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コロナ後に向けて戦略をシフト。クレジットカード業界の現況と今後の動向

クレジットカード発行会社の収益は長い間低迷していたものの、2020年には成長が見込まれていた。しかし、パンデミックの発生でこの予想は外れてしまった。失業が増加し、店舗が閉鎖され、多くの人が経済的に困難な状況に陥いるなか、クレジットカードの利用にも大きな影響が出た。

雇用が回復し、ワクチン接種が進み、3回目の景気刺激策によって消費者の負債が減少すれば、実店舗でのクレジットカード利用は回復するのだろうか?

本レポートでインサイダー・インテリジェンスは、消費者向けクレジットカードの今後を展望する。クレジットカード債務に関する統計データを分析しながら、業界トレンドの変化を予測。クレジットカード発行会社が収益を増やすには、どのようなサービスを提供すればよいのかを明らかにする。

2020年のアメリカにおけるクレジットカード利用状況

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実店舗でのクレジットカード決済額の推移と予測。赤色は、実店舗でのクレジットカード決済比率。

Business Insider Intelligence

外出禁止令や旅行の制限により、2020年の第2四半期と第3四半期に景気は急激に悪化した。パンデミックは昨年のクレジットカード利用にどの程度影響を与えたのか、カギとなる統計データを示しながら解説する。

  • カードとモバイル決済の専門誌ザ・ニルソン・レポート(The Nilson Report)によると、2019年のカード決済比率は約3分の2だった。それが2020年には、Eコマース取引の約81.4%、対面取引の約76.8%に上昇した(金融サービステクノロジー提供企業FIS調べ)。
  • だが、4月には国内総生産が2.4%減少し、失業率が14.8%と記録的な水準に達するなか、多くの人がリスクを抑えるためクレジットカードよりもデビットカードを使うようになった。
  • 全体的に、消費者はクレジットカードの使用に慎重になっている。インサイダー・インテリジェンスが発表した「アメリカにおける実店舗でのクレジットカード決済額予測」によると、2020年の店舗でのクレジットカード決済額は1146億2000万ドル(約12兆6500億円)減少した。

景気刺激策により、クレジットカードの利用が増えてきた

昨年はいくつかのカテゴリーで個人消費が減少した。だが、2021年3月にバイデン政権が可決した1兆9000億ドルの新型コロナウイルス経済対策法案の後押しを受け、多くの人がクレジットカードを使って買い物をするようになるかもしれない。

VisaとMastercardのデータによると、「日用品・食料品」や「ドラッグストア」での買い物に関してはクレジットカードがデビットカードを上回っている。また、「商品購入」「サービス」「外食」などの分野でクレジットカードが成長を取り戻している。パンデミックからの回復の初期段階にあるいま、クレジットカード発行会社にとって取引量を増やし、顧客との関係を強化する機会が訪れている。

ワクチン接種普及後のトレンド

アメリカは、1億5000万人へのワクチン接種という目標をすでに達成している。より多くの人がワクチンを接種するに従い、アメリカ疾病対策センター(CDC)による制限はますます緩和されていくだろう。例えば、いくつかの州ではすでにレストランや美術館の収容人数の上限を増やしている。

また、ニューヨーク・タイムズ紙によると、コロナ前の生活が戻り、人々が自宅外で過ごす時間が増えるに従い失業率は改善していき、12月までに4.1%減少するという。

すでに2020年と比べて消費者の支出は増えており、特にクレジットカード決済についてはこれが顕著になっている。インサイダー・インテリジェンスの推計によると、2020年には店頭でのクレジットカード決済額が1146億2000万ドル減少した。2022年にはわずかに回復するだろう。

また、全米小売業協会(NRF)のデータは、消費者の支出が近い将来さらに増えることを示唆している。NRFは「2021年の小売販売額」がパンデミック前の水準に戻り、4兆3000億ドルに達すると予測している。だが、この段階ではまだ海外旅行需要が本格的に戻らないため、T&E(トラベル&エンターテインメント)カードの取引量は大きく伸びないかもしれない。

クレジットカード業界:2021年の予想

アメリカにおけるEコマースの売上高は2020年に33.6%増加し、7991億8000万ドルに達した。今年は13.7%増の9087億3000万ドルに達する予想だ。

2020年に消費者の支出はEコマースに大きくシフトしたが、消費者が再び実店舗に足を運ぶようになるにつれ、対面での売り上げは回復していくだろう。また、消費者の多くは、コロナ下で普及したデジタル決済を実店舗でも利用するようになる。

クレジットカード発行会社は、利用者にインセンティブを提供し、サポートを充実させ、流行りの決済方法に対応できれば、メインカードとして使ってもらえる。「特典」「信用供与」「カスタマーエクスペリエンス」などの面で、クレジットカードのサービスが今後どのように進化していくのかを以下で見ていこう。

人気のBNPLに対抗。より柔軟な決済を可能にする動きも

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クレジットカード発行会社はコロナの収束とともに、徐々にサービスを変化させていくことが予想される。

Business Insider Intelligence

投資関連メディア、モトリーフール(The Motley Fool)によると、後払い決済(BNPL)の利用率は2020年の夏から37.7%増加し、2021年3月までにアメリカの消費者の55.8%に達するという。パンデミックからの回復期にあって、人々は借金のリスクをできるだけ低減したいと考えている。アファーム(Affirm)、アフターペイ(Afterpay)、クラーナ(Klarna)などのフィンテック企業は、BNPLサービスでこうした顧客を惹きつけている。

現在多くのクレジットカード発行会社は、支払期間にある程度の柔軟性を設けている。だが、BNPLに負けないためには新たな戦略を取り入れる必要がある。対象顧客に商品の購入代金を長期にわたって支払うことを認めたり、通常とは異なる金利を設定したりするなどだ。こうした例に、アメリカン・エキスプレスの「Plan It」、チェースの「My Chase Plan」、シティの「Flex Plan」などが挙げられる。

Eコマースサイト内の目立つ位置に「購入ボタン」を表示させているBNPL決済業者に対抗するため、クレジットカード発行会社は小売業者とのパートナーシップを活かしている。例えばゴールドマン・サックスはアップルでの買い物に利用できる「アップルカード」を、シティはアマゾンでの100ドル以上の買い物に使えるサービスを提供している。また、Jifitiなどのサードパーティと組むことで、加盟店がBNPL決済を受け付けられるようにし、最終的には競合するデジタルネットワークを構築することも考えられる。

「利用者にとってのインセンティブ」に関するデータ

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アメリカの消費者の多くが、コロナ後に使うためカードのポイントやマイルを貯めている。

Business Insider Intelligence

クレジットカード発行会社は、コロナ下で利用者に提供していた救済プログラムを継続しながら、今後はその対象を絞っていくことが予想される。具体的にはミレニアル世代に向けたサービスを打ち出してくるだろう。この世代の56%がパンデミックの間に負債を増加させており、その割合は前後の世代よりも多い。ミレニアル世代はまた、給付金を借金の返済に充てる傾向が強い。

今後クレジットカード発行会社は、信用力のあるこの年齢層の顧客に対して「支払い猶予」や「手数料の免除」などの形でサポートをしていくと見られる。こうした取り組みによって銀行はリスクを軽減し、若い顧客と長期的な関係を築くことができる。また、発行会社にとって貴重な存在となりつつある低所得のマス層の顧客を支えることができる。

発行会社はまた安全に取引額を増やしていくために、経済的に余裕のある顧客や経済状況が回復しつつある顧客の与信枠を増やすことも検討している。例えばキャピタル・ワンは、プライムおよびサブプライム層の顧客に対して限度額の引き上げを認めており、他の金融機関もこれに追随すると見られる。これらの金融機関は、顧客の支払い履歴を慎重に確認し、収入やキャッシュフローを精査するため追加書類の提出を要求し、データやインサイトを注視する必要がある。

コロナ後に備えるクレジットカード発行会社

マーケティング・リサーチ会社イプソス(Ipsos)によると、アメリカの成人の3分の1以上(34%)が、パンデミック後に使うためカードの特典を貯めているという。コロナの収束とともに特典交換ラッシュが起こり、発行会社のコストが膨らむことが予想される。発行会社は、すべてのカテゴリーの顧客、特にT&Eカードを保有している顧客を満足させるために、新たな戦略を練らなければならない。今後トラベルカードは再び大勢の人々の支持を得て、一部の利用者にとっては、以前のようにメインカードとなるだろう。

だが、より多くのお金を使ってくれるT&Eカード会員やプレミアムカード会員を増やすためには、高級感のある特権的なサービスを用意しなければならない。信用力のある顧客を引き付けるために入会特典をつける方法もある。T&Eカテゴリーでは、利用額に応じて段階的に特典を拡大するのも良いだろう。料金に敏感な若年層の顧客にアピールするために、エントリーレベルのカードに入会特典をつけることもできる。

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[原文:Credit Card Issuers in COVID-19: Debt relief, stimulus checks, & vaccine impact

(翻訳・野澤朋代)

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