NBA、MLBのスター選手にも熱狂的なファン「ASRV」高機能素材アパレルが愛される理由。31歳CEOに聞く

ASRV ジェイ・バートン

ASRV(エステティックレボシューション)の若き最高経営責任者(CEO)、ジェイ・バートン。

Derek Reynolds/ASRV

新型コロナ感染拡大による行動制限が長期化し、室内の時間を快適に過ごせるカジュアルな衣服へのニーズが高まったことで、多くのスポーツ(アクティブ)ウェアブランドが恩恵を受けた。

ASRV(エステティックレボシューション)」もそのひとつ。機能性や快適性を高めたハイテクメンズウェアに特化し、プロスポーツ選手のファンも多いアパレルブランドだ。


2020年3月、新型コロナ感染拡大をを受けて多くの企業がオフィス閉鎖に追い込まれると、ASRVの若き最高経営責任者(CEO)ジェイ・バートンは、すぐに危機管理計画の策定に着手した。

ただし、同年に米フォーブス(Forbes)誌の「30アンダー30」(30歳未満で活躍する30人)に選ばれたバートンはそのとき、自社の将来予測を完全に見誤っていた。

3月前半は一時的に売り上げが落ち込んだものの、その翌週には一転して倍増。それまでヨガやランニング、エクササイズ向けのデザインを売りにしてきたASRVは、瞬(またた)く間にパンデミックを家にこもってやり過ごす人たちに人気のブランドとなった。

感染拡大のピーク時には、アパレル業界全体の売り上げが4割近く落ち込んだにもかかわらず、アスレジャー(=アスレチック+レジャー、運動着の機能やテイストを普段着にとり入れるスタイル)のブランドは逆に売り上げを大きく伸ばした。

そして、ASRVの爆発的成長をもう一歩あと押ししたのは、ウェアに使用しているのと同じ伸縮性のある高機能素材を使ったマスクを、感染拡大の本格化から間髪おかずに発売したことだった。

コロナとは無関係に、光化学スモッグや大気汚染からの防護を目的としたマスクをデザインしてあっったため、図面に落として生産、販売に至るまで、わずか数週間でたどり着くことができた。

加えて、完成したマスク25万枚をパンデミックの最前線で闘う医療関係者らに寄付したことで、ASRVのブランド認知度は一気に高まった。

米カリフォルニア州カールスバッドにあるオフィスで、頭のてっぺんからつま先まで自社ブランドに身を包んだバートンは、当時をこうふり返った。

「マスクを発売したときは半狂乱状態でした。あんな勢いで、それこそ飛ぶように売れていく商品を見たことがありません」

2020年4月、ASRVのマスクはオンライン販売開始直後わずか15分で3000枚以上売れた。

同社ゼネラルマネージャーのデイビッド・チャンによれば、マスクを注文しようとサイトを訪れたユーザーがシャツやジョガーパンツを一緒に購入した結果、同月の売り上げは前年比170%増を記録したという。

マスクのついでに購入したと言っても、それらは決して安い商品ではない。シャツはおよそ70ドル(約7700円)、ハイテクパンツは150ドル(約1万6500円)以上する。

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