軽量ノートPC「Elite Dragonfly G2」実機レビュー:のぞき見防止など独自機能が豊富

天板

軽量モバイルPC「Elite Dragonfly G2」を使ってみた。

撮影:小林優多郎

先行きが見えない世界的なパンデミックの中で、会社の外で仕事に使うノートPCの価値は改めて見直されている。

2021年2月に発売された(Wi-Fi版は5月発売)日本HPの「Elite Dragonfly G2」(直販価格16万7480円〜)は、そんな多様な働き方に必要な「軽量さ」「性能」「他社にはないセキュリティー機能」を備えた製品だ。

軽量ボディーにUSB Standard-AやHDMI端子を搭載

ファーストインプレ

Elite Dragonfly G2はビジネス用途に重きを置いたモバイルPCだ。

撮影:小林優多郎

Elite Dragonfly G2は年始にオンラインで開催されたテクノロジー展示会「CES 2021」に合わせて発表された。発表時点から最小構成時989gの軽量さと、インテル製の最新CPUの第11世代Coreを搭載するPCとして注目を集めていた。

いざ実機を触ってみると、その軽量さだけではなく、デザインの細かさに驚いた。

Elite Dragonfly G2はドラゴンフライブルー(紺色)1色のみの展開だが、ヒンジ部や天板面にあるhpロゴのシルバーの仕上げなど、なかなか高級感がある。個人的には、ややしっとりした質感に思え、長時間の使用でも手の跡がつきにくのが気に入った。

左側面

左側面のインターフェイス。LTEや5G対応モデルの場合はSIMスロットもある(SIMピン不要)。

撮影:小林優多郎

また、ビジネス用途を強く意識したモデルのためか、インターフェイス面もかなりしっかりしている。

左側面には通常サイズのUSB 3.1 Standard-A端子が1基、右側面にはThunderbolt 4対応のUSB Type-C端子が2基、3.5mmオーディオジャック、HDMI 2.0出力端子を備える。

職場や作業環境によってはレガシーなD-Sub(VGA)端子も必要と感じるかもしれないが、筆者の実感では実用的な昨今のディスプレイやプロジェクターはいずれもHDMI入力に対応している。

右側面

右側面のインターフェイス。

撮影:小林優多郎

それに、この重量感のPCだとMac/Windowsを問わずインターフェイスはUSB Type-C端子のみとなる場合も出てきており、そうなると画面出力ひとつするのにアダプターが必要になって面倒だ。

Elite Dragonfly G2の最厚部は16.1mmだが、この薄さのボディーにHDMIが載っているというのは、かなり嬉しい要素だと思う。

キーボードの打ちやすさ、タッチパッドの感度も上々

キーボード配列

キーボードは防滴機能付きで、キーピッチ(間隔)は18.7mm、キーストローク(深さ)は1.5〜1.7mm。右下には指紋認証用のセンサーがある。

撮影:小林優多郎

記者という仕事柄、主に日常的にこなす作業はウェブでの調べ物に、テキスト入力、Photoshopなどを使った写真の編集などになる。

Elite Dragonfly G2は最小構成でもCore i5-1135G7、最大でCore i7-1165G7を搭載しており、そのような比較的負荷の低い作業は問題なく利用できる。

キーボードの打鍵感も最初はやや柔らかめに感じたが、慣れれば打ちやすい。それに、タッチパッドが大きく、マルチジェスチャー対応。押した感じがカチカチとしっかりしていて心地がいい(ハードウェアのクリックボタンがない点は好みがわかれる)。

余談になるが、過去にHPからリリースされていた一部の製品は、Enterキーの右隣、つまり右端部にpage upやpage downキーを配置していたことがあり、筆者は正直肌に合わなかった。だが、Elite Dragonfly G2のキーボードではそうした配置にはなっていない。

カメラ画質

正面カメラの写り。ややざらっとした感じは否めないが、ウェブ会議をするのには十分。

撮影:小林優多郎

加えて、このコロナ禍で増えたウェブ会議の快適性もチェックしてみた。Elite Dragonfly G2のフロントカメラは、720p対応のHDカメラでWindows Helloの顔認証機能にも対応している。

92万画素になるため、あまり画質は期待しないほうがいいが、マイクは3つ搭載されており周囲のノイズも認識できるため、少し周りに人がいる程度であれば問題ない音質で通話ができる。

ディスプレイの縦横比と視野角は気になる

画面

Elite Dragonfly G2は16対9のタッチ対応液晶を搭載する。

撮影:小林優多郎

個人的に気になった点はディスプレイだ。Elite Dragonfly G2は大きさが13.3インチ、解像度はフルHD(1920×1080ドット)と縦横比でいうと16対9のタッチ対応ディスプレイを搭載している。

ディスプレイで気になった点は2点。1つはこの画面比率だ。YouTubeなどのウェブ動画を見るのに適した画面比率ではあるが、横に長く縦が短いため、ブラウザーなどを使う際には縦方向の狭さを感じてしまう。

例えば、レノボの最新のThinkPad X1シリーズでは主に16対10、パナソニックの最新機種「レッツノートFV」では3対2の縦横比のディスプレイが採用されている。HPもこのトレンドにぜひのって欲しいところだ。

もう1点は、Elite Dragonfly G2の上位の構成に含まれる「HP Sure View Reflect」についてだ。これはディスプレイに物理的に埋め込まれた反射型のスクリーンで、オンにすると左右の視野角が意図的にかなり制限(覗き込み防止)される。

HP Sure View Reflectオン 正面

HP Sure View Reflectをオンにした状態で正面から見ても、特に見た目の問題はない。

撮影:小林優多郎

HP Sure View Reflectオン 横から

一方で、横から見るとこのように読んでいるウェブサイトの文字がほとんど読めなくなった。白背景だということもあまりわからない。

撮影:小林優多郎

会社や家の中であれば気にする必要はないかもしれないが、外出先でどうしても重要なデータを見たいが周りの目が気になる…という時に有用な機能だ。実機で試してみると、驚くほど見えなくなる。

ただ、HP Sure View Reflectをオフにしている時も、他のIPS液晶搭載のWindows PCに比べて視野角が狭く感じる。特に左右ではなく上下の視野角も狭めで、見ている首の角度に応じてヒンジを動かす必要があった。

日本HPによるとこれは「仕様の範囲」の挙動とのことだったので、見え方が気になる人は店頭の実機で確認しておく必要があるだろう。

独自機能が光る軽量モバイルPC

掃除

掃除をする際にキーボードの誤作動を防ぐアプリがプリインストールされている。また、デバイスの表面は「家庭用のクリーナーシートで約1000回の清掃・消毒に耐えられるように設計されている」という。

撮影:小林優多郎

本機種は直販の最小構成(Core i5-1135G7/メモリー8GB/ストレージ256GB/LTE対応)でも16万7480円と、決して安いとは言えないが、性能や品質は十分に高い。

また、日本HPによると本機種は2021年後半に登場予定の「Windows 11」について「具体的な時期は未定」としつつも「対応可能」とのことで、より長い間使える製品と言える。

前述のHP Sure View Reflectやだけではなく、落とし物タグの「Tile」機能を内蔵や本体をクリーナーなどで掃除する際にキーボード操作を一定時間無効化する機能など、かなり独自の機能が盛り込まれている。

こうした機能は決して必須の機能とは言えないが、テレワークが広がってきた現代においては搭載していると、かなり便利に感じる機能なのは間違いない。

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(文、撮影・小林優多郎

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