ニューヨーク州スタテンアイランドにあるアマゾンのフルフィルメントセンターで働く従業員。
Ben Gilbert/Business Insider
- アマゾンでは時給制の従業員があまりに短期間で辞めてしまうため、同社幹部は人手不足を懸念していると、ニューヨーク・タイムズが報じた。
- Insiderは、アマゾンの現従業員と元従業員6人から、離職率が高い理由について話を聞いた。
- 6人全員が監視体制、単調な仕事、疲弊感など、同じような問題点を挙げている。
ニューヨーク・タイムズの記事によると、アマゾンはフルフィルメントセンターと呼ばれる倉庫で働く従業員を何十万人も雇用してきたが、彼らは雇用されるのと同じスピードで辞めていっている。
記事によると、2020年7月から10月にアマゾンに雇用された従業員35万人以上の多くが、わずか数日から数週間で退職したという。アマゾン倉庫で働くミシガン州のある従業員は、「私が知っているほぼ全員が、別の仕事を探している」とInsiderに語った。
Insiderは、アメリカ国内のフルフィルメントセンターで働く現従業員と元従業員6人に、同社の離職率が高い理由について聞いた。6人全員が、単調な仕事、生産性に関する監視体制、疲弊など、同じような問題点を挙げた。彼らは匿名を希望しているが、Insiderでは彼らの身元と雇用記録について確認している。
「同時期に仕事を始めたグループの中で、私が誰よりも長く残った」と、2020年9月から10月にフルフィルメントセンターで働いていたワシントン州の元季節従業員は話した。「私と同時に雇用された23人は、2週間ももたなかった。私が最後に残った1人だった」
彼らは、特に離職率が高い仕事として、注文された商品をピックアップし、箱に詰めて、トラックに積む「ピッカー」などのエントリーレベルの仕事を挙げた。「非常にうんざりする仕事で、やりたい人は誰もいない」と、ミシガン州のある従業員は話した。
ニューヨーク州スタテンアイランドにあるアマゾンのフルフィルメントセンターで働く従業員。
Ben Gilbert/Business Insider
「ピッカーは、1回のシフトで4000点の商品の梱包を求められる。30分の休憩を2回挟んで10時間缶詰め状態になる」と彼らは語った。
「最初は体が痛くなるが、これくらいは大丈夫だと思うだろう。だが、ここで週4日働くことを想像してほしい。4000点をピックアップするという同じことを何度も何度も繰り返す。とても疲弊する仕事だ」
彼らは、同社の有名な効率性へのこだわりについても言及した。従業員の生産性と適時性をテクノロジーを駆使して追跡し、わずか5分の遅刻で管理職から書面での警告が行われると、複数の従業員が語った。
「常に自身の雇用を守ろうとすることになる」と、カリフォルニア州の元従業員はInsiderに語った。
ニューヨーク・タイムズが確認したデータでは、パンデミック前の時給制従業員の離職率は週に約3%、年間でおよそ150%だった。これによって同社幹部の一部は、アメリカでの従業員の不足について懸念するようになったと報じられている。
アマゾン広報は「離職率は1つのデータポイントにすぎず、単独で使われると重要な文脈を欠くことになる」とニューヨーク・タイムズに語った。同社はInsiderが求めたコメント要請に対して回答していない。
アマゾンは、新型コロナウイルスのロックダウン中に急増した需要に応えようと、2020年に採用活動を拡大した。アメリカ人が日用品や食料品などでアマゾンを頻繁に利用するようになると、同社は大規模な採用を繰り返し進めた。
2021年5月には、新規雇用の従業員に入社ボーナス1000ドルの提供を開始している。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)