6月24日、特定買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場する計画を発表した米バズフィード(Buzzfeed)のジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)。
Craig Barritt/Getty Images for Buzzfeed
米デジタルメディアのバズフィード(BuzzFeed)は6月24日、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて2021年末までに上場すると発表した。
同日、ミレニアル世代とZ世代を対象にストリートウェアや音楽などポップカルチャーブランドを展開するコンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)を3億ドル(約330億円)で買収する計画も明らかにした。
バズフィードは今回の発表に合わせて、投資家向けにプレゼン資料を作成している。いくつかのスライドから、同社の内情を伺い知ることができるので、以下で見ていこう。
バズフィードの財務状況が明らかに
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上のスライドにあるように、2020年の売上高は4億2100万ドル(約460億円)、21年見通しは5億2100万ドル(約570億円)。
利益については、2020年の調整後EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が1700万ドル(約19億円)、21年は5700万ドル(約63億円)と3倍超の予想。
合併時の評価額は2016年を下回る
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今回のSPACとの合併・上場により、バズフィードの評価額は15億ドル(約1650億円)となる。2022年の売上高見通し6億5400万ドル(約720億円)の2.3倍に相当する規模だ。
ただし、同社のピーク時の評価額17億ドル(約1870億円、2016年)より下回る数字ではある。
プラットフォーマーに対抗
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ジョナ・ペレッティ最高経営責任者(CEO)はかねてより、もっとたくさんのデジタルメディアをとり込んで、グーグルやフェイスブックのようなプラットフォーマーに対抗できる巨大企業に成長させたいと公言してきた。
ペレッティCEOは6月24日に従業員向けのステートメントを公開し、「我々はより多くのチャンスを得るとともに、さらに魅力的な買収を実現する通貨としての公開株を手に入れることになる」と上場の意味合いを説明している。
バズフィードは上のプレゼン資料で「影響力のある、象徴的なブランド」を追求していくと書いている。
今後はコマース事業が増えていく
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かつて「ブランドコンテンツ(記事体広告)」の旗振り役として名を馳せたバズフィードだが、厳しい広告市場のなかで収益の多様化を進めた結果、売上高構成比はすっかり様変わりした。
例えば、コマースが占める割合は2020年に13%だが、24年には31%まで拡大すると予想されている。
競合相手はメディアだけではない
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バズフィードは投資家に対して、同社をさまざまな分野の競合相手と比較するよう求める。
プレゼン資料に登場する競合は、ソーシャルゲームのジンガ(Zynga)、ハンドメイドECのエッツィー(Etsy)、ディスカバリープラットフォームのタブーラ(Taboola)、デジタルメディアのインターアクティブコープ(IAC)、大手紙ニューヨーク・タイムズなど多岐にわたる。
SPAC合併後の株主構成
右下に株主構成(予想)を示す円グラフ。
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SPACとの合併後の株主構成は、バズフィードの既存株主が72.5%、コンプレックスの株主が5.9%、SPACの創設者(スポンサー)が4.7%、SPACの公開株保有者が16.9%となる見込み。
デジタルメディア時代の寵児、その挫折と後退
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2006年に設立、間もなくデジタルメディア時代の寵児となったバズフィードだが、その後は挫折と後退、数度のレイオフ(一時解雇)など苦しい時期が続いた。
2012年にはニュースルームを開設。2015年と16年にはケーブルテレビ最大手コムキャスト傘下のNBCユニバーサルから合計4億ドル(約440億円)の出資を受けた。
2021年にハフポスト(HuffPost)の買収が完了。同社の親会社だったベライゾン(Verizon)メディアはバズフィードに出資し、現在はマイナー株主になっている。
[原文:The 7 most interesting slides from BuzzFeed's investor deck as it prepares to go public via a SPAC]
(翻訳・編集:川村力)