「デルタ株」の名称を使わず、単に「変異株」と呼ぶ航空会社

デルタ航空は、新型コロナウイルス変異株のネーミングを嘆いている。

デルタ航空は、新型コロナウイルス変異株のネーミングを嘆いている。

VanderWolf Images / Shutterstock.com and Centers for Disease Control and Prevention

  • デルタ航空は、世界保健機関が「デルタ」と名付けた新型コロナウイルス変異株の名称を使っていない。
  • 同社CEOのエド・バスティアンは、ウォール・ストリート・ジャーナルに「単に変異株と呼んでいる」と語っている。
  • 変異株を名付ける際には、発生源となった国の名を付けることでその国が非難されることがないよう、ギリシャ文字が用いられている。

デルタ航空(Delta Air Lines)は、新型コロナウイルス(と、その変異株の命名)によって不利益を被ったブランドに、コロナビール(Corona beer)に続いて名を連ねることになった。

新型コロナウイルスの最も新しい変異株の中には、「デルタ株」として知られるB.1.617.2系統の変異株がある。世界保健機関(WHO)は、変異株に正式名称を付ける際、発生源となった国名ではなく、ギリシャ文字を用いるようになった。国名が非難の対象となる懸念を減らすためだ。

インドで最初に発見されたデルタ株は、ワクチン接種済みの人であっても、従来型よりも感染しやすいことで知られている。アメリカ食品医薬品局(FDA)の元トップ、スコット・ゴットリーブ(Scott Gottlieb)博士が、デルタ株は2021年9月下旬にピークを迎えるだろうとInsiderに語ったように、現在、アメリカで主流となっているのは、このデルタ株だ。

しかし、デルタ航空はこれを面白く思っておらず、同社のエド・バスティアン(Ed Bastian)CEOはデルタ変異株という名称を使っていないと、ウォール・ストリート・ジャーナルに語っている。「単に変異株と呼んでいる」とバスティアンは述べている。

デルタ航空のチーフヘルスオフィサーであるヘンリー・ティン(Henry Ting)博士は、6月のツイートでこの件に関して初めてジョークを飛ばしている。ある顧客がライバルのユナイテッド航空(United Airlines)にちなんだ名前をつけるべきだとツイートし、それに対し彼は「我々は『B.1.617.2変異株』と呼んでいる。その方がずっとシンプルで、言いやすく、覚えやすいからだ」と、6月29日にツイートした。

メキシコのビールブランドであるコロナ(Corona)は、新型コロナウイルスのパンデミック発生初期に、ジョークのネタにされたことで話題になった。また「さあ、コロナの時間だ(It's corona time)」という広告キャッチフレーズも、ミームクリエイターたちのネタにされていた。

デルタ航空は、2021年第2四半期にGAAP(米国会計基準)で7億7600万ドル(約854億円)の税引前利益を計上したばかりだ。この利益は主に、レジャーのための利用が増えたことや、より多くの国際線が開設されたことに起因している。

運輸保安庁のデータによると、デルタ株が猛威を振るう状況にもかかわらず、1日の乗客数も増加し続けている。デルタ航空は、需要の増加に対応するために、航空機の追加導入を行っており、ボーイング737-900ERを29機、エアバスA350-900XWBを7機発注すると発表した。これらはすべて中古の機体を入手することになる。

[原文:Delta Air Lines refuses to use the name of the delta COVID-19 variant: 'We just call it the variant'

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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