Richtech Roboticsの配膳ロボット「Matradee」。
Richtech Robotics
- 人手不足の中、カリフォルニア州のあるレストランではロボットがサービスを提供している。
- このロボットは4つのトレイに盛られた料理や食器を、お腹をすかせた客の元へ運ぶことができる。
- レストラン「シュガー・メディテレーニアン・ビストロ」のマネジャーがNBCニュースに語ったところによると、このロボットは人間に取って代わるものではないという。
カリフォルニア州ストックトンにあるレストランでは、アメリカの労働力不足の中でスタッフの雇用に苦労しており、ロボットのヘルパーを使って接客を行っている。
「シュガー・メディテレーニアン・ビストロ(Sugar Mediterranean Bistro)」のジェネラル・マネージャー、アナ・オルティス(Ana Ortiz)は、NBC ニュース(NBC News)の取材に対し、「我々は今、ほかのビジネスと同じように、働く人を探すのに苦労している」と語った。
「走り回って配膳をするのに十分な従業員がいない」 と彼女は付け加えた。
このロボットはRichtech Roboticsが制作したもので、同社から「Matradee」という名前を与えられている。キッチンのドアを開けることができ、キッチンからテーブルへの配膳ができるとRichtechのウェブサイトには記載されている。
「Matradee」は、光センサー技術のライダー(LiDAR)などの技術を用いて、最大20フィート(約6メートル)の範囲で周囲の状況を検知する。これにより、最大4つのトレイに盛られた料理や食器を、お腹を空かせた客のもとへ運ぶことができる。
「私が2番テーブルにいて注文を受けている間に、ロボットが7番テーブルまで料理を運んでくれる。私がロボットに汚れた食器を積み込むと、ロボットはそれをすぐに食器洗浄機に持っていく」とオルティスはNBCニュースに語った。
ロボットは客と会話をすることはできないが、言葉によるコミュニケーションは可能だ。「ロボットがテーブルに着いたら、『食べ物を取ってください。私は仕事に戻らなければなりません』とあなたに言うだろう」とオルティスは話す。
また、オルティスは、このロボットは人間の仕事を代替するためのものではないと話す。このレストランでは、競争力のある賃金と柔軟なスケジュールを提示したものの、応募者はなかなか集まらなかったという。「誰も店に来て応募しようとしない。働きたいと思う人もいない。ロボットは従業員不足の我々を助けているだけ」と彼女は付け加えた。
アメリカでは大規模な労働力不足に陥っており、営業時間の短縮や生産量の削減、値上げを余儀なくされている企業がある。ニュージャージー州にあるManville Pizzaのオーナーは、チキンウィングの価格を50%以上も上げなければならないとInsiderに語っている。
レジャー・ホスピタリティ産業は、特に労働力不足の影響を受けているようだ。個人経営のレストランの約75%が、スタッフの確保に苦労していると答えている。人員不足のために一時的に閉店せざるを得ない店もある。
また、Insiderのケヴィン・シャルヴェイ(Kevin Shalvey)が報じたように、レストランのスタッフの中には、シフトに入っている最中に辞める人さえいるという。
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)