2019年の株主総会に参加するスターバックスの従業員。
Starbucks
スターバックス(Starbucks)は、ファストフード業界の中で従業員の福利厚生が最も充実した企業の一つとして知られているが、明らかになった社内会議でのある習慣からも、スターバックスがいかに真剣に取り組んでいるかが分かる。
スターバックスのベテラン社員、ヴィヴェック・ヴァルマ(Vivek Varma)は日常的な会議から大規模なカンファレンスまで、スターバックスの会議では必ず、顧客と従業員のためにそれぞれひとつずつ空席が設けられているとブルームバーグ(Bloomberg)に語った。
このふたつの空席は従業員や顧客を無視し「株主に偏った議論にならないようにという戒めだ」とヴァルマは説明した。
「パートナーが会社の所有権を持ち、誇りを持てるようにするのは、初めてのラテを提供したときからの我々の基本方針だ」と広報担当者はInsiderに語った。
スターバックスでは一定の雇用期間が経過した従業員は自社株を供与される制度があるため、従業員のことをパートナーと呼ぶ。
会議に空席を作るアイディアは、前CEOのハワード・シュルツが考えたもので、2018年の退社時のスピーチでもこのことに触れ、「スターバックスで働いている間ずっと、毎週の経営会議や四半期毎の取締役会の場で、会議室にふたつの空席があることを想像していた。ひとつはパートナーの席であり、もうひとつは顧客の席だ」と述べた。
「私は物事を決めなければならないとき、その選択がこの2人(パートナーと顧客)が誇りに思える決定かどうかを自問するようにした。この伝統を継続し、得た答えから方針を導き出してほしい。この2つの席はあなたがた社員とスターバックスの役に立ってくれると約束する」
スターバックスはつい最近、記録的な売り上げを報告するとともに、顧客から大きな支持を集めたコールドブリューコーヒーやそのほかのコールドドリンクに、より多くのリソースを投入する計画を発表した。
スターバックスは1988年以降、アリゾナ州立大学の学費を全額負担する制度や医療保険の拡充などでパートタイム従業員の待遇改善に努めてきた。そしてそれは内縁関係の配偶者にも適用される。
スターバックスの施策が飲食業界にインパクトを与えたのは明らかで、他の企業もこれに追随している。例えば、チポトレ(Chipotle)は特定の学位に対して学費を負担し、コロラド州のヌードルス&カンパニー(Noodles & Company)は福利厚生に関してスターバックスのリーダーシップを参考にしているという。