グリーンランドの風景。地球温暖化の影響を受け、1990年代から大地を覆う氷床の融解が進んでいる。
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デンマーク気象研究所によると、今夏、グリーンランド北部の気温は20度を超え、例年の2倍以上の暑さとなっている。
独シュピーゲルは、デンマークの研究者らがウェブサイト「ポーラー・ポータル(Polar Portal)」で発表した内容を紹介。
ここしばらくの気温上昇を受け、グリーンランドを覆う氷床では7月29日以降、毎日80億トンという大量の融解が続いているという。このスピードは例年の2倍に相当する。
翌30日には、グリーンランド北東部のナーラリット・イナアット空港で観測史上最高となる23.4度を記録している。
今年の夏は雪や雨が多く、例年に比べて涼しい状態で始まったことから、2019年夏に記録したような過去最大の融解量には達していない。
しかし、今年はより広いエリアが高温の影響を受けているのが特徴で、科学者らによれば、ここまでの大規模な融解だけでも、米フロリダ州が5センチ水に浸かる規模の量だという。
例年、氷床の融解は6月から9月初旬まで続くため、今後の推移から目が離せない。
グリーンランドは南極大陸に次ぐ大きな氷床に覆われているが、1990年には融解が始まり、2000年以降に加速している。
およそ180万平方キロにおよぶ氷床の融解量は、すでに1990年代の4倍に達している。また、北極圏では世界平均の3倍の速度で温暖化が進んでいる。
今年1月に発表された研究論文によると、現在のペースでグリーンランド氷床の融解が続けば、2100年までに海面は10〜18センチ上昇するという。従来予測より60%速いペースだ。
冒頭の独シュピーゲル記事によれば、グリーンランドの氷床がすべて融解した場合、海面は6〜7メートル上昇するという。
[原文:Große Auswirkungen auf den Meeresspiegel: Der Grönland-Eisschild schmilzt seit einigen Tagen massiv]
(翻訳・編集:川村力)