2021年2月28日、フロリダ州オーランドで開催されたCPAC(保守政治活動協議会)で講演するドナルド・トランプ前大統領。
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- アメリカ国土安全保障省はトランプ前大統領の復権説に懸念を強めているとポリティコが報じている。
- ある高官は、これに関連する目に見える脅威は今のところないが、彼らのチームはオンラインでの活動を監視していると述べた。
- トランプ大統領自身を含む一部の人々はこの数カ月、復権を大々的に宣伝している。
アメリカ国土安全保障省(DHS)の高官が、ドナルド・トランプ前大統領が8月に復職するという陰謀論に対する懸念を明らかにしたと、ポリティコが報じた。
同省のテロ対策最高責任者であるジョン・コーエン(John Cohen)は2021年6月23日、議会議員に対し、陰謀論に関連した具体的な脅威は今のところないが、彼のスタッフはオンライン上の過激派コミュニティを監視していると述べたという。また、不正選挙だったという主張が高まり、トランプ氏がホワイトハウスに戻ると信じられていることが暴力につながる可能性を懸念しているという。
コーエンのコメントは、6月初めのニューヨーク・タイムズとナショナル・レビューによる、トランプ氏が夏の終わりまでに執務室に戻ると側近に話したという報道を受けたものだ。
また、この復職説は、MyPillowのマイク・リンデル(Mike Lindell)CEOをはじめとする著名な陰謀論者によっても喧伝されており、リンデルCEOはローリングストーン誌に対し、トランプ氏が数カ月以内に大統領に就任し、アメリカは「歴史上最大の再生に向かうだろう」と述べた。
Insiderが以前に報じたように、この陰謀論には法律上の根拠はない。最高裁でも、大統領選挙の結果を覆すことはできない。現職大統領を解任するには弾劾しかなく、仮にそうなった場合、副大統領が引き継ぐことになる。
同省の広報担当者はポリティコに対し、「国土安全保障省は、暴力と過激思想、憎悪と虚偽情報との関連に注目している。ソーシャルメディアやその他のオンラインプラットフォームを通じて広がる偽情報、陰謀論、過激派の物語に触発された暴力行為を防止する能力を強化している」と述べた。
トランプ前大統領は最近、最高裁が2020年の選挙結果を破棄し、彼を大統領に復帰させる可能性があるという、法的に不可能な陰謀論を煽っている。
ニューヨーク・タイムズによると、前大統領は、将来の選挙の前に、8月までにホワイトハウスに戻るという考えを持っているという。
Insiderによると、同氏は6月22日に発表した声明の中で、「不正が行われた」2020年の選挙を嘆き、「2024年、あるいはそれより前」を楽しみにしていてほしいと支持者に伝えた。記事によると、不正選挙の主張は何十件もの訴訟で退けられている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)