中国当局、IPOしたばかりの「ディディ(滴滴出行)」をDL停止処分

ディディ

車に貼られたディディのロゴマーク。北京で行われたインターネット・カンファレンスで。

Reuters

  • 中国の規制当局は、ディディ(Didi:滴滴出行)のアプリの配信を停止させた。同社がニューヨーク証券取引所で株式公開した数日後のことだった。
  • 中国当局は、同社が個人データの収集と使用の両方において「重大な違反」を犯したと発表した。
  • 同社は、この命令を遵守し、必要な変更を行うとしている。

中国政府は2021年7月4日、中国の配車サービス「ディディ(Didi:滴滴出行)が、ユーザーの個人データを違法に収集して利用しているとして、アプリストアが同社のアプリを提供することを禁止した。

これは同社がニューヨーク証券取引所に株式を上場した数日後に起こった。中国は、反競争的な行動からプライバシーやセキュリティに至るまで、さまざまな問題で大手テクノロジー企業の取り締まりを強化している。この前週には、中国のサイバースペース管理局が、市民の安全と国家の安全を守るためにディディの調査を開始したと発表していた。

中国サイバースペース管理局は7月4日、ディディのアプリが個人情報の収集と利用の両方で「重大な法令違反がある」ことがわかったとウェブサイトで述べた。アプリストアはディディを削除し、「法的要件に厳密に従う」よう通知された。この声明では、違法に収集または使用されたとされる情報の種類については言及していない。

ディディはウェイボー(Weibo)に投稿した声明の中で、命令に従い、必要な変更を加えると述べた。新規ユーザー登録は一時停止され、アプリは「所轄機関の要件に厳密に従った是正のためにストアから外す」と声明には記されている。

アプリを既にダウンロードしているユーザーはこれまで通り使用することができ、乗客の移動やドライバーへの発注には影響がないという。

ディディは、時価総額で世界第2位の配車サービスアプリであり、評価額は約860億ドル(9兆5600億円)だ。現在、ウーバー(Uber)の評価額は約930億ドル(10兆3300億円)で、リフト(Lyft)は約200億ドル(2兆2200億円)だ。

6月30日にニューヨーク証券取引所で公開したディディの株式の価格は、その直後に28%も上昇した。同社のデビューは、中国企業の中では、電子商取引大手のアリババが2014年に行ったIPOに次いで2番目の規模だった。

ディディは、2016年に10億ドル(約1111億円)を投資したアップル(Apple)をはじめ、多くの著名な投資家を擁している。ブルームバーグによると、ソフトバンク・ビジョン・ファンドはディディの株式の21.5%を保有しており、ウーバーは12.8%、テンセント(Tencent)は6.8%を保有している。

[原文:China orders the removal of the Didi app from stores, accusing the ride-hailing company of illegally collecting personal data

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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