世界遺産「青海フフシル」の大量のごみは、絶滅が危惧されているチベットカモシカといったこの地域の野生生物を脅かす恐れも。
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- 中国の世界遺産「青海フフシル(可可西里)」の周辺には、何年も前から大量のごみが積み上げられていると、Economic Observerが報じた。
- 特にごみがひどいところでは、家畜の世話をして生活している人々が片付けを手伝わされている。
- こうしたゴミは、この地域の230種の動物たちを危うくする恐れがある。
大量のごみが中国の北西部にある世界遺産「青海フフシル(可可西里)」の自然を破壊する恐れがあると、Economic Observerが6月20日に報じた。青海フフシルは世界で最も標高の高い、世界最大の高原だ。
中でも、最も荒廃している場所の1つが長さ656フィート(約200メートル)、幅65フィート(約20メートル)の「ごみベルト」で、ここにはプラスチックや缶、ペンキの缶から羊やヤクの死体まで、ありとあらゆるものが捨てられているとEconomic Observerは伝えている。
この「ごみベルト」は、観光客や長距離トラックの利用が多い国道沿いにのびている。
現地で家畜の世話をして生活している何百人もの人々が当局からごみの片付けを手伝わされているが、ごみの量があまりにも多いため、片付けがなかなか終わらないとサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は報じた。
ごみの片付けを手伝うよう求められたTsering Kunbuさんは、「ごみベルト」に近いこの地域には約200人しか住んでおらず、近くにごみの埋め立て地がないため、何年も前からごみが山積みになっているのだとSCMPに語った。
青海フフシルにあるガソリンスタンドや飲食店、自動車修理店も大量のごみに悩まされていると、Tseringさんは付け加えた。
地質学者で探検家でもあるYang Yong氏は、この地域のごみの状況は「長年、改善されていない」とSCMPに語った。
大量のごみは野生生物に対する懸念を引き起こしている。青海フフシルには、チベットカモシカなど230種以上の動物が生息している。
中国環境科学研究院生態環境研究センターの副所長であるLi Junsheng氏は、ごみがこの地域の動物や人間に害を与え、水を汚染する恐れがあると環球時報に語った。
Li氏は、この地域における人間の活動を制限する法律をできるだけ早く改正するよう呼びかけている。
青海フフシルの年間平均気温は0度以下で、最も寒い時にはマイナス45度になることもある。
青海フフシルは2017年に世界遺産(自然遺産)として登録された。
(翻訳、編集:山口佳美)