メルカリが個人向け少額融資「メルペイスマートマネー」開始、進むスマホの金融サービス

メルペイスマートマネー

メルカリアプリ内から融資が受けられる「メルペイスマートマネー」がスタートした。

出典:メルカリ

メルカリの決済サービス「メルペイ」は8月3日、新サービス「メルペイスマートマネー」を発表した。

メルペイスマートマネーは、最大で20万円をユーザーに融資するサービス。借りたお金はメルペイ口座に残高として付与され、連携済みの銀行口座に手数料なしで出金できるほか、メルカリ内やメルペイ加盟店(2次元コード、iD)で利用できる。

なお、貸金業法が適用されるサービスのため、新規の与信をする際には指定信用情報機関であるCIC(Credit Information Center)への信用情報照会が行われる。また、20歳未満および71歳以上のユーザーは利用できない。

メルカリとメルペイの利用状況で利息や限度額が変わる

メルペイの信用情報

限度額や金利には、メルカリおよびメルペイの利用実績が影響する。

出典:メルカリ

メルペイスマートマネーの特徴は、与信にメルカリサービス内の実績が反映されることと、申し込みから利用・返済までがメルカリアプリ内で完結することの2点だ。

1つ目のメルカリサービス内の利用実績とは、フリマサービスであるメルカリでの取り引きと、決済サービスであるメルペイでの決済、もしくは後払い式の「メルペイスマート払い」での精算状況を指す。

利息は年率3.0〜15.0%。利息と貸付限度額(最大20万円)は、上記の利用実績に応じて設定される(ただし、CICに利用者情報を照会する関係上、年収や勤務先などは入力する必要がある)。

詳細な仕組みは非公表だが、8月3日に開催された記者向け説明会で、メルペイ取締役の信川享介氏は「(後払いなどの利用料を)期日通りに支払っていくただくとか、(フリマで)ていねいに取引をしていただければ与信額が上がる。出品が多ければ、利率が下がるなどといったロジック」としている。

なお、メルペイスマートマネーは「証書貸付」方式を採用し、利用実績に応じて審査され、利用限度額が変動する。これは、(一般的な消費者金融のように)1度の申込みで利用限度額が決まる「極度貸付」に対して、「借りすぎの防止に務める」(信川氏)ために採用された。

メルペイスマートマネー UI

メルペイスマートマネーの各種画面。

出典:メルカリ(編集部による加工)

また、もう1つの特徴であるメルカリアプリ内で完結する点は、メルペイが従来から提供している、クレジットカードのリボ払いに似た「メルペイスマート払い(定額払い)」の延長上にあると言える。

契約が完了する前後には、返済完了月や月々の返済額、利息を含めた返済額の合計などが表示される。

また、返済方法は、銀行口座からの自動引き落としのほかに、メルカリの売上金やポイントの充当にも対応する。

メルペイは後発、メルカリ経済圏が独自性

メルカリグループでの循環

「メルカリ・メルペイの輪の中」にできた融資サービスという点が、ポイント。

出典:メルカリ

市場を見渡してみると、ソフトバンクおよびヤフーの決済サービス「PayPay」は、グループ会社であるPayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)と連携した「PayPayローン」、LINE子会社のLINE Creditによる「LINE Pocket Money」など、スマホアプリ内で完結する融資サービスがすでにある。

メルペイスマートマネーはサービスとしては後発だ。だが、前述のようにメルカリとメルペイという独特の経済圏や行動情報を持つことで、貸し倒れの防止やサービス内での相乗効果を狙える点がメルカリの強みだ。

山本氏と信川氏

写真左からメルペイ取締役COOの山本真人氏、取締役の信川享介氏。

出典:メルカリ

説明会に登壇したメルペイ取締役COOの山本真人氏は、メルペイスマートマネーの想定ターゲットと想定利用シーンについて「従来の金融システムでは与信を受けにくかったメルカリユーザーの方。(利用者が)チャレンジしたいこと、やりたいこと好きなことを身近にしていきたい」と語る。

なお、アプリで完結する手軽なサービスとはいえ、メルペイスマートマネーはれっきとした「借金」のサービスだ。

返済を延滞すれば、法令に基づきCICにその履歴が残る。今後クレジットカードの作成や住宅ローンの契約ができないなどの影響が出る。利用の際は慎重に検討するべきだ。

(文・小林優多郎

編集部より:信用情報照会に関する記述を改めました。 2021年8月3日 20:05

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