デルタ株には1回のワクチン接種では不十分…新たな研究が示唆

デルタ株には1回の接種では不十分。

Peter Byrne/PA Images/Getty Images

  • 新たな研究では、デルタ株に対しては、1回のワクチン接種ではあまり効果がないことが示された。
  • 研究者は、ファイザーとアストラゼネカの両方のワクチンを用いて実験室で実験を行った。
  • また、他の研究では、部分的にワクチンを接種した人は、デルタ株による症状が出やすいことが示された

ワクチンはデルタ株に対しても効果があるが、その効果の程度はワクチン接種を完了しているかどうかに大きく依存しているようだ。2021年6月8日にネイチャー(Nature)誌に掲載された研究によると、ファイザー(Pfizer)やアストラゼネカ(AstraZeneca)のワクチン(いずれも2回の接種が必要とされている)を1回接種しただけでは、デルタ株に対する効果が弱いか、まったくないことがわかった。

研究者は、今回の実験をワクチン接種を受けた人の血液サンプルを使って実験室で行った。その結果、1回の接種では、デルタ株の中和抗体ができたのはわずか10%だった。これは、症状を伴う感染からある程度は保護されることを示している。しかし、2回の接種を行った検体では、95%にデルタ株に対する中和抗体ができた。

研究者は、デルタ株はワクチンによる免疫保護を「部分的に、しかし著しく(partially but significantly)逃れることができる」と結論づけた。

このような実験結果は必ずしも現実の世界に直結するものではないが、他の研究でも同様に、デルタ株に対しては1回のワクチン投与では効果が薄いことが示されている。

5月にイギリスで行われた分析では、デルタ株に対して、ファイザーまたはアストラゼネカのワクチンを1回接種した場合の効果は、わずか33%だった。しかし、2回接種すると、ファイザーでは88%、アストラゼネカでは60%の有効性が得られた。また、デルタ株への感染による入院を防ぐ効果は、ファイザーのワクチン2回接種で96%、アストラゼネカ2回接種で92%だった。

17歳のジャミレット・モタは、移動診療所で看護学生のジョセリン・ソラノからファイザー製ワクチンの接種を受けた。2021年4月20日、カリフォルニア州ロサンゼルスで。

17歳のジャミレット・モタは、移動診療所で看護学生のジョセリン・ソラノからファイザー製ワクチンの接種を受けた。2021年4月20日、カリフォルニア州ロサンゼルスで。

Al Seib/Los Angeles Times/Getty Images

一方、まだ査読が終わっていないカナダの研究論文では、ファイザーの注射を1回投与した場合、2週間後のデルタ株による症候性感染の予防効果は56%だった。同じくアストラゼネカは67%、モデルナ(Moderna)は72%だった。デルタ株による入院を防ぐ効果については、ファイザーが78%、アストラゼネカが88%、モデナが96%だった。

同じ研究では、デルタ株による症候性感染に対して、2回の接種後、ファイザー社のワクチンは87%の有効性を示した。しかし、研究者はアストラゼネカとモデルナに関しては十分なデータを得ていない。

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