ランタンのようなグラスサウンドスピーカーの新機種が登場した。
撮影:小林優多郎
ダイニングのインテリアにある「ソニー製品」に新型が登場する。
ソニーは7月13日、新型グラスサウンドスピーカー「LSPX-S3」を発表した。予想実売価格は3万9000円(税込)、8月6日発売予定。
ソニーはこれまでも、有機ガラス管が振動して均一に音が広がる“グラスサウンドスピーカー”を発売してきた。初期型「NSA-PF1」(2008年6月発売)から数えて、LSPX-S3は4世代目にあたる。
前機種に比べて、土台の素材の見直し、中低域の音を再生するウーファーのサイズアップをしつつ、価格が5000円前後下がっている点が特徴だ(LSPX-S2の直販価格は4万4000円税込)。
独特のグラスサウンドスピーカーが堅実に進化
写真左からLSPX-S2、LSPX-S3。
撮影:小林優多郎
LSPX-S3自体の主な特徴は以下の通り。
- 有機ガラス管自体が高音域のトゥイーターの役割を持ち、楽器の音、人の声を独特な雰囲気で再現。
- 管の中のLEDは新しく32段階の明るさ調整に対応。光が揺らぐ「キャンドルモード」は揺らぎの大きさが3段階+音楽連動モードで調整可能。
- 通話ボタンとマイクを新搭載することで、ハンズフリー通話にも対応。
本機種の大きな魅力は、やはりその機構とデザインにある。
歴代のソニーのグラスサウンドスピーカーはいずれも、有機ガラス管自体を振動させることで、一見してスピーカーには見えない独特のデザインと、音に包まれるような(いわゆる、無指向性スピーカー)特有のサウンド体験が得られる。
中心のLEDの光が、ローソクの火が揺らぐような独特の雰囲気を出す。
撮影:小林優多郎
体験すると、「360度のサラウンド感」ともやや違う印象で、仮に目の前にグラスサウンドスピーカーを置いたとしても、あまり目の前で音が鳴っているとは感じない不思議な感覚がある。けれど、ぼうっとぼやけた音になるわけでもない。弦楽器に近いガラスを振動させる機構のおかげか、生の楽器や人の声は一定の緊張感を持った表情になる。
最大100台を同時につなげる「パーティーコネクト」に対応。
撮影:小林優多郎
ランタンのように光が揺らぐ、独特の機構にも新型ではアップデートが入った。
特に、LSPX-S3は光の強さをより細かく調整できるようになったほか、キャンドルモードに音楽連携機能が加わり、再生中の曲の音量に合わせて光が揺らぐようになった。
今回、最大100台のLSPX-S3を接続するパーティーコネクトにも対応。また、最大8台までにはなるが、連携したLSPX-S3間で時間差による光の連動表現もできる。
価格を抑えた分、機能面の“断捨離〝〟も
写真左からLSPX-S2のウーファー、LSPX-S3のウーファー。
撮影:小林優多郎
スペック的なところに注目すると、前機種と比べてさまざまな要素が“断捨離”されている。
前述の通り、ウーファーが35ミリから42ミリへ大きくなり中低音域の音質は改善。LEDの光の調整幅、マイク・通話ボタンが追加、Bluetoothは4.2から5.0に対応するなど、前機種より向上している部分はある。
一方で、オーディオ入力端子が廃止され、また最大出力は11Wから8Wへ、本体に搭載される高音質化技術は「DSEE HX」から「DSEE(無印)」へ、そしてBluetooth接続での高音質電装技術(LDAC)に対応するもののハイレゾオーディオ(192kHz/24bit)は非対応となっている。
ハイレゾ音源対応を望む人やオーディオ入力端子がなくなり拡張性の面で物足りないと感じる人もいるかもしれない。
LSPX-S3(写真左)が充電専用のUSB Type-C端子を備えるのに対し、LSPX-S2(右)は充電用のマイクロUSB端子、オーディオ入力端子がある。
撮影:小林優多郎
ただ、短時間試聴した印象では、音質面をS2とS3で比較すると低音がはっきりしている分S3の方が満足度があった。
また、今まで割と高価だったグラスサウンドスピーカーが4万円未満になったと考えると、かなり手の届く範囲の商品になったと感じる(ちなみに、初代NSA-PF1の発売時の希望小売価格は105万円だった)。
(文、撮影・小林優多郎)