いわゆる年収1000万円プレイヤーになるために必須のソフトスキルには、いくつかある。
プルデンシャルは市場調査を行うモーニング・コンサルト(Morning Consult)に依頼して、2021年5月末に2000人の労働者を対象とした調査を実施。49%が、新しい仕事を始めるなら自分のスキルに合うことが非常に重要と回答した。さらに、アクシオス(Axios)のエリカ・パンディによると、回答者の53%が異業界に転職するなら研修を受け直すと答えた。
高収入の仕事へキャリアチェンジを考えているなら、高報酬を狙える職種に共通して求められるスキルを磨いておきたい。
そこでInsiderは、アメリカ合衆国労働省労働統計局の2020年5月の平均年間賃金データを参照し、アメリカで最も高収入の職業を調査した。平均年収1000万円(10万ドル)以上を稼げる86職種では、どのようなスキルが求められるのだろうか。
労働省の職業情報ネットワーク(Occupational Information Network、通称O*NET)を参照すると、職種の違いによってどのようなスキルが最も重要になるかが見えてくる。
調査の結果、高収入な仕事で成功するうえで必要とされる特定のスキルが浮かび上がってきた。以降ではその上位5つを、ランキング形式で紹介しよう(O*NETの提供する35スキルの平均重要度スコアをもとに集計)。
第5位:判断力と意思決定力
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ディシジョンストラテジストでポーカーのチャンピオンでもあるアニー・デュークによると、意思決定とはほぼ推測にすぎない。既存の知識に加えて何が分かれば決められるのかを自問し、根拠のある推測をするわけだ。
「判断力と意思決定力」は、経営幹部から医療専門職まで、幅広い高報酬職種に求められる。CEO、小児科医、裁判官、保険数理士などの職種で、このソフトスキルの重要度は100点中80点以上になる。
第4位:パブリック・スピーキング
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「パブリック・スピーキング」は学生に講義をする機会が多い大学教授などにとっては特に重要なスキルだ。
大気科学・地球科学・海洋科学・宇宙科学分野におけるアメリカの短大・大学等の教員は平均10万4710ドルの収入を得ており、人前で話すスキルの重要度は100点中94点である。
パブリック・スピーキングが重要な職業にはこの他にも、弁護士や、短大・大学の法学や政治科学の教師がある。
人前で話す力を磨くには、オンラインで動画を視聴する、自主練習するなど、さまざまな方法がある。
ブライドメイド・フォー・ハイア(Bridesmaid for Hire)の創業者兼CEOのジェン・グランツは、以前は人前で話すのが恐怖だったという。自宅でパブリック・スピーキングの練習をするなら、自分の声を録音する、鏡に向かって話してみる、の2つがお勧めだとハイアは言う。
第3位:アクティブ・リスニング
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アクティブ・リスニングとは、誰かが話している内容にただ注意を払うというだけではない。KnowBe4の創業者兼CEOであるストゥ・シャワーマンによると、アクティブ・リスニングとは、相手の言っていることをしっかり聞いていることを示すために質問をしたり、相手の身振り手振りを捉えることも含む。
アクティブ・リスニングは、裁判官、弁護士、精神科医などでは特に重要だ。このスキルは高報酬のテック系職種(ソフトウェアの品質保証アナリスト、検査担当者、コンピュータや情報科学系のリサーチサイエンティスト、データベースアーキテクトなど)ではそれほど重視されない。
在宅で働ける仕事の情報サイト「FlexJobs」によると、アクティブ・リスニング力は学ぶことで身につけられるだけでなく、どんな仕事にも応用できる。特に重要度が高いのは高報酬のリーダー職(人事担当マネジャーなど)や、医療・ヘルス関連サービスのマネジャーなどだ。マネジャーのタイプによって重要度は異なる。
第2位:読解力
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読解力が重要なのは、文章を理解するためだけでなく、仕事で他者とコミュニケーションするうえでも役立つからだ。
「読解力は同僚、上司、マネジャー、顧客などとコミュニケーションをとり、理解する能力につながります」と指摘するのは、就職キャリアサイトZippia(ジッピア)の共同創業者、クリス・コルマーだ。読解力は意思決定をするうえでも役に立つという。
Insiderが調査した86職種のうち、補綴専門歯科医やデータベースアドミニストレーターでは、読解力の重要度は100点中63点と低かった。一方、平均10万4810ドル稼げる生化学者や生物物理学者については85点だった。平均年収14万8910ドルの弁護士でも重要度は同様に高かった。
第1位:クリティカル・シンキング
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求人検索のインディード(Indeed)によると、「クリティカル・シンキング(批判的思考力)」の中には、問題の解決策を思いつく前に調査し、ある課題に対する情報やデータを分析・収集することも含まれる。
フレックスジョブズ(FlexJobs)は、クリティカル・シンキングは高報酬職種にとって重要なだけでなく、それ以外の仕事でも役立つポータブルスキルだとする。
「クリティカル・シンキングをうまく使うには客観性が不可欠だ」——求人の口コミサイト「グラスドア(Glassdoor)」のあるブログにはこんな書き込みがある。だとすれば、平均13万1850ドルの収入を得る裁判官で、クリティカル・シンキングの重要度が100点中97点なのは何ら驚くに値しない。平均年収27万1440ドルの麻酔科医でも88点と高い。
調査方法およびデータ出典
Insiderでは高報酬職種に重要なスキルを洗い出すため、平均年収10万ドル以上の86職種を調べた。アメリカ合衆国労働省労働統計局による2020年5月の雇用賃金統計によると、さまざまな医療関連職、短大・大学などの教員、マネジャーなどがこれに該当する。
次に、アメリカ合衆国労働局職業情報ネットワーク(O*NET)に掲載されている86職種に必要なスキルを調査した。各スキルの重要度を0〜100で示しており、数字が大きいほどその職種にとって重要なスキルであることを示す。
重要度スコア平均をInsiderが作成した職種リストに加えたうえで、重要度の平均点が最も高かった上位5つが、特に年収10万ドルを超えるために必要なスキルだと判断した。
(翻訳・カイザー真紀子、編集・常盤亜由子)
[原文:The top 5 skills you need to unlock a six-figure career]