花火を買い求める人(ペンシルベニア州モリスビル)。
Reuters
- アメリカでは、7月4日の独立記念日を前に花火が不足している。
- 複数の販売会社ですでに品切れとなっていて、花火の価格を上げているところも多い。
- 多くの客が花火を求めて、行列を作っている。
7月4日の独立記念日を前に、花火不足は多くの人々を混乱に陥らせている。
サウスダコタ州のある花火販売会社は、店は花火を買いだめしようと急ぐアメリカ人でいっぱいになっているとNews Centerに語った。
「あれにはびっくりしました。行列が建物をぐるっと一周囲んでいたんです」とBig Fireworksのオーナーであるトム・スクーグ氏は話した。
花火はサプライチェーン危機の最新の犠牲者で、販売業者は在庫を確保するのに苦戦しているという。
ミシガン州のSparky's Fireworks Outletのオーナーであるマーク・ジョセフ氏は、在庫を補充することができず —— 通常ならシーズンからシーズンへと一定の在庫も持ち越される —— 新型コロナウイルスのパンデミック前のような在庫状況に戻るまでには、数年かかる恐れもあると見ていると、地元メディアに語った。
「必要な分の約50%しか手に入れることができませんでした。これはアメリカ全体に当てはまることです」とジョセフ氏は言う。
2020年は、新型コロナウイルスのロックダウン(都市封鎖)の影響で、アメリカ人は自宅で独立記念日を祝う必要に迫られ、花火の需要は記録的な高さとなった。そのため、2020年は早々に花火が売り切れてしまい、2021年の供給量を激減させた。
「出荷が増えない限り、供給は7月4日まで続かないでしょう」とインディアナ州リッチモンドにあるShelton Fireworksの責任者ウェスレー・シェディガー氏はInsiderに語った。
アメリカ最大の消費者向け花火ブランドの1つであるPhantom Networksのバイスプレジデント、ウィリアム・バイマー氏は、同社が今のところ品切れを回避できているのは、輸送危機が始まる前の2020年8月に注文したからだと話している。
2021年の花火の需要は高いものの、サプライヤーにとって、中国から商品を輸入するのはますます困難になっている。バイマー氏は、Phantom Networksでも数カ月の遅れが出ているとInsiderに明かした。世界的な輸送コンテナ不足が、中国から製品を運ぶ費用をさらに高くしていて、中でも花火といった危険物とされるアイテムには、貨物船で割り当てられるスペースが少ない。
バイマー氏は、Phantom Networksの輸送費が2021年は2倍以上になっていると言い、2年連続で商品の価格を上げざるを得なくなっていると、Insiderに語った。
「全体的に価格は上がっています」とバイマー氏は言う。
「業界全体に影響しているんです。物流面でこのような問題に直面するとは誰も予想していませんでした。相手から声をかけられるまで、これまで全く取引をしたことのない会社もあります。皆、在庫を確保しようと躍起になっていて、うちはなんとか確保できています」
Superior Fireworksは1月、約15%の値上げを発表した —— これは同社20年の歴史の中で最も大幅な値上げだ。
多くの販売業者たちは消費者に対し、在庫があるうちに早めに花火を購入しておくようアドバイスしている。
「港の遅れや世界的なコンテナ不足の結果、一部で製品の制限や大幅なコスト増が見られます」とTNT Fireworksの広報担当者シェリ・シモンズ氏はInsiderに語った。
「TNT Fireworksでは顧客に対し、最高の商品セレクションを手に入れるために、早めに花火を買うようアドバイスしている」という。
多くの消費者はこうした忠告を肝に銘じ、独立記念日に先駆けて、花火のパニック買いを後押している。フロリダ州では、ある男性客が2300ドル(約25万円)相当の花火を買うために、はるばる840マイル(約1350キロメートル)の道のりをやってきたとNews 4に語った。
ただ、一般向けの花火不足が、プロによる花火の打ち上げに影響することはなさそうだ。ニューヨークのプロの花火プロデューサー、Young Explosivesの広報担当者は、2020年は多くのイベントが中止になったため、同社では花火が余っているとInsiderに語った。
花火は今夏、アメリカで供給不足に陥っている多くの製品のうちの1つだ。ガソリンからホットドッグ、塩素、休暇用の別荘まで、世界的なサプライチェーンの問題が2021年の独立記念日を例年とは異なる祝日にするかもしれない。
(翻訳、編集:山口佳美)