テスラの「完全自動運転」システムは、存在しない信号や一時停止の標識を認識することがある。
Reuters
- テスラの自動運転ソフトが、月を黄色の信号と間違える動画がSNSで話題となっている。
- 同社の完全自動運転技術は、これまでにも同じ様な誤作動を起こしている。
- 屋外広告やバーガーキングの看板に惑わされることもあるという。
テスラ(Tesla)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOは、完全自律走行車がまもなく登場すると、何年も前から約束している。
だが同社の完全自動運転技術は、依然としてその名に値するものではない。そして、マスクの目標は最終的に人間のドライバーよりも安全に運転することだが、このシステムは現在のところ、人間のドライバーならありえない失敗をしている。
例えば、あるテスラユーザーが2021年7月22日にツイッター(Twitter)に投稿した動画では、高速道路を走行中、車は月を信号と何度も間違えている。
月が自動操縦システムを騙していることをチームで調べてみてはどうだろう。車は月を黄色の信号機と勘違いして、スピードを落とし続けたよ。
この動画では、月が黄色く低い位置にあったことから、車が黄色信号と間違えてブレーキを踏んだとわかる。別のユーザーも、同じような状況の動画とともにこの投稿にリプライしている。
月が見えるのは珍しいことではなく、有能な自動運転システムなら、月はすぐ目の前ではなく遥か彼方にあるものとして認識するべきだ。高速道路で運転中に突然スピードを落とすことは、ドライバーや周囲の車に危険な状況をもたらしかねない。
公平を期すために言っておくと、テスラは完全自動運転システムが信号や一時停止の標識に対して、完璧に対応できるとまだ断言していない。2020年初頭のソフトウェアのアップデート時にリリースされた「交通信号・停止標識制御機能」はまだベータ版で、ユーザーは手動で切り替える必要がある。
だが、テスラを惑わすのは月だけではない。別のユーザーは、太陽を赤信号と勘違いすると伝えた。ある奇妙な動画では、テスラの車は信号機を運ぶトラックにだまされていることがわかる。
2021年4月、1人のテスラユーザーが、車がいつも道路中央の同じ位置で完全に停止することに気づいた。このユーザーが投稿した動画には、「STOP」と書かれた看板を本物の標識と間違える様子が映っている。
テスラが2020年4月に信号検知機能を展開した直後、1人のユーザーが、車が道端にあるバーガーキングの看板を一時停止の標識と勘違いする動画を投稿した。車は時速40マイル(約64km/h)の道路で減速し始めると、停止表示がないことに気付き、そのまま走行を続けた。
テスラはその後のソフトウェア・アップデートで、バーガーキングのバグを修正した。だがバーガーキングはこの不具合を利用して、テスラのオーナーがバーガーキングの標識で誤って停車した場合、ワッパーを無料で提供するキャンペーンを実施した。
テスラは2021年7月、完全自動運転システムのサブスクリプションを、1万ドル(約110万円)の前払いから月々99ドル(約1万800円)まで価格を下げて開始した。だがこれらの誤作動が示すように、このシステムではいまだに自律走行はできず、それがいつになるかも不明だ。
しかし、考えようによっては、信号や停止標識の誤認による停止が少ないよりも、多すぎる方がより安全なことは間違いない。
[原文:Tesla's Full Self-Driving tech keeps getting fooled by the moon, billboards, and Burger King signs]
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)