トヨタ・ベンチャーズが「起業家ファースト」出資にこだわる理由。「空飛ぶタクシー」上場の成功体験

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トヨタ自動車の豊田章男社長。

REUTERS/Steve Marcus

ジム・アドラーは、自身が資金を拠出するスタートアップ創業者の立場になって考えることを徹底してきた。過去に投資家たちが犯してきた過ちをくり返すまいとの思いからだ。

「自分がかつて悪質な投資家から受けた傷はいまも消えない」(アドラー)

アドラーがマネージングディレクターを務めるトヨタ自動車のベンチャーキャピタル部門、トヨタ・ベンチャーズ(Toyota Ventures)は、自動運転や物流倉庫オートメーション、空飛ぶタクシーなど、多様な分野に対応するテクノロジー開発を手がけるスタートアップに資金を提供してきた。

同社の投資ポートフォリオには、電動垂直離着陸機(eVTOL)のジョビー・アビエーション(Joby Aviation)、自動運転シャトルバスのメイ・モビリティ(May Mobility)、電動スクーターのレベル(Revel)などが名を連ねる。

トヨタ・ベンチャーズはこの6月、1億5000万ドル(約165億円)規模のファンドを新たに2つ立ち上げると発表した

一方は、ヘルスケアやエネルギー、金融など、さまざまな産業分野のテック企業を支援するもの。もう一方は、環境サステナビリティに特化する。

投資対象となる産業分野はこれと決まっているわけではないものの、とくに関心を寄せている分野は、サプライチェーン、スマートファクトリー、製造テクノロジー、モビリティだという。

「ひどい」投資家ばかり

アドラーは、トヨタ・ベンチャーズのように他事業を展開する親会社を持つベンチャーキャピタルが、出資先の企業を使って親会社の短期的な収益をあげることに拘泥しすぎると指摘した上で、そうしたベンチャーとは一線を画する経営をしたいと語る。

トヨタ・ベンチャーズの設立支援にかかわる2017年までに、アドラーは電子投票システムのボートヒア(VoteHere)などスタートアップ5社を立ち上げてきた。事業をサポートしてくれる投資家もなかにはいたが、ほとんどは「ひどい人たちだった」という。

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