Manuel Romano/NurPhoto via Getty Images
- 中国が暗号通貨のマイニング業者を厳しく取り締まったことで、それ以外の国ではビットコインの採掘がやりやすくなった。
- ビットコインの採掘難易度は、7月3日に過去最大の軟化を記録した。
- ある暗号通貨トレーダーは、難易度調整後に採掘収入が50%も跳ね上がったと述べている。
中国が国内の暗号通貨取引に対する取り締まりを強化したことにより、競合するマイニング事業者が減少し、中国以外の国でビットコインの採掘はより簡単で収益性の高いものになっている。
BTC.comのデータによると、ビットコインの採掘難易度は2021年7月3日に28%も急落し、ネットワーク史上最大の軟化を記録した。
ビットコインを採掘する際の1秒当たりの演算回数をハッシュレートといい、その動きに応じて採掘難易度はおよそ2週間ごとにアルゴリズムによって自動的に調整され、マイナーの生産性がバランスよく保たれるようになっている。7月3日の調整により、マイニングシステムが暗号通貨を生成するブロックを完成させる難易度が30%ほど下がったため、採掘を続けているマイナーにはより多くの報酬が支払われる可能性がある。
暗号通貨トレーダーのスコット・メルカー(Scott Melker)は7月5日、難易度調整後に1日のマイニングによる収入が50%も急増したと述べ、次のようにツイートした。
「ビットコインの価格は数週間で50%以上も下落し、ビットコインのマイニングの60%以上が行われている中国で禁止措置があったが、それでもネットワークは影響を受けていない。救済措置や政府からの援助、操作は必要ない。自由な市場が自由であるだけだ」
ビットコインが4月に5万ドルから6万ドルの間で取引されていたとき、マイニング産業は1日あたり5000万ドルから6000万ドルの収入を得ていたと、Glassnodeは5日のレポートで述べている。これは現在は半減し、1日あたり2500万ドルから3000万ドル程度になっていることがGlassnodeの調査で分かった。しかし、これを今までより少ない数のマイナーでシェアしており、オンラインに残っている人たちは、競争相手の49%がスイッチを切ってしまったと述べている。これは、最新の難易度調整の後、競争相手がいない状態で、まだ稼働しているマイナーは、収益性がほぼ2倍になり、4月のレベルに戻ったことを意味しているという。
ビットコインのマイニングの約65%が行われている中国で、多くの施設が閉鎖されたことで、以前よりも大幅なハッシュレートの低下などが生じた可能性が高いと、FRNT Financialの共同設立者兼CEOのステファン・オーレット(Stéphane Ouellette)はInsiderに述べている。
だが、中国のマイニングを排斥する取り組みによる最も大きな影響は、中国以外でのマイニングが加速したことかもしれないという。
「中国では3カ月にわたってビットコインのマイニングに対して圧力がかけられてきたが、ブロックチェーンが悪影響を受けた兆候は見られない。実際、ビットコインのハッシュレートは4月に史上最高値を達成した」とオーレットは言う。
「その後、ハッシュレートは価格に相関して低下が見られたが、これは歴史的に見てもネットワークの通常の動きだ」と彼は付け加えた。
中国は、デジタルトークンをビジネスに使用できないと宣言したり、内モンゴル自治区でホットラインを設置して、まだ稼働している施設について通報できるようにしたりと、マイニングを厳しく取り締まっており、その影響がハッシュレートの動きに反映されている。
ビットコインは、7月5日には5%安の3万3500ドル前後で取り引きされていて、4月のピーク時から約47%下落したが、年初からは15%増加している。
メモリプールの検証待ち取り引き数
Blockchain.com
オーレットは、BTCメモリプールと呼ばれる別の指標についても指摘した。これは、マイナーが新しいブロックチェーン取り引きを記録する前の「待機場所」だ。
この数値は過去数カ月にわたって上昇しているが、2017年と2018年の過去最高値を大きく下回り、ネットワークが正常に機能していることを示唆している。
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)