コロナ禍は女性起業家の87%に悪影響。SK-IIが渋谷区と始めたプロジェクトに注目

かねてからBusiness Insider Japanが報じてきている通り、政界や経済界のリーダー職に女性がなかなか登用されなかったり、トップ校に女子学生が極端に少なかったりと、日本のジェンダーギャップにはまだまだ開きがある

しかし決して恵まれているとはいえない環境下であっても、その運命に立ち向かい、現状をよりよいものにしようと試みている女性たちがいる

グローバルスキンケアブランドのSK-IIは、女性たちを支援するために2015年より「運命を、変えよう~#CHANGEDESTINY~」というタグラインを掲げて発信し続けてきた。これまではブランドとして、機運づくりや意思表示によるサポートを続けてきたSK-IIだが、この度はより一歩踏み出した具体的な支援に乗りだすことが明らかになった。主なターゲットはコロナ禍で影響を受けた女性起業家・事業主たちである。

第3弾動画は、女性起業家・事業主をフィーチャー

出典:SK-II Japan

SK-IIブランドが手掛けるSK-II STUDIOは、競泳の池江璃花子選手を取り上げた「センターレーン」やプレッシャーに立ち向かう女性アスリートを描いた「VSシリーズ」を公開し、アスリートたちを一人の女性の目線から描くことで、運命に立ち向かう女性一人ひとりを応援してきた。

そして映像シリーズ第3弾の「それぞれのスタジアム」では、アスリートだけではなく女性起業家をフィーチャー。しかもパンデミックによって影響を受けた女性にフォーカスしている。

SK-IIが取り上げているのは、アンティーク着物店の経営者・小田嶋 舞氏、和菓子店・大三萬年堂HANAREオーナーの安原 伶香氏、おにぎり店経営者の米山 直子氏、フローリストの橋本 藍氏、ジュエリーデザイナーの白木 夏子氏。いずれもパンデミックによって少なからず影響を受けた事業主たちだ。しかも彼女たちが受けた打撃は一度ばかりではない。東京オリンピック開催の延期をめぐり、事業の見通しが立たず幾度も窮地に立たされてきた。

小田嶋 舞氏/着物店「着縁」オーナー

小田嶋 舞氏

安原 伶香氏/和菓子店「大三萬年堂HANARE」オーナー

安原 伶香氏

橋本 藍氏/フラワーショップ「On Flowers」オーナー

橋本 藍氏

米山 直子氏/おにぎり店「NY CAFE」オーナー

米山 直子氏

白木 夏子氏/エシカルジュエリー店「HASUNA」オーナー

白木 夏子氏

動画では、彼女たちがやむを得ずシャッターを下ろす姿や不安に苛まれる姿が、夢を諦めそうになるアスリートの姿に重ねて描かれている

動画に登場しているアスリートは、体操のシモーン・バイルス選手、水泳のリウ・シアン選手、卓球の石川佳純選手、バドミントンの松友美佐紀選手、サーファーの前田マヒナ選手。オリンピックでの活躍を期待されつつも、オリンピックでの活躍を期待されつつも、さまざまな社会的プレッシャーと闘い葛藤する選手たちだ。

困難の中にあっても最終的には夢と希望を持って挑戦し続ける姿は、多くの女性たちを勇気づけるものとなるだろう。実際、安原氏は和スイーツ店が2カ月間の休業を強いられたが、コンビニとのコラボスイーツの開発など、“今できること”を考えて積極的に行動しているという。

パンデミックで大打撃を受けた女性起業家

あらゆる業界に爪痕を残しているコロナ禍だが、とくに女性起業家・事業主たちに向かって吹く風は強い。「Mastercard Index of Women Entrepreneurs(Mastercard女性起業家インデックス)」の2020レポートによると、世界では87%の女性起業家がパンデミックによる悪影響を受けているといわれる。

「中小企業白書 2019」によれば、日本においては女性起業家が活躍する業界は小売業(15.0%)、飲食店(12.5%)、理美容やエステ・ネイルサービス、旅行業等の生活関連サービス業(21.2%)が高い割合を占めており、コロナ対策により人流が抑制されたことによる影響は甚大であると考えられる。

しかも実は、女性起業家の苦難はコロナ禍の前から存続しており、Business Insider Japanの既報によると、女性起業家は受けられる投資額が平均93万5000ドル(約1億円)と男性平均210万ドル(2億3000万円)に比べて低く、ビジネスとしての価値が低く見積もられている。同記事によれば、実際には調達資金1ドルあたりの売上は、女性が創立したスタートアップは78セント、男性が設立したスタートは31セントである。

さらに前出の「中小企業白書 2019」によると、日本は女性起業家や事業主が育っていない地域であり、女性就業者のうち起業家は4.4%でG7の中では最低。アジア太平洋地域のなかでもバングラデシュとインドに続いて低く、OECD加盟国の平均も大きく下回る。日本の女性の22%は自分の会社を持ちたいと考えているが、実際に女性が経営している会社は全体の5.3%である。支援からこぼれ落ちやすいマイノリティである女性起業家に支援の手を差し伸べることは、ジェンダーギャップ解消に向けては必須のアクションだ。

女性起業家の支援に50万ドルを拠出

こうした女性起業家たちにむけて、SK-IIはSK-II STUDIOの映像作品の再生回数に応じて支援金を拠出する「#CHANGEDESTINY資金」をスタート。6月21日までに7億回再生を記録し、上限である50万ドルが活用されることが決定した。

支援金は、女性が経営する中小企業や起業家を支援する1年間のプログラムに充てられる。プログラムは東京を拠点に活動する女性起業家ネットワーク「meeTalk」と渋谷区が共同で運営し、デジタルやソーシャルに関するスキル、ビジネスネットワーク、プラットフォームの知識などを身につけることができる。

「学ぶ」「つながる」「アクセスする」という3つのアプローチで課題に取り組めるようになっており、とくに「学ぶ」工程ではFacebook JapanGoogleの協力を得て、デジタル・プレゼンスの構築やソーシャル・コマースの活用、さらには海外展開について、個別のトレーニングやブートキャンプ、ビジネス・コンサルテーションが行われる。現代の起業家が抱える課題に対し、ダイレクトに応える内容だ。

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他にも、「つながる」工程では適切なロールモデルとのマッチングが行われ、「アクセスする」工程では東京の街を再現したバーチャルシティSK-II City」内で活躍できる場が提供される。オンライン上のバーチャルストリートに女性起業家たちの店舗を開き、ユニークなブランド構築体験ができるのだ。

運命を切り拓こうとする女性とともに

この一連の支援策に対しP&Gグローバル スキン&パーソナルケア プレジデントのマーカス・ストローベル氏は次のように語る。

「#CHANGEDESTINYは、SK-IIブランドの信念。私たちは長年にわたり、世界中の勇気ある女性たちのストーリーを通して、運命が自らの選択によって切り拓けるものであることを発信してきました。#CHANGEDESTINY資金プログラムの開始は、私たちの旅路の大きな一歩となります。2020年の東京オリンピックのワールドワイドパートナーである私たちが、映像作品から得られるインスピレーションをもって夢に向かって挑戦している女性起業家や事業者を支援できることは、とても意味のあることです」(マーカス・ストローベル氏)

新しい時代を、そして運命を切り拓こうとしている女性たちとともにあろうとするSK-Ⅱの挑戦が、バーチャルとリアルの両輪で始まっている。


SK-II STUDIOの作品や女性起業家たちのバーチャル店舗などが見られる「SK-II City」についての詳細はこちら

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