半導体不足、原材料費などコスト上昇で自動車業界は苦境と言うが……。
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電気自動車(EV)がここ数年、自動車業界に旋風を巻き起こしている。
これまでEV開発など検討の俎上に載せたことすらなかった自動車メーカーが、数十億ドルという資金を投じる展開だ。
EV販売台数ではテスラ(Tesla)が依然としてリードしているものの、競合メーカーによる市場シェアの侵食が少しずつ進んでいる。
販売台数は増加傾向が続き、新興スタートアップの参入も相次ぎ活況を呈するEV業界だが、新型コロナウイルスの世界的大流行により世界経済に急ブレーキがかかって以降、業界全体が大きな困難に直面している。
パンデミックにより(行動制限などの影響で)新車の需要が激減する一方、世界的な半導体不足を受けて自動車メーカーはやむなく工場を操業停止。加えて、原材料費など生産コストの上昇も自動車メーカーの利益をむしばむ。
ジョン・マーフィー率いる米銀大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のアナリストチームは、自動車メーカーにとって第3四半期(7〜9月)は引き続き困難な季節になると予測する。
ただし同チームによれば、業界を好況に導くチャンスがまったくないわけではない。
パンデミックの収束による経済再開に応じて、新車需要が急激な回復を見せており、それは四半期業績を押し上げるのに寄与する。
また、自動車メーカーは強気の販売価格と最適なセールスミックス(=生産量や販売量の組み合わせ)を維持できているため、半導体不足から来るコスト上昇分を相殺し、利益率の改善も実現できている。
マーフィーによれば、第1四半期(1〜3月)段階の予想や見通しが低めに見積もられていたことを踏まえると、次の第2四半期(4〜6月)決算で自動車メーカーの業績は軒並み市場予想を上回る見込み。
さらに、自動車メーカーにとって半導体不足は短期的に大きなダメージをもたらすものの、一時的な抑制はいずれ数年単位の継続的な回復を支える需要を生み出すことになるという。
バンカメは7月16日の顧客向けレポートで、自動車産業のファンダメンタルズ(基礎的条件)が「きわめて強固」であるとして、自動車メーカー各社の業績予想を上方修正している。
以下に、バンカメのアナリストチームが業績見通しについて「大きなアップサイド(上昇余地)あり」と判断した買い推奨の3銘柄を紹介する。
フォード(Ford)
フォード(ford)の株価推移。
Markets Insider
目標株価:18ドル
目標株価までの上昇余地:30%
フェラーリ(Ferrari)
フェラーリ(Ferrari)の株価推移。
Markets Insider
目標株価:281ドル
目標株価までの上昇余地:36%
ゼネラル・モーターズ(General Motors)
ゼネラル・モーターズ(General Motors)の株価推移。
Markets Insider
目標株価:90ドル
目標株価までの上昇余地:61%
(翻訳・編集:川村力)