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- ボストン・コンサルティングは、2025年まではアメリカが最も多くの超富裕層を抱える国であると発表した。
- 2029年には、中国が10.4兆ドルの超富裕層資産を擁し、アメリカを追い抜くと予測している。
- アメリカの超富裕層の多さに、民主党の中には富裕層税の導入を求める声もある。
アジアの人々が裕福になっている一方で、アメリカは超富裕層が最も多い国であることを維持しており、それは2025年まで続く可能性が高いと考えられている。
経営コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ(The Boston Consulting Group)は、2021年6月初め、世界の資産がどのように分布していて、今後はどのように変わるかを分析した「グローバル・ウェルス・レポート2021(Global Wealth Report of 2021)」を発表した。それによると、純資産が1億ドル(約110億円)を超える個人で構成される「ウルトラ・ブラケット(ultra bracket)」は現在6万人、彼らの投資可能な資産の合計は22兆ドル(約2441兆4500億円)で世界の15%を占めている。
その超富裕層(ultra-high-net-worth individuals/UHNWI)の大半はアメリカに居住しており、レポートには、「アメリカはこれまでと同様、UHNWIの集中度において頂点に位置している」と記されている。
レポートによると、アメリカのUHNWIの数は、2025年には2020年と比べて36%増の約2万8000人となる。一方で中国は1万3600人、インドは1400人と超富裕層の数がほぼ倍増するとしている。
特に中国は10年以内にアメリカを追い越す勢いで、現在の年率13%の成長が続けば、2029年までに10.4兆ドル(約1153兆9632億円)の資産を抱えることになるという。アメリカは同年には9.9兆ドル(約1098兆4396億5000万円)になると見られている。
プロパブリカ(ProPublica)が最近発表した、アメリカの最富裕層が支払っている税率に関する記事では、アメリカに最富裕層が多数存在する理由を説明している。例えば、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、イーロン・マスク(Elon Musk)、ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)などの億万長者は、税法上有利な方法で蓄財しているため、資産の増加に対して所得税の支払いが非常に少なくなっている。これを受けて、民主党の議員の中には所得分配の平等化のために、富裕層税導入を求める者もいる。
マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員は、「税制が超富裕層のために作られていることはわかっていたが、プロパブリカの数字がそれを証明してくれた」とツイートしている。
「誰もが働きやすいアメリカを築くために、今こそ、富裕層が公平な負担をするときだ。だからこそ、富裕税が必要なのだ」
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)