- この記事はインサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「ハイブリッド型ロボアド(Hybrid Robo-Advisors)」のプレビュー版。
株式投資を自動で行うロボアドバイザー(ロボアド)。2008年の金融危機の後、資産運用をよりシンプルで、誰にでも手が届くサービスにしたいと考えたフィンテック企業が生みだした「テクノロジー・ファースト」なソリューションが注目を集めている。
※この記事は2020年12月11日に公開した記事を一部編集して再掲載しています。
いざという時に人と話せる安心感
アメリカで人気上昇中の「ハイブリッド型ロボアド」は、アルゴリズムによる自動取引の「安さ・手軽さ」と人的アドバイスの「安心感」を併せ持つ。フィンテックのほか、大手証券会社や資産運用会社も提供している。
Business Insider Intelligence
手数料が安いロボアドの登場で、株式投資や資産運用はかつてないほどにアプローチがしやすくなった。そんななか、現在多くの事業者がロボアドに人間の知恵を加えたサービスを提供している。IT技術と人間によるアドバイスを組み合わせたこのモデルは、「ハイブリッド型ロボアド」と呼ばれる。
対面での資産運用サービスを提供する証券会社などの企業も、既存のビジネスモデルを補完するものとして「ハイブリッド型ロボアド」を商品一覧に加えることで、新たな顧客を引きつけることができる。今後ますます多くの金融サービス企業がこうしたサービスを提供していくだろう。
ハイブリッド型ロボアドは、アルゴリズムによる投資の利点である「コスト・管理面の効率性」と、「人に相談できる安心感」を併せ持つ。対面式の資産運用サービスよりも低価格で、人間のアドバイザーからパーソナライズされた助言を受けることが可能で、市場が激しく変動している時は精神的な支えとなってくれる。
コロナで市場が荒れるなか、人気が上昇
北米市場でロボアドが運用する資産残高の推移予測。
Business Insider Intelligence
コロナの影響で不透明感が増すなか、人間によるアドバイスの重要性は増している。市場は乱高下しており、先を予測することは難しい。2008年の金融危機以降最悪の値を記録したかと思えば、急に予想外の回復を遂げたりもしている。
こうした状況下で不安に駆られた投資家にとって、ハイブリッド型ロボアドのサービスは心強く感じられるだろう。人間のアドバイザーが市場の変動性について説明し、難しい局面でどう対応すべきか助言してくれるからだ。
「ハイブリッド型ロボアド」サービス提供への指針
アドバイザー1人にかかるコストを回収するために必要な運用残高を比較。左が「対面型の資産運用サービス」右が「ロボアド」。
Business Insider Intelligence
インサイダー・インテリジェンスによる調査レポート「ハイブリッド型ロボアド(Hybrid Robo-Advisors)」では、サービスの多様化を目指す証券会社や資産運用会社にとって、同サービスを提供することの利点を明らかにする。また、これらの企業にコロナ危機が及ぼしている影響についても論じる。
さらに、ハイブリッド型ロボアドを評価するための成熟度モデルを定義し、重視すべき機能や性能を示した。デジタル・プロダクトと人的アドバイスを連携するにあたり、留意すべきことについても解説。ロボアドサービスを立ち上げようとしている従来型の金融サービス企業にとって、目安となるだろう。
また、本レポートではアメリカでハイブリッド型ロボアドを提供する、従来型の金融サービス企業の商品に焦点を当てる。チャールズ・シュワブ、TDアメリトレード、バンガード、ブラックロックの4社によるハイブリッド型ロボアドについて、「オンボーディング(新規顧客の定着)」「テクノロジーと人的要素の連携」「料金体系」を評価し、それぞれの商品ついて留意すべき点も論じる。
本レポートの執筆のため、チャールズ・シュワブ、TDアメリトレード、ブラックロックの3社については、2020年9月に直接取材を行った。バンガードについては、机上調査による情報をまとめた。
本レポートで言及される企業:
ABN AMRO, Betterment, BlackRock, Charles Schwab, Fidelity, Moneyfarm, Nutmeg, Personal Capital, TD Ameritrade, Vanguard, Wealthsimple
本レポートのキーポイント:
- ハイブリッド型ロボアドは急激な成長を遂げている。「パンデミックの影響」そして「ミレニアル世代への富の移行」などが追い風となり、ロボアド市場はさらに拡大するとみられる。
- コロナ危機で不透明感が増すなか、人間による助言が得られるハイブリッド型ロボアドに魅力を感じる人は増えるだろう。一方で、コロナ禍がこのビジネスモデルを難しくしている側面もある。
- 従来型の資産運用サービスに比べてコストがかからないハイブリッド型ロボアドは、料金を低く設定できる。ロボアドで取り込んだ若い顧客が、後に別のサービスにステップアップしてくれることが期待できる。
- 人間によるフル・サポートを提供する上位のハイブリッド型ロボアドも存在する。顧客が好みに応じてロボット機能とのバランスを選択できる柔軟さがある。
- チャールズ・シュワブ、TDアメリトレード、バンガード、ブラックロックは、それぞれハイブリッド型ロボアドを提供している。人間によるアドバイスと先端技術をうまく連携することで、顧客のニーズに合わせたサービスを提供している。
本レポートの完全版では:
- ハイブリッド型ロボアド・サービスを提供することの利点を示す。
- コロナがこの分野に及ぼした影響を解説し、危機を乗り越えるための対策例を提示する。
- ハイブリッド型ロボアド・サービスを提供するにあたり、競合に対する優位性を得るために組み込むべき機能について解説。独自の成熟度モデルを用いて、サービスを評価する。
- 金融サービス企業4社が提供するハイブリッド型ロボアド商品について解説する。
- これら4社が提供するロボアド商品について、「オンボーディング」「ポートフォリオの管理方法」「料金体系」を比較。それぞれ留意すべき点についても論じる。
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(翻訳・野澤朋代)