パンデミック以前、アーロン・コラッチはニューヨークでバーテンダーとして働いていた。現在は、ソフトウェア開発の仕事を探している。
Aaron Kolatch
- パンデミック中に、新たにソフトウェア開発の分野で仕事を始めた3人が、その理由をInsiderに語った。
- 元バーテンダーの男性は、パンデミックをきっかけに、妻と過ごす時間がいかに少ないかを実感したと言う。
- 元シェフは、厨房で働きたいという気持ちを満たすために、今でもレストランでアルバイトをしている。
パンデミックに伴う大規模な解雇、リモートワーク、育児や介護などの理由で、何千人ものアメリカ人がキャリアの変更を考えざるを得なかった。
雇用主が事業を縮小したり、閉鎖したりしたために職を失った人や、「怒りのあまり退職」し、よりよい給料や条件の仕事を探し始める人もいる。
生涯学習企業のストライド(Stride)のキャリア・ラーニング担当プレジデント、ショーン・マカルモント(Shaun McAlmont)は、多くの人々が仕事の疲れにも悩まされていたと述べている。パンデミックによって人々は「自らの仕事環境全体」を変える機会を得たのだという。
Insiderでは、パンデミック中にホスピタリティやエンターテインメントなどの業界からソフトウェア開発の分野で新たに仕事を始めた3人に対し、その理由を聞いた。
ディズニーのダンサー
メラニー・アンダーソンは、安心して働ける仕事がしたいと考えた。
Melanie Anderson
メラニー・アンダーソン(Melanie Anderson)は、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランドでパレードダンサーとして働いていた。キャリアパスは「ほぼ決まったようなもの」だった。
しかし、パンデミックの影響でパフォーミングアーツ部門が壊滅的になり、他の仕事を探す必要が出てきた。
そこで彼女は、テックエレベーター(Tech Elevator)のブートキャンプに参加した。これはリモートのライブ授業で、キャリアサポートもしてくれる。
2021年2月に修了したが、彼女は「再び岐路に立たされた」。というのもワクチンの普及により、またパフォーミングアーツができるかもしれないという希望が生まれたからだ。しかし、彼女は安定した仕事に就きたいと考え、アメリカ自動車協会(AAA)で働き始めた。
業界全体で発生した大量解雇や一時解雇により、かつての同僚たちもキャリアチェンジを余儀なくされたと、アンダーソンは述べている。オンラインで講師をしたり、小売店で働いたり、副業をフルタイムにしたりする人がいたという。
彼女はパフォーミングアーツにパートタイムで戻りたいと願っている。
「私たちは皆、パフォーミングアーツの復活を心の中で強く望んでいる」
バーテンダー
パンデミック以前、アーロン・コラッチ(Aaron Kolatch)はニューヨークでバーテンダーとして働いており、直近ではブルックリンのノーマッド・ホテルで働いていた。
この業界が「とても向いていた」コラッチは、「バーテンダーとして本当によい暮らしをしていた」と言う。
しかし、2019年12月に結婚した時、自分の仕事が結婚生活とは合わないことに気が付いた。夜のシフトで働き、午前4時に寝ることが多く、オフィスで働く妻と一緒に過ごす時間を作るのが難しかったのだ。
「ニューヨークのすべてのバーが閉鎖されてから、毎日彼女と会えるようになった。5年間付き合っておそらく初めてのことだ」と彼は語った。
「ホスピタリティ業界の多くの人が、初めて普通の生活を体験しているのだと思う」
ロックダウンが始まり、他の職業を探し始めたコラッチは、ビデオゲームの改造方法を学んでいるうちにソフトウェア開発に行き当たった。
そこで彼は、ハック・リアクター(Hack Reactor)のブートキャンプに参加することにした。現在、彼はハック・リアクターで働きながら、ソフトウェア開発の仕事を探している。
パンデミックのおかげで、キャリアを変えるのが「以前よりも簡単になった」と彼は語っている。
シェフ
シェフからソフトウェア開発者に転身したドリュー・ホール。
Drew Hall
パンデミック以前、ドリュー・ホール(Drew Hall)はフィラデルフィアのレストラン業界で18年間働き、そのうち10年間はシェフとして働いていた。
週に80時間働くこともあり、仕事のために休暇が取れなかったり、結婚式を欠席したりしたことさえあったが、「私は自分の仕事が好きだった」と述べている。
パンデミックの前から、ホールは転職を考えていたが、そのために勉強する時間をどう確保すればいいのか分からなかった。
しかし、パンデミックによりレストランが閉鎖され、テックエレベーターのブートキャンプに参加するための「十分な時間」を確保することができた。
ホールは現在、金融サービス会社のPNCでソフトウェア開発者として働いているが、週に3日はレストランで仕事をしている。「厨房で働きたいという欲求を満たすためだ」と彼は語っている。
しかし、転職したことに後悔はなく、夏休みには3回旅行に行くことを計画しているという。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)