2019年10月23日、アメリカ・ワシントンで開催された下院金融サービス委員会の公聴会で証言するフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ会長兼CEO。
Reuters/Erin Scott
- フェイスブックのCEOは、コンテンツを制御することは犯罪と戦うようなものだと述べた。
- インスタグラムの幹部も同様に、ある程度の人種差別がネット上に存在することは「避けられない」と述べた。
- 彼らのコメントは、プラットフォームから有害なコンテンツを完全に消し去ることはできないことを示している。
フェイスブック(Facebook)はプラットフォーム上の誤った情報や人種差別への対策が十分ではない、という非難に対して2人の幹部が見解を述べた。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOと傘下のインスタグラム(Instagram)の責任者、アダム・モセリ(Adam Mosseri)は、自社のプラットフォームから有害なコンテンツを完全になくすことはできないという同じ結論に達したようだ。
ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は、フェイスブックや同様のプラットフォームが「人々を殺している」と発言しており、それについて技術系ニュースサイトのThe Vergeがザッカーバーグにコメントを求めたところ、彼は「都市で犯罪と戦うのと少し似ている。誰も、犯罪を完全になくすことができるとは思っていないだろう」と答えた。
「警察が目指しているのは、それではない。だとすれば、もし犯罪が発生したとしても、警察が失敗したことにはならない」
その代わり「我々に期待されていることは、信頼されるシステムだ。例えば、警察ならば、犯罪が起きるのを抑止してその原因を捉え、影響を最小限にとどめて事態を良い方向に導き、他の問題にも先手を打つというようなことだ」とザッカーバーグは述べた。
またモセリも、7月22日にオンラインで公開したビデオで同様の主張をしている。インスタグラムは人種差別を認めないとしながらも、彼は「プラットフォーム上ではどうしても人種差別が起きてしまうことは避けられない。世界には人種差別主義者がいて、彼らが我々のアプリを利用する際に、自らの人種差別意識を抑制することはないだろう」と述べている。
そのような状況を踏まえると、ヘイトスピーチを「限りなくゼロ」に近づけ、差別された人が「自分の身を守れる」ようなツールを提供することが、同社が取り組むべきことだとしている。
世界で最も人気のある広大なプラットフォームを管理するのは簡単なことではない。特に、アメリカ議会両院の議員をはじめ、公衆衛生局長官やホワイトハウスの首席補佐官、さらにはポップスターのセレーナ・ゴメス(Selena Gomez)など、多方面からの高まるプレッシャーに直面している中ではなおさらのことだ。
バイデン大統領の発言の後、フェイスブックは「不当な非難」をやめるようにブログで呼びかけた。
「アメリカのフェイスブックユーザーの間でワクチン接種が増加しているのは事実だ」と同社はブログで述べている。
「この他にもいくつかの事実(同社のCOVID-19対策)があり、そこにはここ数日で政権が訴えたこととはまったく異なるストーリーがある」
モセリとザッカーバーグのコメントは、世界中の何十億人もの人々が利用するインターネットサービスを運営することがどれほど困難なことなのかを問いかけている。
また、「悪いこと」を「抑止」するためのツールの構築と、ユーザーが自らを守る手段を提供するという両社の提案は、有害なコンテンツに対して企業ができることの限界を示している。
[原文:Facebook says some misinformation and racism will 'inevitably' always exist on its platforms]
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)