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「オリンピック中止」掲げた政党の議席数は? 都議選を読み解くポイント6つ

都議選の議席数(2017年▶2021年)

都議選の議席数(2017年▶2021年)

Business Insider JapanがFlourishで作成

東京都議選(7月4日投開票・定数127)は自民党が33議席を獲得し、前々回(2013年)以来となる第1党を奪還した。だが、選挙協力を組んだ公明党が守った23議席と合わせても「56議席」で過半数(64議席)には届かなかった。

一方で、小池都政“与党”の「都民ファーストの会」は45議席から31議席となるも第2党の座を確保。自民党との差はわずか2議席と、何とか踏みとどまった。

以下、6つのポイントで今回の都議選を振り返って見よう。

都議選2021の結果、6つのポイント

・自民、第1党奪還も過半数ならず
・都民ファーストは14議席減も第2党に
・7つの「一人区」 都ファ3勝、自民2勝
・オリンピックへの姿勢と獲得議席の関係は…
・女性は過去最多41人、比率は32%
・投票率は過去2番目の低さ

1:自民、第1党奪還も過半数ならず

今回(2021年)の都議選結果

今回(2021年)の都議選結果

Business Insider JapanがFlourishで作成

今回の都議選は10月に任期満了を迎える衆院総選挙の「前哨戦」とも言われ、各党とも国政選挙並の態勢で戦った。

前回(2017年)の選挙で惨敗した都議会自民党は、今回60人の候補を擁立した。前回は都民ファーストの支援にまわった公明党との選挙協力も復活。国政与党の「自民・公明で都議会の過半数」を目指した。

ところが、自民が獲得できたのは33議席。第1党を奪還し8議席を積み増したが、自民党にとって過去2番目に少ない数だ。

告示後の調査では「自公、過半数獲得の勢い」(毎日新聞)など一部報道では勢いが伝えられたが、自民候補者のうち当選したのは55%にとどまる。

前回(2017年)の都議選結果

前回(2017年)の都議選結果

Business Insider JapanがFlourishで作成

伸び悩みの背景には、複数議席の選挙区での敗北が影響している。

たとえば足立区(定数6)や練馬区(定数7)、八王子市(定数5)ではそれぞれ2議席を獲得するも、目黒区(定数3)・品川区(定数4)では2人を擁立したがいずれも落選して「共倒れ」に。大田区でも3人中2人が落選した。

NHKによると自民党の山口泰明選対委員長は4日午後10時半すぎ、党本部で記者団に対し、自民・公明両党で過半数に届かないことが確実になったことについて「どこが足りなかったのか精査して、今後の衆議院選挙に臨まなければならない」と述べた。

第1党となっても、いまいち喜べない。単独はおろか、自民・公明でも過半数に届かなかったことから「微妙な勝利」というのが正直なところのようだ。

2:都民ファーストは14議席減も「第2党」に

「都民ファースト会」のポスター

「都民ファースト会」のポスター

撮影:吉川慧

2017年に“小池旋風”で圧勝した地域政党「都民ファーストの会」は改選前の45議席から31議席に減らした。だが、当初一部で伝えられていた「惨敗」は回避。なんとか持ちこたえた。

党の創設者で顧問でもある小池百合子知事は前回選挙とは異なり、都ファ支持を公の場で表明することは少なかった。都議選の主役を演じることを、あえて意図的に避けていたように映った。

その小池知事は都知事選の告示直前に「過労」で入院。選挙の「顔」が不在のまま選挙戦に突入したことも、都ファの議席減につながったと見える。

「都民ファースト会」代表の荒木千陽氏を激励する小池知事。荒木氏は小池知事の元秘書(2021年7月3日)

「都民ファースト会」代表の荒木千陽氏を激励する小池知事。荒木氏は小池知事の元秘書(2021年7月3日)

撮影:三ツ村崇志

小池知事は退院後の7月2日、一度中止が決まっていた定例会見を一転して開催。「倒れても本望」と粉骨砕身ぶりをアピールし、選挙最終日の3日には、党代表の荒木千陽氏(中野区)や板橋区から国替えした平慶翔氏(千代田区)などの選挙事務所に激励に駆けつけた。

3日夕方、千代田区内に置かれた平氏の選挙事務所。平氏は小池氏からの激励を「満身創痍の中、駆けつけてくれた」とマイクで有権者に訴えた。

小池氏は支持者にグータッチをしながら練り歩いたが、平氏に身体を支えられながら歩く場面も。小池氏はマイクを握らず、「金魚鉢」と呼ばれるガラス張りの選挙カーに候補者と同乗して手を振るなどにとどめていた。

小池知事の身体を支える平慶翔氏。その後ろにいるのは樋口高顕・千代田区長。平氏とは都議会議員の当選同期だった。(2021年7月3日)

小池知事の身体を支える平慶翔氏。その後ろにいるのは樋口高顕・千代田区長。平氏とは都議会議員の当選同期だった。(2021年7月3日)

撮影:吉川慧

朝日新聞の世論調査(6/27、28実施)によると、小池知事の支持率は57%。コロナ対策も有権者の半分以上が小池知事を評価していると答えたが、これがそのまま「都民ファースト支持」に必ずしも繋がらなかった現状が選挙結果から見て取れる。

自民と都ファ以外を見てみよう。

公明党は一部で苦戦を伝えられながらも現有の23議席を死守した。

共産党は18議席から19議席に。共産と一部で候補者一本化で調整した立憲民主は8議席から15議席へと躍進。いずれも小池知事への批判票、無党派の自民党への批判票が流れたと見える。

生活者ネットも「会派発祥の地」北多摩2区(国分寺市、国立市)で1議席を確保。ネットは議員在任は3期12年をルールとしており、今回は新人が議席を受け継いだ。

維新も大田区で新人が当選。積み増しはできなかったが現有1議席を維持した。国民民主党、れいわ新選組、嵐の党は議席を獲得できなかった。

3:7つの「一人区」は都ファが3勝、自民は2勝

一人区の議席状況

一人区の議席状況

Business Insider Japan

都議選の趨勢を占う上で注目されるのが激戦区、特に7つある定数1の一人区だ。これまでの歴史をみると、一人区を制した党が都議会で主導権を握るケースが見られた。

都民ファーストは、千代田区・青梅市・昭島市の3選挙区で議席を獲得した。

注目区の一つが千代田区だ。ここはかつて「都議会のドン」と呼ばれた都議会自民党の重鎮・内田茂氏の地元。前回では「小池旋風」の中心となり、都民ファーストの樋口高顕氏が勝利した。

今回、自民からは内田氏の娘婿・内田直之氏が出馬。対する都ファは、1月に都議から千代田区長に“鞍替え”した樋口氏の後継として現職の平慶翔氏を擁立。樋口区長と都議会同期だった平氏を板橋区から国替えさせ、迎え撃った。

結果は平氏が勝利。千代田区議を3期10年務めた内田氏は及ばなかった。

千代田区同様、事実上の都ファ vs. 自民の対決構図となった青梅市・昭島市でも都ファが勝利した。小金井市も野党が相乗りで支援した無所属候補が勝利した。

一方、第1党となった自民党が勝利したのは中央区と島しょ部の2つのみだった。

朝日新聞の出口調査によると、無党派層(全体の23%)の投票先は都民ファーストが前回からは減らしながらも25%と最多。自民支持層でも都ファへの一定の支持があった。

自民党支持者や公明党支持者の中には自民党出身で女性初の都知事となった小池氏を支持する人が一定数いる。

自民党が第1党となりながらも一人区で破れたり、いくつかの複数人区で共倒れした展開には、国政与党である自民党への忌避感が見て取れる。

都民ファーストは都議会での存在感を一定程度は確保できた。一方、自民党は「優勢」が伝えられながらも目論見通りには議席を伸ばせず、年内に実施される衆院選に向けて戦略の立て直しが迫られそうだ。

4:オリンピックへの姿勢と獲得議席の関係は……

東京都議選は9日間の選挙戦だった。

東京都議選は9日間の選挙戦だった。

撮影:吉川慧(左)、三ツ村崇志(右下)、shutterstock(右上)

今回の都議選では、7月23日に開幕する東京オリンピックへの対応も争点の一つとされた。

このうち「中止」もしくは「延期」のように、オリンピック開催に否定的な会派(共産・立民・ネット)は127議席中35議席となった(※改選前は共産・立民・ネットで27議席だった)。

自民・公明はマニフェストの中でオリンピックには触れておらず、都民ファーストは「無観客」での開催を主張した。

5:女性は過去最多41人が当選、比率は32%

都議選アンケート「クオータ制、どう思う?」

都議選アンケート「クオータ制、どう思う?」

画像:Business Insider Japanが作成

今回の都議会議員選挙では、史上最多となる76人の女性候補が立候補。このうち当選したのは41人で、前回選挙を5人上回り過去最多となった。定数127のうち女性議員は32%となった。

2021年3月に世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数」の政治分野では、日本は156カ国中147位。国会議員(衆院)における女性議員の割合も、世界193カ国中で日本は166位と、非常に低い位置にある。

なお、Business Insider Japanが投票日前に実施したアンケートでは、特定の割合の議席や候補者を男女に割り当てる「クオータ制」の法制化に消極的なのは「自民党」と「嵐の党」の2党だった。

6:投票率は過去2番目の低さ

投票結果

投票結果

東京都選挙管理委員会

最後に、今回の都議選の投票率を見てみよう。

東京都選挙管理委員会によると確定投票率は42.39%。過去2番目に低い投票率となった。

「選挙の終わり」は「次の4年間のはじまり」だ

千代田区の選挙公報

千代田区の選挙公報

撮影:吉川慧

現在、東京都でのコロナ禍はなおも収まらず、第5波が心配されている。

目の前には東京オリンピックも迫っている。「開催か、中止か」の議論は、いつの間にか「観客を入れるか、入れないか」にすり替わり、開催自体は既定路線となってしまった。

財政問題も懸案だ。一般会計と特別会計を合わせた2020年度の全体予算(全28会計)は15兆4522億円。ノルウェー(16兆4656億円、2019年)やスウェーデン(12兆1984億円、2020年)などの国家予算並みの規模に相当する。

一方で都の収入にあたる税収(都税)は5兆450億円。前年度に⽐べて3996億円減った(前年比-7.3%)。都税の減収は9年ぶりだ。

都は不況や災害に備えて、2019年度末までに貯金にあたる「財政調整基金」として9345億円を積み立ててきたが、都はコロナ対策で相次いで補正予算を計上した。財政調整基金はその財源に充てられ、2020年5月時点では500億円まで減った。

6月16日に都が発表した「令和2年度一般会計決算(見込み)」によると、2021年度末の財政調整基金残高見込みは2837億円となった。

今後も新型コロナ対策費用がかさめば財政調整基金が原資になることは確実。都は今後も財源確保が課題となりそうだ。

都議会では6月、「同性パートナーシップ制度」を求める請願を全会一致で採択しており、小池知事も導入を検討する意向を示している。新たな都議会が、同制度を創設できるかも注目される。

都選挙管理委員会の都議選公式サイトには、全ての選挙区の候補者の公約を記した、選挙公報が掲載されている。これらは今のうちに手元に残しておこう。

そして4年後、私たちが選んだ都議会議員がそこに書かれている仕事をどのぐらい成したのかを図るリトマス試験紙としよう。

選挙の終わりは、次の4年間のはじまりだ。

(文・吉川慧

【UPDATE】議席情報を追記しました(2021/07/05 13:00)

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