ヘルスケア分野で高成長する注目企業2社の視座

コロナ禍で健康への意識は大きく変わった。コロナ禍以降に自身の健康状態が気になるようになったのは56.9%にのぼるという調査(※)もある。

※リサーチ会社・ネオマーケティングによる、「全国30歳~69歳の有職者800人に聞いた『コロナ禍でのカラダの悩み・不調に関する調査』」より

その中で、コロナ禍の前から続けてきた取り組みを、ECを活用して大きく飛躍させた中小企業が2社ある。靴メーカーのAKAISHIとインナーウェアの生産・販売を手がけるエル・アイ・シーだ。

転機になったECへの参入

赤石 恒一さん

赤石 恒一(あかいし・こういち)氏/AKAISHI 代表取締役社長

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靴メーカーのAKAISHIは、保健学の博士でもある3代目社長の赤石 恒一氏が、産学協同による基礎研究や商品の科学的機能検証の結果を反映した靴作りを行っている。

「1,000人以上の足型を取り、研究を重ねているのですが、それは『足の悩みを、靴で解決する』というミッションを実現したいがため。多くの女性が外反母趾や扁平足といった悩みを抱えるなかで、靴医学や義肢装具の設計思想を取り入れた靴を開発しています」(赤石氏)

コロナ禍では、その靴作りのノウハウを活かした室内履きの購入数が、在宅需要の高まりを受けて、約2倍に伸長したという。

船原 政一さん

船原 政一(ふなはら・まさかず)氏/エル・アイ・シー 代表取締役

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インナーウェアの生産・販売を手がけるエル・アイ・シーは1991年の創業ながら、50年以上も前に製造された国内に数台しかない編み機を使うなど、日本製にこだわっている。

その背景はこうだ。同社はもともと靴下メーカーだったが、商品展開を考える上で腹巻も手がけてみようと歴史ある腹巻専業メーカーの塩山メリヤスに声をかけた。地道に信頼関係を築いた結果、塩山メリヤスの社長が引退する際、船原氏は事業の後継者として指名されるに至ったという。現在はSowanという自社ブランドで、古くからの編み機を使い素材にもこだわった製品も展開している。

そんな両社の転機になったのがECへの参入だ。

エル・アイ・シーの船原社長は、BtoB一本槍から脱却する必要性を感じていた。

「問屋さんの商品棚に置いてもらうために、兵庫から大阪に週3回通っていました。接客のお手伝いをすることもありましたね。それでも新製品を置いてもらえるとは限らない。そう考えるとお客様にすべての商品をお見せすることもできるECのメリットは大きいと感じました」(船原氏)

AKAISHIも、棚の陳列やスペースといった小売店の都合に売り上げが左右されるのを最小限に抑えるために、ECへと舵を切った。だがECには、靴を試し履きできないというハードルを越える必要があった。

靴

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「靴が合わなかった場合のために一部の商品では自身で調整できるスペーサーを同梱しているほか、履き心地をアフターサービスで調整するための『調整シート』を同梱してお客様が納得するまで何度でも調整してお届けできるようにしました」(赤石氏)

両社がEC事業を展開する中で飛躍するきっかけとなったのが、Amazonの活用だ。エル・アイ・シーでは販売動向やAmazonのカスタマーレビューが参考になっているという。

インナーウェア

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「夏場は店頭から腹巻が消えてしまうので、今まで気づけていなかったのですが、ECでは、冬用の厚手のものが一年中売れるんです。夏でも冷え性に悩んでいる人がこれだけいるんだというのは卸売りではわからなかったことですね。そのほか、オーガニック素材を使用したものや、ゆったりしたものなど、新たな商品を開発する上で、カスタマーレビューは非常に参考になっています」(船原氏)

AKAISHIではすでに自社サイトでも販売していたが、Amazonというチャネルを増やしても顧客の流出にはならなかったという。

「自社サイトとの食い合いを危惧していたのですが、分析した結果、自社サイトで購入するお客様は自社サイトでしか購入せず、Amazonで購入するお客様はAmazonでしか購入しないという行動パターンがわかりました。ですので、Amazonへの参入は単純に新規の顧客獲得につながっています」(赤石氏)

大きなインパクトをもたらしたAmazon プライムデー

年に一度、実施されるAmazon プライムデー。2020年の期間中、日本国内の販売事業者の販売個数は約800万個と過去最高を記録。両社に与えたインパクトも大きかった。

「2020年のプライムデー期間は1日の売上が普段の平均5倍以上に伸びました。以前のプライムデーでは全商品が完売したこともあり、みんなで万歳三唱をしたのはいい思い出です(笑)」(船原氏)


「プライムデーを機に露出が増え、多くのお客様に当社のことを知ってもらう絶好の機会になりました。ブランド認知が上がることで、通常日の売上も底上げされています」(赤石氏)

また、それだけの売れ行きをさばくために、両社はAmazonの物流拠点に商品を預けるだけで、保管から注文処理、配送、返品処理までをAmazonが一括で代行する「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を活用している。

そのおかげで、売上を伸ばしながらも、エル・アイ・シーでは家族と過ごす時間が増え、AKAISHIでは社員の負担増を最小限に抑えられたという。

古い慣習や固定観念からの脱却

船原さんと赤石さん

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最後に、両社に今後の展望を聞いた。

「靴業界には古い慣習がたくさんあります。私は昔から『当たり前』という言葉が大嫌いで。欲しいと思った靴でも履いてみて合わなかったらあきらめてほかの靴を選ぶのが今の『当たり前』ですが、欲しいと思った靴をお客様の足に合う状態にしてご提供できるブランドになるというのが究極のゴールですね」(赤石氏)


「腹巻は男性のものという固定観念が崩れてきて、近年は“温活”という言葉とともに女性用腹巻も認知されてきました。体をいたわる腹巻の文化をより広げて、靴下や下着のようにスタンダードなものとして根付かせていきたいと思っています」(船原氏)


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