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- インドネシア政府は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者に7日分の薬などが入った小包30万個を配布する。
- インドネシアではこれまでに7万人以上が死亡していて、その感染状況は東南アジアで最悪だ。
- 現地のある看護師は、無料で配布される薬は助けになるかもしれないが、病院が切実に必要としているのは酸素だと、Insiderに語った。
インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は7月15日、新型コロナウイルスに感染した患者にCOVID-19の薬とビタミンなどが入った無料の小包30万個を配布すると発表した。超満員の医療機関に受け入れを断られた人々を支援する狙いだ。
小包には7日分のビタミンも入っていると、ウィドド大統領は会見で述べた。医療機関への物資の供給を邪魔しないよう、「厳しい監督」の下で配布を実施するという。軽症または中等症の患者の場合、追加の治療薬を受け取るには医師の処方箋が必要になる。
インドネシアの感染状況は今、東南アジアで最悪だ。15日の時点でこれまでに272万人が感染し、7万192人が死亡している。
当局は、感染者の急増は主にデルタ株の影響だと話している。デルタ株は5月にインドで新型コロナウイルスの感染者数と死者数を急増させた。
インドネシアの医療インフラは、バリ島とジャワ島を中心に追い詰められている。そして、COVID-19の治療に役立つと噂される、効果が確認されていない薬の価格が急激に上がっている。
病院では酸素が絶えず不足していて、多くの患者が超満員の医療機関に受け入れを断られた後、自主隔離中に死亡している。
「恐ろしいです。わたしたちの病院では、1室を除いて全ての病室をCOVID-19の治療用に変えました。それでも、1回シフトに入るたびに、少なくとも10人は受け入れを断っています」と救急病棟で働く看護師は語った(安全上の理由から、この男性は匿名を希望した)。この看護師は首都ジャカルタにある、最大600人の患者を受け入れ可能な民間病院で働いている。
「わたしは絶えず、陽性患者と接触しています。病院の床で横になっている人もいます。車椅子で運ばれてきて、わたしのところへ来た時にはすでに死んでいる患者さんもいます」と看護師はInsiderに語った。
「PCR検査の結果が検査施設から戻ってくるまでに長ければ5日かかることもあるので、わたしたちも患者さんが新型コロナウイルスに感染しているのかどうか、常に確信があるわけではありません」
男性看護師は、無料で配布される薬やビタミンはインドネシアの苦境を和らげる助けになるかもしれないが、その効果はわずかだろうと話した。
「わたしたちが一番必要としているのは酸素です。今、それ以外のものはあまり助けにならないでしょう」と看護師は語った。中には必要な酸素量の3分の1しか吸入できない担当患者もいるという。
CNBCインドネシアによると、パンデミック対応を所管している大臣は15日、インドネシアはシンガポールやアラブ首長国連邦、中国といった国々から酸素を輸入する計画だと述べた。
(翻訳、編集:山口佳美)