2014年、オハイオ州ジャクソンセンターにあるエアストリームの工場で働く人々。
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- エアストリームは、キャンピングカーの需要が高まる中、採用活動と生産を強化している。
- 同社の求人には、処理しきれないほどの応募者が来るという。
- 人手不足の中、どのようにして人材を確保しているのか、エアストリームのCEO兼社長のボブ・ウィーラーに話を聞いた。
高級キャンピングカーブランドのエアストリーム(Airstream)は、旅行用トレーラーやキャンピングカーの旺盛な需要に対応するため、生産活動を活発化させている。そして生産量の増加に伴い、より多くの労働者が必要になっている。
だが、他の小売業やファストフード企業がアメリカ国内の労働力不足で採用に苦戦しているのとは違い、エアストリームは問題なく人材を確保している。むしろその逆で、応募者が多過ぎるという。
「我々は20人を採用するために100人を面接している」と、エアストリームのCEOであるボブ・ウィーラー(Bob Wheeler)はInsiderに語った。
「優秀な応募者、会社のニーズを満たすのに十分な数の応募者がいるのは恵まれている」
エアストリームには、新型コロナウイルスが広がり始めてから、注文が殺到している。パンデミックが最初に全米に広がり始めてから約2カ月後の2020年5月、エアストリームは消費者のキャンピングカーへの関心が急激に高まっていることに気付き始めたと、ウィーラーは2020年にInsiderに語っている。急速な関心の上昇に、同社は注文に対応するのに苦労し始めたという。
それ以来、エアストリームは毎月、前年同期比の販売記録を上回り続けている。そして現在、販売店では在庫を持たずに販売し、将来の納入に向けての予約注文を受けている。「限られた在庫しかないが、前月比、前年比ともに販売数を伸ばし続けている」とウィーラーは語っている。
つまり、エアストリームは無限ともいえる需要を満たすために生産を強化する必要がある。そして生産量の増加に伴い、大規模な採用活動が行われているのだ。
2020年7月下旬までに、エアストリームは一時解雇していた労働者全員を呼び戻すことができた。そして、2020年年8月以降、さらに500人の労働者を雇用した。しかし、これで終わりではない。ウィーラーによると、エアストリームは2021年末までにさらに200人を雇用する必要があるという。
では、アメリカ国内の労働力不足にもかかわらず、なぜエアストリームはこれほど多くの応募者を集めることができるのだろうか。ウィーラーによると、その秘密は、同社のインセンティブと労働時間にあり、それが「処理しきれないほど多くの応募者」をもたらしているという。
「現在の製造工場を建設する際には、1シフトで稼働する規模にすることを意識した」とウィーラーは言う。これにより、エアストリームは近隣の3交代制の工場とは一線を画している。
エアストリームの応募者の多くは、ホンダやクラウン・イクイップメント(Crown Equipment)などの他の地元メーカーに勤務した後、職場の「アップグレード」を求める20歳代前半からミレニアム世代の後半の人々だ。
「当社は1シフト制の会社で、多くの人にとって、それが選択の理由だ」とウィーラーは言う。「我々は自分たちを、充実した福利厚生と本当の家族のような雰囲気を持つ、この地域で選ばれる1シフト制の会社として位置付けている」
しかし、応募の大半を占めている年齢層はZ世代だ。
他の業界と同様、エアストリームも、高校や大学を卒業したばかりの人を含む若い応募者が増えている。ウィーラーによると、これらの若い従業員の多くは、大学を卒業せず、地元にとどまり、家庭を築くことを選択しているという。応募者の多くは、オハイオ州の工場から15から20マイル(約24から32キロメートル)以内の地域に住んでいる。
また、同社は求人広告を出しておらず、求人情報はすべて口コミで広がっている。
ウィーラーは、「自分の子どもを自分と同じ職場に推薦してくれるのはありがたいことだ。我々は人々が本当に働きたいと思う場の文化を作るために、いい仕事をしているということになる」と話した。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)