無料のメールマガジンに登録

平日17時にBusiness Insider Japanのメルマガをお届け。利用規約を確認


緊急事態宣言の効果は「限定的」。感染研所長・脇田氏「最大の問題は危機感の共有できていないこと」

渋谷

4連休の最終日、7月25日の渋谷。若干人出が減ったようにも感じる。

撮影:三ツ村崇志

7月28日、東京都は、新型コロナウイルスの陽性者が新たに過去最大となる3177人(前週は1832人)確認されたことを発表した。

直近1週間で確認された陽性者数の平均は、先週比で153%増の1954.7人。27日までの検査陽性率は16.9%だった。

「危機感の共有が必須」

東京都

東京都で確認された陽性者の状況。入院調整中や自宅待機の人数が増えている。

出典:新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(7月28日開催)

28日には、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードによる感染状況の評価に対する記者会見が開かれた。

座長を務める、感染症研究所の脇田隆字所長は、

「これまでに経験したことがない感染拡大をしている。連休の影響があるので、今後さらに(感染者の)報告者数が上積みされる可能性があります

と現状を評価。

「本来であれば入院すべきなのに自宅待機になっている者。入院者数・入院調整中の数が増加を続けております。東京都の重症者数も増加しています。年代別では40代〜50代が多い。このまま急増が続いていくと、調整の遅れ、一般医療を含めた医療への負担が懸念されるところです」

と危機感を示した。

また、沖縄県では先週比で感染者数が2.15倍になるなど、地方での再拡大も進んでいる状況にあるとした。

東京都では、7月12日から4度目の緊急事態宣言に突入している。7月30日には、関東の埼玉、神奈川、千葉の3県にも緊急事態宣言の発出が検討されている。

ただし、脇田所長は緊急事態宣言の効果について

「(東京では)宣言が発出されてから2週間経過していますが、まだその効果が出ているとは言いがたい。確かに人流は減少しているのですが、前回の緊急事態宣言の時の減少にくらべると到底及ばない。減少の速度が遅く、小幅です」

と効果は限定的であると指摘する。

人流

緊急事態宣言発令から2週間後の人流の減少幅。

出典:新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(7月28日開催)

東京都の繁華街における夜間の滞留人口は、3度目の緊急事態宣言の2週間後には5割近く減少していたのに対して、今回は2割程度にとどまっている。

感染力が強いとされるデルタ株への置き換わりも進んでいることを考えると、この状況では、東京を中心に当面は感染拡大が継続することが予想される。

脇田所長は、あらためてマスクの着用、手指衛生、人と人の距離の確保などの感染防止対策や、職場や飲食の場での感染防止対策の強化を徹底すべきと訴える。

「熱中症による救急搬送など医療への負荷が増大している中で、今後、通常であれば助けられる命も助けられなくなることが強く懸念されています。こういった危機感について、行政、市民が共有できていないことが現在の最大の問題点であり、共通認識にする必要があります。


日本の対策は、市民の自発的な協力が非常に重要になっている。そういった協力をしていただけるようなメッセージを発信していくことが重要だと考えている」

28日、菅義偉首相は「本日はお答えする内容がない」(首相秘書官)として、取材対応に応じていないと報道されている。

また同日、東京都の小池都知事は「基本的なこと(対策)をお守りいただきたい。ワクチンを若い人にも打ってほしい。若い人たちの行動がカギを握っている」などと発言している。

なお、28日に東京都で確認された陽性者のうち、20代は1078人、30代は680人。20代〜30代で全体の半数を占めている。

一方、リスクが高いとされている65歳以上の新規陽性者は95人。確認された陽性者の約3%だ。

また、重症者数は東京都の基準(人工呼吸管理またはECMOを使用している患者)で80人。国の基準に基づいた重症者数に換算すると、7月21日の段階で637人だった(7月28日、厚生労働省アドバイザリーボード資料より)。

(文・三ツ村崇志

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
  • LinkedIn
  • クリップボードにコピー
  • ×
  • …

Popular

あわせて読みたい

新着記事

インサイド・チャイナ

恒大危機は融創、碧桂園に波及か。「持たざる天才」の戦いが生んだ中国不動産バブルの全容

  • 浦上 早苗 [経済ジャーナリスト/法政大学IM研究科兼任教員]
  • Sep. 28, 2021, 07:00 AM

有料会員限定

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい

広告のお問い合わせ・媒体資料のお申し込み