コロナ禍で変わりゆく「あるべき労働の姿」。配車サービス大手のウーバーはオフィス勤務のあり方について、いま試行錯誤している。
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配車サービスのウーバー(Uber)はこの夏の月曜日を2回「ミーティングフリー(会議なし)」の日に設定した。6月24日付のメールで、ニッキ・クリシュナムルティ最高人材活用責任者(CPO)が全従業員向けに告知した。Insiderが同メールを入手して確認した。
最初の「会議なし」は7月12日に、2回目は8月9日に設定された。
クリシュナムルティはメールに「立て続けのミーティングで集中する時間がとれないのは非常につらいことだと思います」と従業員の状況に理解を示す。
ウーバーが「会議なし」の日として月曜日を選んだのは、「最もハードな曜日と感じる従業員が多く、そこを集中する時間のとれる日に設定するのがいいと考えた」(クリシュナムルティ)からという。
なお、金曜日ははじめから選択肢に入っていなかった。中東の一部の国々では金曜日が週末(の休暇)にあたるというのがその理由だ。
クリシュナムルティは(「会議なし」指定した)7月12日と8月9日に「不可欠の」ミーティングが必要となる可能性があることを認めつつ、しかし可能な限りその日に会議を入れないようメールで呼びかけた。
ウーバーの広報担当には本記事公開前に取材を申し込んだが、(Insiderが認識している情報以上に)同社側から説明すべき事情は特にないとの返答があった。
同社の動きは、多くの業界でミーティングに費やす時間が増えている問題を受けてのもの。
マイクロソフトは今年3月、同社が提供するコラボツール「チームズ(Teams)」のユーザーが2021年2月にミーティングに費やした時間は、前年同月比で2倍以上に達したと発表している。1回の会議に費やす平均時間は35分から10分増えて45分になったという。
また、マイクロソフトが今年行った別の調査は、立て続けのミーティングは従業員のストレスを増大させ、集中力に制約をもたらすことになると示唆している。
他社の例では、フェイスブック(Facebook)とワークマネジメントツールのアサナ(Asana)が、水曜日を「ノーミーティングデー」に設定している。
ポストコロナのオフィス復帰に試行錯誤
クリシュナムルティが冒頭のメールを送信したあと、Insiderは6月29日付記事で、ウーバーの当初提案したオフィス再開(復帰)計画が従業員からの強い反発を受け、方針を修正したと報じた。
同社は4月時点で、従業員の要望を踏まえた上で、9月以降はもともと週5日だった就業日のうち3日を出社とする方針を打ち出していたが、就業時間の半分(50%)に減らした。
なお、ウーバーの従業員は在宅勤務以外に「ハブ」と呼ばれる拠点オフィスでの勤務も可能。また、毎年1カ月間は(国内外を問わず)あらゆる場所でのリモートワークが認められている。
一部の従業員については、オフィスへの出社義務の免除を申請することもできるという。
(翻訳・編集:川村力)