プログラミング学習の「Progate」が、200万ユーザーの先に見据える世界

コロナ禍で働き方が大きく変化するなかで、社会人の「学び直し」が注目されている。オンラインプログラミング学習サービスProgate(プロゲート)』は、スライド形式のわかりやすい解説や、キャラクターを使った優しい世界観で初心者の学びに寄り添う。

世界200万人以上のユーザーが利用するサービスを二人三脚で支えるCEOの加藤將倫氏とCOOの宮林卓也氏に、同社の目指すものを聞いた。

初心者のつまずきを解消したい

加藤氏と宮林氏

(写真右)加藤 將倫(かとう・まさのり)氏/Progate ファウンダー・CEO。1993年愛知県生まれ。東京大学工学部中退。小学校と中学校をオーストラリアのパースで過ごす。2014年7月にオンラインプログラミング学習サービスのProgateを創業。『Forbes 30 Under 30 ASIA 2018(Forbesが選ぶアジアを代表する30才未満の30人)』に選出。
(写真左)宮林 卓也(みやばやし・たくや)氏/Progate COO。1983年生まれ。不動産企業、人材系ベンチャー企業を経て、金融関連企業にてIPOを達成。2019年1月にProgateに入社。財務責任者として国内外の会計、決算業務他、バックオフィス業務全般にも携わり、海外進出や事業拡大において会社の成長を支える。

Progate』は、ブラウザやアプリでイラスト中心のわかりやすいスライドを見ながらプログラミングを学べるのが特長。そのため、自分のペースで学習でき、復習もしやすい作りとなっている。そこには、加藤氏自身がプログラミングを学ぶ過程で味わった“挫折”の経験が反映されているという。

「僕自身が初心者の頃に、“どの言語を選べばいいかわからない”“必要なソフトウェアなどの環境を用意するのが難しい”といった、学び始める前の段階でのつまずきを経験しています。そのためProgateでは、プログラミング学習への入り口のハードルを低くしたいという思いがあり、初心者が挫折しやすいところを極力なくしたUI・UXにしています」(加藤氏)

Progate1

スライドやキャラクターを用いた、初心者に優しい作りが特徴的な『Progate』。基礎レベルの18レッスンは無料で、公開中の82レッスンすべて受講できるプラス会員は1,078円/月(税込)。

提供:Progate

ローンチからすべてのコースを無料で展開していたが、コースの数が増えてくるとユーザー側から「この内容なら有料でも構わない」という声が挙がるようになり、2016年からは最初の1〜2レッスンは無料、それ以降は有料とするプランを導入。プロモーションは行っていなかったものの、口コミなどで有料会員は徐々に増えていったという。

一方、宮林氏がProgateに入社したのは2019年。それ以前に外から見たProgateはどのように映っていたのだろうか。

「人事担当として社内研修などに使うツールを検討するなかで、Progateの存在を知ったのが2018年頃です。同時期にSNSで口コミを目にすることも増え、ユーザーファーストの成長企業という印象で興味を持っていました」(宮林氏)

その後、当時のProgateのHR担当者とTwitterを通じて知り合い、加藤氏を紹介されたという。

「今でも強く印象に残っているのが、『バックオフィスは全部任せたい。よくない動きをしたときは止めるから、好きにやってほしい』という加藤の言葉です。経営に関することは、どうしても性悪説でルールを作りがちなので、ポジティブな面から人を見たその言葉には、とても力を感じました」(宮林氏)

海外展開は当初から視野に

加藤氏

2017年には海外展開も開始。幼少期から思春期までをオーストラリアのパースで過ごした加藤氏にとって、海外への展開は当然のものとして、サービス開始当初から視野に入れていたという。

「日本が大きな影響力を持っていたハードウェアの時代から、ソフトウェアの時代になって影響力が徐々に弱くなっていく状況に悔しさを感じていました。だからこそ、日本発のサービスが世界で使われるようになってほしいという思いがあります」(加藤氏)

英語版に多くの反応があったインドでの本格展開を決めて現地法人を設立。同国の場合、“プログラミングを学ぶことで埋められる価値の差分”が大きいと加藤氏は話す。

「今も身分制度の影響があるなかで、就職できる職業が限られている人でもエンジニアにはなれるかもしれない。そうすれば収入も大きく変わってくる。彼らの人生において、プログラミングがもたらすことができる価値というものは、とてつもなく大きいと考えています」(加藤氏)

さらに、2020年にはインドネシアでサービスを開始。インドネシア語が広く使われる同国は日本とも似ており、ローカライズしてサービスを提供する価値が大きいとの判断から進出を決めたという。

宮林氏も、「会社を成長させていくために海外進出は必須」と話す。

「実は入社後に、『サービスの価格を上げたほうがいいんじゃないか』と加藤に提案したことがあります。その時に返ってきた答えが、『日本での価格を10%上げて学習へのハードルを上げてしまうより、世界中の人に提供して母数を広げるほうがインパクトが大きい』。すごく納得しました。世界で使われるサービスをつくるという目標が、僕たちのベースに常にあると思います」(宮林氏)

非エンジニアにもプログラミングを学んでほしい

宮林氏

異なる視点をもった加藤氏と宮林氏。業務の切り分けはどのように行っているのだろうか。

「加藤の描く世界観には求心力があり、僕を含め多くの社員が共感しています。その世界観を実現していくためのリソース配分は僕に任せてもらっています。

プロダクトのことは加藤が責任を持っていて、僕たちは良いプロダクトができると信じている。だから届ける場所を広げることができるし、それで収益が上がることで、さらに良いものが生まれる。信頼関係があるからこそ、最高の循環が生まれていると思います」(宮林氏)

Progate2

ブラウザ版だけでなく、スマホやタブレット向けのアプリも提供している。

提供:Progate

また、コロナ禍であらゆる業界がデジタル化した今、『Progate』で非エンジニアのビジネスパーソンがプログラミングを学ぶ意味は大きいと宮林氏は話す。

「プログラミングを学ぶことで、プロダクトをつくる人への敬意や共通言語が生まれます。営業サイドからエンジニアへ何かを依頼するときにも、それがすごく難しいことなのか、簡単にできることなのかを知っているだけでコミュニケーションや人間関係は円滑になります。これからは、基礎教養のひとつとしてプログラミングを学ぶことが必要だと感じます」(宮林氏)

また、昨今よく話題になる企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)についても、単なるバズワードではなく喫緊の課題として自分ごと化するためにもプログラミングを学ぶことは有用だ。中小ベンチャーや大企業などの民間企業だけでなく公官庁や教育機関まで広い分野で、エンジニア以外のビジネスパーソンがプログラミングを学び始める動きが加速しているという。

Progate3

Progateには法人プランも用意されている。個人プランと同様のレッスンを受講できるだけでなく、研修の進捗を確認する管理機能や楽しみながら競えるランキング機能などが追加されている。料金はひとりあたり1,628円/月(税込)。

提供:Progate

“初心者の壁”を超えた先まで支えたい

加藤氏と宮林氏2

すでに200万人以上が利用するサービスに成長した『Progate』だが、今後はどのような成長を思い描いているのか、両氏に展望を聞いた。

「“初心者の壁”を越えた先にある、“挫折しながら乗り越える”ことにフォーカスしたプロダクトを現在開発しています。僕の周りにいる本当に優秀な人たちは、何年も何十年も楽しそうに学び続けているので、僕たちのサービスでもそこまで導けるようになりたいと思っています」(加藤氏)


「良いサービスを届けることはもちろんですが、ユーザーだけでなく、社員も幸せになってほしいと思っています。使う人と働く人の両方が、Progateを通して幸せになってくれる世界を作っていきたい。それを加藤と一緒にできたら最高だなと思っています」(宮林氏)

海外への展開も積極的に行い、プログラミングによって人生を変える体験を増やしているProgate。一方で、脱初心者に向けた道筋も今後は用意されるとあって、その期待は大きい。

実際に『Progate』を活用してみると、プログラミングがいままで以上に身近になるだけでなく、自身の業務における生産性向上や職場環境の改善にまでつながる可能性を大いに感じられることだろう。コロナ禍で大きく変わった世界において、特に非エンジニアやビジネスパーソンにとってプログラミング学習こそが、働き方を変える第一歩になるのではないだろうか。


Progateについての詳細はこちら

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