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無印良品、2030年に売り上げ6倍へ。ファストリ出身の新社長が語った5つの戦略

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オンライン記者会見で中期経営計画について説明する堂前宣夫氏。

記者会見を編集部キャプチャ(左)、shutterstock(右)

2030年までに、売上高を6倍に増やす——。

無印良品を展開する良品計画が発表した、2024年までの中期経営計画には、強気ともとれる数値目標が並んだ。

これまで、ともすると、一部のお客さんに受け入れていただければいいんじゃないかというふうに誤解されることもあった。そもそも無印良品ができたときは、世の中のほとんどの人のために、良いものを手に取れる価格でというところからスタートした。そこにもう一度立ち戻りたい」

2021年9月1付けで新社長への就任が発表されている堂前宣夫氏(現・ 専務取締役 )は、7月21日の記者会見でこう語った。

堂前氏は、マッキンゼーを経て1998年にファーストリテイリングに入社。副社長、フランスや米国の責任者などを歴任し、2015年前後までファストリ幹部として辣腕をふるった。

中期経営計画では積極的に大型の店舗を増やし、売り上げの拡大を目指す「第二創業」という言葉が躍る。

堂前体制のなかで無印良品は、どう変わろうとしているのか? 5つのポイントにまとめた。

1.「売上高6倍」カギは積極出店

2021年8月期の売上高の見通しは、4900億円(日本3000億円、海外1900億円)。これを2024年8月期には、売上高7000億円(日本4500億円、海外2500億円)に引き上げるとする。さらに、2030年の目標は売上高3兆円。2021年に比べて6倍以上の売上高の拡大を掲げている。

店舗数は2024年までに980店舗から1300店舗に拡大。2030年には2500店舗を目指すとする。

店舗の大型化も進め、2021年の250坪(平均坪数)から2024年には300坪。2030年には平均坪数550坪までの大型化を掲げた。

2. 新店舗は全国の「人気スーパーの隣」へ、日用品を充実

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既存店舗の店内の様子。

shutterstock

新たな出展戦略はユニークだ。

新店舗を出店する場所は、「全国のスーパーマーケットの隣」を狙う。具体的には、年間売上高20億円級のスーパーマーケットに隣接した場所への積極出展を進めるという。

「スーパー横への出店は、約2年前から始めて成果が出ている。地元で信頼されている食品スーパーの横という、普通に人が生活している生活圏に“600坪規模”のお店を出し、食品スーパーや地元の会社とも協力しながら、その生活圏でのコミュニティセンターになっていく」(堂前氏)

スーパーに隣接した出展戦略に目を引かれるが、「600坪規模の店舗」と言及したこともポイントだ。中期経営計画資料のなかでは、売り上げ規模を(各店)10億円と想定しており、良品計画がうたう地域密着型事業モデルの一翼を担う出店戦略の1つだ。

スーパー横の出店としては、長野県塩尻市や石川県金沢市でなどですでに実績があり、今後はさらに出店を加速させる。

こうした店舗では、どのような商品群を扱うのか?

「高い頻度で店舗を訪れてもらえるよう、ソックスやタオル、シャンプー、キッチン用品など、“生活の基本を支える商品群”を、誰もが手に取りやすい適正な価格で提供したい」(堂前氏)

スーパーを訪れるお客が、日常的に必要とするような日用品のラインナップを拡充する方針という。

「"いつも行くスーパーの横にある無印で買えば、物もいいし、バックグラウンドのサプライチェーンも倫理的(エシカル)だし、大丈夫だ”と。そういうことを目指している」(堂前氏)

3.「脱プラ100%」宣言

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ペットボトルではなく、アルミ缶で発売している飲料。

出典:良品計画

2030年までに「包材や資材の脱プラスチック100%」も目標に掲げる。

無印良品では2021年4月、ペットボトル入りのお茶や炭酸飲料など12種類を、よりリサイクル率の高い素材であるアルミ缶で発売すると発表した

2030年までには、食品や化粧品など、「品質保持上どうしてもプラスチックが必要な商品」をのぞき、パッケージやタグなどの脱プラ化を進める。

また、プラスチックを使っている商品については、リサイクルに対応しやすい設計をするという。

「プラスチック素材が混ざっているとリサイクルに向かないということもある。回収したときに簡単にリサイクルできるような商品(設計)にする」(堂前氏)

4. 人権デューデリジェンスの徹底

原材料の調達や、製品の生産から供給まで、強制労働やハラスメントなどの人権リスクを特定し、救済措置を取ることなどを指す「人権デューデリジェンス」についても言及した。

2030年までに「原料までさかのぼった取引先の人権デューデリジェンス、100%開示する」と明記した。

良品計画は7月2日の会見で、中国によるウイグル族への強制労働の懸念から、欧米が問題視する新疆綿(しんきょうめん)を今後も継続的に使用していくことを認めている。

堂前氏は、人権デューデリジェンスについて、次のように説明した。

「自分たちで行けないところもあり、商品によってはその原料をどこまでさかのぼるか、さかのぼりきれてない商品もあるのが現実だと思っている。

どこまでできるかは、今からやっていかなくてはいけないが、きちっとデューデリジェンスができるところまで踏み込んでいきたい

5. 住宅分野を拡大しオフィスも

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無印良品がリノベーションした神奈川の団地の一室。この部屋は一般に発売された(タップすると現地取材記事に遷移します)。

撮影:横山耕太郎

無印良品は住宅事業でも存在感を高めている。

中期経営計画では、こうした住宅のリノベーションだけでなく、企業のオフィスや公共施設の空間設計を担当する「空間設計事務所の立ち上げ」も明記した。

リノベーション事業としては、無印良品では2012年からUR都市機構と団地リノベーションプロジェクトを開始。2021年までに供給戸数が1000戸に到達した。

また住宅のリノベーションだけでなく、リノベーションした中古物件を販売する事業も本格化させている。

こうした住宅関連事業について堂前氏は、「これまでのリノベーション事業の延長にあるが、設計事務所として独立できる体制を作る」と説明した。

「(整備が進んでいないなど)山林の課題を解決できるように、(木材供給の)上流に踏み込んで、空間を設計するチームを作りたい。これまでも駅の構内や商店街のデザインもしてきているが、そうしたことも本格的にやりたい」

(文・横山耕太郎

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