にかけてさらに上がることが多い。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、2020年の夏はアメリカがこれまでに経験した最も暑い夏の1つだったとし、中でも8月は特に「乾いた、破壊的な」暑さだったと報告している。

[原文:The US could be facing its worst drought in 1,200 years, and summer hasn't even reached its peak yet.

(翻訳、編集:山口佳美)

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