Suica搭載のFitbit Charge 4を2カ月ほど実用してみた。
撮影:小林優多郎
QRコードなど、さまざまなキャッシュレス決済方法がある中で、JR東日本の「Suica」を含む交通系ICは、その使える場所の多さと決済のスピードから日常で使っている人も多いのではないか。
Suicaを物理的なカードに加え、Androidなどの「おサイフケータイ」、iPhoneやApple Watchなどの「Apple Pay」で利用している人もいるだろうが、昨今は複数のウェアラブルデバイスメーカーがSuica対応の活動量計をリリースしている。
その中のひとつ、Fitbit(フィトビット)の「Fitbit Charge 4」を2カ月ほど日常生活で使ってみたのでレポートする。
GPS内蔵・心拍数と睡眠時間の計測にも対応する高性能機
細かな設定はスマートフォンのFitbitアプリで行う。
撮影:小林優多郎
まずは活動量計として基本的なところをチェック。Charge 4はAndroid 7.0、iPhone 5s(2013年9月発売)以降のスマホとBluetoothでつながるGPS内蔵の活動量計だ。
歩数や階段昇降の記録はもちろん、心拍数の測定、睡眠の記録にも対応。実測値で約25g(Sサイズのバンド装着時)の軽さにもかかわらず、最大連続駆動時間は7日間(GPSの継続利用時は最大5時間)という長時間駆動が可能。
ランニングや自転車などはもちろん、水深50mまでの耐水性能を持つ。使用が許可されている施設では水泳の活動量も計測できる、かなり多機能な活動量計という印象だ。
Fitbit Charge 4だけで、さまざまな健康データを取得できる。
画像:筆者によるスクリーンショット
正直、筆者はあまり運動をする方ではなく、こういったワークアウト関連の機能は持て余してしまうが、日常的な歩行量、心拍数の計測、睡眠量の計測、そして通勤時のSuica利用を使っている限りでも非常に快適。
バッテリーにも余裕があるので上記のような利用でも5日間程度は充電せずに使い続けられた。
オートチャージはできないがSuicaとして便利&お得に使える
Suicaもアプリ上で管理できる。
撮影:小林優多郎
Charge 4のSuica機能は「Fitbit Pay」という同社の決済機能の一部として機能している。
基本的な使い方は他のSuicaと同様、改札機や店頭の決済端末にかざすだけ。セットアップやチャージ(入金)などはFitbitのアプリ上で可能だ。
ただし、オートチャージや銀行口座からのチャージ、再発行、Charge 4から別の端末へ残高の引継、モバイルSuica向けのネット決済は利用できないので注意しよう。
チャージもアプリ上で。Google Payに登録したクレジットカードで決済できる。
撮影:小林優多郎
筆者は3月下旬ごろからモトローラ製SIMフリースマホ「motorola razr 5G」を愛用しているが、razr 5Gにはおサイフケータイが搭載されていない。
そのため、普段の電車やバスの移動にCharge 4に設定したSuicaを使っている。
気になっていたのは2点。改札を通るときのスピードとオートチャージ非対応でも便利か、という点だ。
改札でのスピードについて。はっきりと言えば、物理カードやおサイフケータイ/Apple PayのSuicaと比べると、改札での認識スピードは一呼吸待たされる印象がある。
2、3秒も待つというわけではないが、そもそも端末自体が小さいため狙って改札の読み取り部分に当てる必要がある。
店頭で使っている様子。筆者は右利きだが、あえて右手に装着している。
撮影:小林優多郎
また、筆者は右利きで他のウェアラブル端末も左手首に装着していた。しかし、改札で利用することを考えた結果、Charge 4は右手首につけることにした。
最初は違和感があったが、慣れると大きな問題はなかった。
次にチャージ周りについて。オートチャージ非対応なので残高不足時に改札を通れなかったことが数回あったが、コロナ禍で移動も減っていることもあり、月初に5000円分まとめてチャージするようにして対処した。
物理カードと比べ、チャージのために自動券売機などに並ぶ必要がないのは1つメリットだ。チャージはGoogle Payのアプリ内で決済する。Fitbitアプリ上にクレジットカード情報を保存する必要はない。
VIEWプラスだけではなく、JRE POINTのサイトにSuicaの番号を登録しておけば、対象となるサービスでのSuicaの利用でポイントが貯まる。
画像:筆者によるスクリーンショット
また、筆者はGoogle Payにビューカードを設定してチャージをしている。JR東日本のサービスを利用すると貯まる「JRE POINT」が、通常のショッピング利用より多く貯まる「VIEWプラス」の対象になっていた(1000円につき15ポイント=15円相当付与)。
VIEWプラスは7月1日にサービスを改定したが、ビューカードのヘルプサイトによると「ウェアラブルデバイスのSuica」へのチャージ時も引き続きVIEWプラスの対象になるようだ。
なお、Fitbit Payは日本ではSuica以外にもVisaのタッチ決済をサポートしている。記事執筆時点ではソニー銀行とPayPay銀行(旧・ジャパンネット銀行)のデビットカードがあれば利用できる。
グーグル傘下になったFitbitの今後は要注目
キャッシュレス端末としても標準的なウェアラブル端末としても満足。
撮影:小林優多郎
個人的に、Suicaの利用はチャージの手間が気になるぐらいで、活動量計としての機能の数はかなり満足している。
特にバッテリーの持ち、そして着けていて気にならない軽量さはウェアラブル端末として非常に重要な点だと思う。
強いて要望を言うのであれば、Android標準の健康情報管理サービス「Google Fit」との連携を強化して欲しい。
筆者はFibiit以外の活動量計や使うこともあり、体重計はWithings製の「Body+」を使っている。複数のサービスでデータを取得する際は、iPhoneなら「ヘルスケア」、Androidなら「Google Fit」といったOS標準のサービスにデータは貯めておきたい。
サードパーティー製のFitToFitを使えば、Google Fitに歩数や心拍、睡眠時間の情報を送信できる。
画像:筆者によるスクリーンショット
現状FitbitのデータをGoogle Fitに連携させるには、サードパーティー製の無料アプリ「FitToFit」を使う。
FitToFitはグーグルとFitbitそれぞれの認証を済ませれば、定期的にデータをGoogle Fitに自動で送ってくれる。ただ、定期的に認証のやり直しが必要で、やや面倒に感じる時もある。
1月14日、Fitbitは正式にグーグルの傘下企業となったが、現時点ではグーグル直販サイトでFitbit端末が買えるなどの限定的なシナジーしかない。
ただ、5月に実施されたグーグルの開発者向けイベントでは、同社が韓国のスマートフォン大手・サムスンと共同でリニューアルする「Wear OS」で、Fitbitのテクノロジーを取り込むことを表明している。
グーグルは、Fitbitユーザーの健康データを広告利用しないことを条件に買収の認可を得ている。しかし、Wear OSのように今後グーグルとFitbitのプロダクトはさまざまな形で連携・融合していくと予想される。
Google Fitとのデータ連携を含め、Fitbitがどのように変わっていくのか。1ユーザーとしても大いに注目したい。
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(文、撮影・小林優多郎)