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「アンチ無料」の流行がフリーミアムで失った「本質」を明確にする

こんにちは。パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナーの石角友愛です。今日は最近シリコンバレーでトレンドになりつつある「アンチ無料」サービスについてご紹介します。

先日、シリコンバレーでエンジニアとして働くアメリカ人の友人から、面白いサービスを紹介されました。新しいブラウザーを試していて、「お勧めだよ」と教えてくれたのが「Mighty(マイティ)」というブラウザーアプリです。

この会社はまだ社員数10人程度の、いわゆるアーリーステージスタートアップです。

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Mightyの公式サイト。現在は招待制で、質問に答えることで招待のウェイティングリストに名前を載せることができる。

撮影:編集部

通常、ブラウザを開く際は、Google ChromeやFirefox、Internet Explorer(いまはMicrosoft Edgeに代わりましたが)などパソコン上にアプリをダウンロードして起動するのが一般的になっています。

これに対し、マイティのポイントは、クラウド上にあるパワフルなマシンの上でブラウザを操作し、その映像を配信するシステムを採用していることです。手元のパソコンにはアプリ本体をダウンロードする必要がないわけです。

結果的に、パソコンのメモリーをChromeなどを使う場合と比べて10倍以上もセーブでき、かつ処理速度も早くなるとしています。

また、同社はもう一つの売りとして、プライバシーを第一優先にすることを掲げており、ブラウザー閲覧履歴を非公開にし、無料のブラウザのようにログインデータの販売はしないことを明言しています。

料金はユーザーへの月額利用モデルを採用するそうで、毎月30ドル程度の利用料を徴収する見込みとのことです。

料金が少し高いと感じる人もいるかもしれませんが、高速かつプライバシー保護が強力なため、不要な広告から逃れたいユーザーに支持されつつあります。

アンチ無料の検索エンジンで何が起きるか?:Neevaの場合

neeva

一般的な検索エンジンと、Neevaの検索結果の比較を示す公式サイトの画像。

出典:Neeva

また、同じように「アンチ無料」のユーザー層に支持されてきているのが、有料検索エンジンの「Neeva」です。

Neevaはグーグルで検索エンジンを開発していた元SVPのスリダー・ラマスワミー(Sridhar Ramaswamy)氏と、YouTubeのマネタイズ部門の元VPのビベック・ラグネイサン(Vivek Raghunathan)氏が立ち上げたスタートアップです。

アメリカを代表するベンチャーキャピタルのセコイアキャピタルやリンクトイン(LinkedIn)の共同創業者であるリード・ホフマン氏から投資を受けており、2020年にセコイアキャピタルが4000万ドル(約44億円)のシリーズBラウンドの資金調達をリード投資したと発表しました。

セコイアキャピタルは、Neevaへの投資に至った背景を次のように述べています。

「既存の検索モデルでは、時間が経つにつれ、顧客体験の多くが本来求めるオリジナルの情報コンテンツではなく、高度に散りばめられた広告やプロモーションコンテンツに支配されるようになってしまいます。

また、おそらく最も重要なことは、Yahoo!、Google、Facebook、Amazonといったメガテック企業が実は現在のデジタル社会の要求に応えられていないということです。

例えば、人々が求める情報が、整理された公共データベースやインデックス可能なウェブサイトではなく、個人の電子メール、無数のクラウドアプリケーション、個人のデスクトップ、個人の携帯電話など、私たちが働くあらゆる場所に存在する場合、一体どのように検索すればよいのでしょうか。

(中略)

その結果、ホリスティックサーチ(あらゆる情報の一元的な検索)への斬新なアプローチと、顧客が本当に求めるものを浮かび上がらせるまったく新しい体験を生み出したのがNeevaです。

Neevaでは顧客の情報は非公開であり、広告主に販売されることはありません。その結果、ハイキングブーツを検索すると、製品広告のリストではなく、どのハイキングブーツを買うべきか、より良い判断をするためのサイトが表示されるのです。

また、検索対象についても、公開されているウェブ上の情報のみにするのか、あるいは接続した個人アカウントの情報も含めて検索するのか、といった具合に自分自身で正確にコントロールすることができます。

このように、Neevaは、顧客にとって重要なあらゆる情報のためのプライベートでパーソナルなまとめ役になり得るのです」

なお、Neevaのビジネスモデルに関しては、毎月10ドルほどのサブスクリプションを検討中と、CEOのラマスワミー氏はForbesのインタビューで述べています。

彼はまた、スコットギャロウェイのポッドキャストで、

「お客さまからお金をいただくことで、検索エンジンのあるべき姿を再考・再建するための大きな力を得ることができました」(ラマスワミーCEO)

と話し、ビジネスモデルを広告収益からサブスクリプションに変えることで、検索エンジンのあるべき姿を根本から変えることができる、とも語っていたのが印象的でした。

これにより、例えば、インターネット上でのトラッキングシステムなどを作る必要がなくなり、本当の意味でユーザー中心主義の検索エンジンを作れるようになります。

Neevaによると、一般的な検索結果の表示の40%が広告内容コンテンツであるのに対し、Neevaで商品の検索をすると、通常の検索では決して一番上に表示されないようなローカルなお店の商品などが個人の好みに合わせて表示されるそうです。

広告を排除することで、ユーザーが欲しいものにのみ注力できるというわけです。

ラマスワミーCEOは「我々のユーザーは巨大広告主の商品が見たいわけではない。自分の好みに寄り添った検索結果を探している」と述べ、広告ビジネスモデルの検索エンジンを「商業的検索エンジン」と呼ぶのに対し、Neevaの検索エンジンを「カスタマーファースト検索エンジン」と位置付けています。

また、Dropboxなどのサードパーティーアプリケーションとの統合もしているので、ウェブ検索結果だけではなく自分のDropboxファイル内の検索結果も合わせて検索できるのも、Neevaの興味深い機能です。

Neeva

Neevaの検索エンジンUI。筆者がNYTの購読をしているためか、NYTによりすすめられている空気清浄機が表示された。検索結果には「広告主ではなく、専門家により選ばれたおすすめ商品」の記載がある。

筆者撮影

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