インド西部のグジャラート州にあるアラン造船所で解体された数千隻の船のうちの1隻、エクソン・バルディーズ号。
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- 環境保護団体による最新の調査では、小売業者の商品輸送時の気候汚染を測定している。
- ウォルマート、ターゲット、イケア、アマゾンなどの大手小売企業は、海洋汚染のトップ10に入っている。
- ウォルマートが1年間に排出する温室効果ガスの量は、石炭発電所1基分に相当するとザ・ヴァージが報じた。
自然保護団体のPacific EnvironmentとStand.earthが発表した新しいレポートによると、大手企業15社が商品の国際輸送時に排出する気候汚染物質の量はアメリカの150万世帯分に相当するという。
小売大手のウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、ホームデポ(Home Depot)、イケア(Ikea)、アマゾン(Amazon)、ナイキ(Nike)などが、最悪の汚染者として挙げられている。トップはウォルマートで、1年間に石炭火力発電所1基分の温室効果ガスを発生させているとザ・ヴァージ(The Verge)が最初に報じた。
「企業の排出ポートフォリオの柱となるこの部分に関する調査は、これまであまり行われてこなかった」と、レポートの主執筆者であるマデリン・ローズ(Madeline Rose)はザ・ヴァージの取材に対して述べた。
「率直に言って、気候変動の緊急事態が目の前に迫っている今、データシステムを作り直して透明性をさらに高める必要があると感じている」
Pacific Environment / Stand.earth
現在、アメリカ人は非常に多くの輸入品を購入しているため、船舶会社は競って船を建造しており、各ブランドは通常の10倍の輸送量を支払っていると2021年7月にInsiderが報じた。
今回の調査では、小売企業の15社が海外の商品をアメリカに輸入する際に排出される温室効果ガスと大気汚染を測定している。
最終的なランキングを算出するため、研究者たちは各企業が使用する貨物船を追跡し、燃料消費量と排出量を推定した。この結果には貨物船の帰りの分は含まれていないため、汚染は調査結果よりもさらに深刻であると考えられている。
2019年、イケアは「climate positive」つまり発生する汚染よりも、より多くの汚染を2030年までに削減するという野心的な計画を発表した。前出の調査によると、世界最大の家具小売業者であるイケアからの出荷は、第7位の汚染者となっており、これはアマゾンよりも悪い順位となっている。
ウォルマートは昨年、2040年までに二酸化炭素排出量をゼロにすると発表した。この目標は同社のサプライチェーン全体を網羅しているわけではなく、国際輸送による排出量は計算していない。
同様にアマゾンも2040年までに事業全体で二酸化炭素の排出を全体としてゼロにすることを約束している。アマゾンの広報担当者がInsiderに語ったところによると、同社は貨物輸送などの間接的な排出量を二酸化炭素排出量の計算に含め、オンラインで公開しているという。
ターゲットのサステナビリティのゴールは、サプライチェーン全体を考慮に入れており、2040年までに二酸化炭素の排出量ゼロを目指している。
「大手小売企業は、若者のぜんそくを悪化させ、アメリカの港湾都市で年間数千人もの早すぎる死をもたらし、気候変動の緊急事態を助長している大気汚染に直接的な責任がある。我々はこの慣行を変えることを求めている」とローズは声明で述べている。
ウォルマート、ターゲット、アマゾンにコメントを求めたが回答は得られていない。
[原文:Walmart, Target, and Amazon are among the biggest corporate polluters thanks to overseas shipping]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)