2021年6月28日、ワシントン州シアトル。
AP Photo/Ted S. Warren
- 記録的な熱波に見舞われているアメリカ太平洋岸北西部では、6月25日以降、多くの人々が病院を受診している。
- ワシントン州シアトルやオレゴン州ポートランドでは、週末に40度を超える記録的な暑さとなった。
- こうした状況では、全ての人に熱性疲労や熱中症のリスクがあると、専門家は話している。
太平洋岸北西部を襲った熱波によって、猛烈な暑さに慣れていないこうした地域では、多くの人々が熱中症で病院を受診している。
6月28日、北西部の多くの都市では3日連続で体温を超えるような暑さが記録された —— 専門家らによると、これは切迫した気候危機のかつてない兆候だという。29日、沿岸部では暑さがやや和らいだものの、内陸部では酷暑が続いている。
25日以降、ワシントン州立病院では熱中症の疑いで676人が救急外来を受診し、81人が入院したと、ワシントン州の保健当局はBuzzFeed Newsに語った。隣接するオレゴン州では、暑さのせいでこれまでに459人が救急外来を受診したり、病院で緊急処置を受けたと同州は報告している。
暑さの影響で病院を受診する人の数は、シアトルとポートランドで前日の記録的な暑さを上回る気温が観測された28日から増えている。ポートランドの空港では華氏116度(摂氏約46.7度)、シアトルの空港では華氏108度(摂氏約42.2度)に達した。
今回の熱波で病院を受診した人の数は、2020年に比べても特に心配な多さだ。
ワシントン州のデータによると、2000年から2018年の間に、暑さの影響で入院した人の数が51人を超えたことは2度しかない。
先週末、少なくとも97人が救急外来を受診したポートランドを含むオレゴン州マルトノマ郡では、例年であれば救急外来を受診する人は1人か2人くらいだと、マルトノマ郡の広報担当者はBuzzFeed Newsに語った。
「マルトノマ郡では、典型的な夏日に熱中症で受診する人がゼロというのも珍しくはない」という。
The Oregonianによると、当日の最高気温が華氏104度(摂氏約40度)に達したオレゴン州セント・ポールでは26日、農場で働いていた男性が死亡した。州の労働安全衛生当局は男性やその労働条件といった詳細を明かしていないが、その死因を「暑さ」としているという。
オレゴン州ベンドでも、当局はホームレス2人が暑さのせいで死亡したのではないかと見ていると、Oregon Public Broadcastingは報じた。ただ、詳しい死因はまだ調査中だという。
「人々の身体はストレスを受けています」とマルトノマ郡の保健衛生官ジェニファー・バインズ(Jennifer Vines)氏はOregon Public Broadcastingに語った。
「これを深刻な健康上の脅威と受け止めてくださいというのが、わたしからのメッセージです」
このような猛暑の中では、全ての人にめまい、失神、吐き気、嘔吐、頻脈といった症状をもたらす熱性疲労や、高熱、吐き気、嘔吐、意識消失といった症状をもたらすより深刻な熱中症のリスクがある。赤ちゃんや小さな子ども、妊婦、高齢者などはさらにリスクが高い。
そして、暑さは人間だけでなく、地域のインフラにも影響を及ぼしている。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、道路や高速道路でひび割れが発生し、シアトル近くの州間高速道路5号線では2車線が閉鎖せざるを得なくなったという。
(翻訳、編集:山口佳美)