錦鯉の販売業者、ティム・ワディントンさんの会社のスタッフが大きな錦鯉を抱えている。
Tim Waddington
- ティム・ワディントンさんは、30年以上の錦鯉販売の経験がある。
- 彼が経営する「クオリティー・ニシキゴイ」は、アメリカ、南アフリカ、トリニダード・トバゴなどに顧客を持つ。
- 彼に収益性の高い鯉ビジネスを行うために必要なノウハウを聞いた。
世界で最も高価なペット用の魚である錦鯉を調達し、販売することは、収益性の高いビジネスであると同時に、楽しい仕事でもある。イギリス最大の錦鯉輸入業者「クオリティ・ニシキゴイ(Quality Nishikigoi)」の経営者、ティム・ワディントン(Tim Waddington)さんはそう考えている。以前、Insiderが報じたように、これまでに販売された最も高価な錦鯉は、180万ドル(約2億円)相当だった。
元々1700年代に日本で飼育されていた錦鯉は、人々がその鮮やかな色彩に興味を持ち始めるにつれて、次第に世界各地に広まっていった。
「私の父は、日本の錦鯉をイギリスに持ち込んだ先駆者です。父は80年代に最初の錦鯉専門店をオープンしました」とワディントンさんは言う。30年以上の経験を持つこの業界のエキスパートであるワディントンさんは、急速に拡大するこのビジネスを運営するノウハウをInsiderに語ってくれた。
錦鯉の人気は年々高まっている。
Kirill Chebotar / EyeEm/ Getty Images
ワディントンさんによると、錦鯉には安定した需要がある。「錦鯉を購入したいと思っている人は常にいる」と彼は言う。その需要を生かすために、ワディントンさんは自分で仕入れた最高品質の日本産錦鯉を顧客に提供しているという。そのような錦鯉は数千ドル(数十万円)の値がつくこともあるという。
ワディントンさんが販売している錦鯉の中には、2700ドル(約30万円)もの値段がついているものもある。しかし、高価なものは何でもそうだが、人は価格の高いものを一回限りの買い物として購入する傾向がある。そのため、安い鯉を売ったほうが長期的には利益が出るとワディントンさんは言う。
しかし、魚にはさまざまな問題があるため、価格が高ければ高いほど、その損失も大きくなる。「魚が死んでしまうこともあるので、損失は覚悟しなければなりません」とワディントンさんは話す。
ワディントンさんは、20年以上も同じ顧客に鯉を販売している。
「南アフリカ、トリニダード、ドバイ、アメリカ、そして最近ではインドにも顧客がいます。これは時間と経験が必要な口コミによるものです」
高級錦鯉を仕入れるためには、日本への出張が欠かせない。これまでに70回以上日本を訪問しており、1回の出張ごとに約4週間滞在する。
彼は「日本に行くときは、自分の店のために魚を探すのはもちろんですが、他の業者のために魚を探すこともあります。また、特定のサイズ、年齢、品種などを探すこともあります」と話す。
「1日に20軒の養殖業者を訪問することもあります」
夏の間、錦鯉を育てる日本の池。
Tim Waddington
彼は日本に行くとき、顧客が希望する特定の色や模様のリストを持参するという。ワディントンさんのような鯉業者は、厳選された養殖業者からしか得られない貴重な血統の鯉を選ぶことになる。
単に家庭での観賞用として鯉を購入する人もいれば、競走馬のようにチャンピオンを決める大会に出場するために鯉を購入する人もいるとワディントンさんは話す。
実際に、顧客に提供した錦鯉の1匹が最近、「南アフリカ・ナショナル・コイ・ショー(South African National Koi Show)」で優勝した。
「私に求められていることは、ショーで優勝することができる鯉や、鑑賞するための鯉を見つけることなのです」とワディントンさんは言う。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)