グーグルは新たな交渉を始めるか、1日1億円以上の罰金を払うかを選ばなくていけない。
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- フランスの反トラスト当局は、グーグルに5億ユーロ(約650億円)の罰金を科した。
- グーグルは、報道機関との新たな契約交渉を始めなければ、1日あたり1億円以上の罰金を科されることになる。
- グーグルの広報担当者はブルームバーグに対し、今回の決定に「非常に失望している」と述べた。
グーグル(Google)は、フランスの報道機関とのコンテンツの対価をめぐる交渉が決裂し、フランスの独占禁止法当局から5億ユーロ(約650億円)の罰金を科せられた。
今回の措置は、世界中で繰り広げられている、ソーシャルメディア企業、規制当局、報道機関の間の争いの最新事例になった。
オーストラリア政府は、フェイスブック(Facebook)やグーグルに対して、自社のウェブサイトにニュースコンテンツを表示するために一定の料金を支払うか、あるいは独自に出版社と直接契約を結ぶか、という厳しい新ルールの施行を主導してきた。この対立は2021年2月にピークに達し、フェイスブック(Facebook)は2月17日、オーストラリアのユーザーに対するすべてのニュース・コンテンツをブロックし、オーストラリアのニュースパブリッシャーが発信する世界中のユーザーに向けたコンテンツをブロックした。
この騒動はフェイスブックとグーグルの両社が、それぞれのニュースフィードと検索結果にコンテンツを表示するために、地元の報道機関と数百万ドル規模の契約を結んだことで、事実上終結した。しかし、アメリカ、EU、カナダの規制当局はこれに注目した。
2021年初め、グーグルとフランスの報道機関のロビー団体「Alliance de la Press d'Information Générale」は、ハイテク企業がコンテンツへの対価支払いの枠組みで合意したと発表した。
しかし、7月13日、フランスの反トラスト当局「Autorité de la concurrence」のイザベル・デ・シルバ(Isabelle de Silva)は、グーグルがニュースコンテンツに対して提示した金額は「ごくわずか」であり、辞書への記載や天気予報の更新に支払う金額と同程度であると述べた。
「5億ユーロという制裁金は、違反行為の例外的な深刻さを考慮したものだ」とシルバは述べている。
この決定により、グーグルは、2カ月以内にフランスの報道機関と新たな交渉を開始しなければ、1日あたり最大90万ユーロ(約1億1700万円)の罰金を科される。
グーグルの広報担当者はブルームバーグに対し、今回の決定に「非常に失望している」と述べた上で、「すべてのプロセスにおいて誠意を持って行動した」と付け加えた。
今回の制裁金は、フランス当局による罰金の中でも2番目に多く、2020年にアップル(Apple)に対して反競争的行為を行ったとして科した11億ユーロ (約1400億円) に次ぐものだ。
グーグルは近年、ヨーロッパの当局から数々の罰金を科せられている。合計すると、さまざまな反トラスト法違反の疑いで、2017年から2019年にかけて100億ドル(約1兆1000億円)相当の罰金を科せられた。
Insiderはグーグルにさらなるコメントを求めている。
[原文:https://www.businessinsider.com/france-google-slapped-with-593-million-fine-antitrust-agency-2021-7]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)