カバンに使用済み避妊具を入れられ……痴漢のリアル伝える動画サイト

痴漢

痴漢被害の実態を伝える動画と特設サイトが完成した。制作者が学生や教員に活用して欲しいという、その内容とは。

提供:一般社団法人・痴漢抑止活動センター

学生に痴漢被害の実態や、その回避と対処法を伝えるアニメーションと特設サイトが完成した。制作資金を募るクラウドファンディングに集まったのは200万円超。制作者は「痴漢対策ポスターなどではあまり描かれることがない加害者像も伝える」ことにこだわったという。

「痴漢が100%悪い」

痴漢

提供:一般社団法人・痴漢抑止活動センター

プロジェクトを立ち上げたのは、一般社団法人・痴漢抑止活動センター代表の松永弥生さん。

クラウドファンディングは目標金額の150万円を1カ月足らずで達成し、最終的に242人から209万円が寄せられた。

痴漢防止ポスターや性犯罪の防犯イベントなどは、女性に自衛を求めるものが多く、たびたび批判されてきた経緯がある。

今回のアニメーションでは、「痴漢の被害者に問題があるという人がいますが、痴漢が100%悪いのであって、あなたは悪くありません」と断言。

痴漢被害にあうと多くの人は怯えて動けなくなることにも触れ、その上でどういう風に声を上げればいいのか、また、電車のドア付近や車両の連結部分など、加害者が逃げやすく他の乗客から死角となりやすいため痴漢被害が発生しやすい場所をあげ、そこを避けるなどの具体的な回避・対処法を紹介している。

「悪いのは加害者なので、被害者になることが多い学生にああしなさい、こうしなさいとアドバイスするのはおかしいという意見も分かります。ただ多くの学生は、自分が性的に狙われる対象だということすら分かっていないんです」(松永さん)

痴漢加害者はどんな人?

松永弥生

一般社団法人・痴漢抑止活動センター代表の松永弥生さん。「痴漢抑止バッジ」を広げる活動を続けてきた。

アニメーションでは女子学生だけでなく、男子学生、ランドセルを背負った小学生、さまざまな肌や髪の色をした学生が痴漢被害者になり得る存在として描かれている。

また特設サイトでは、

・ハサミやカッターでスカートを切られる

・カバンやポケットに使用済み避妊具(コンドーム)を入れられる

・体液をかけられる

・「AirDrop」で卑猥な画像を送りつけられる

など、アニメーションでは紹介しきれなかった痴漢被害のパターンも複数紹介されている。

痴漢

出典:「学生に知って欲しい痴漢の真実」特設サイト

今回のアニメーションの特徴として松永さんがあげるのは、加害者像に踏み込んだことだ。

「痴漢撲滅の啓発ポスターの多くは、被害者としての女子学生は制服姿などでリアルに描かれている一方、加害者は黒い影だったりします。なので今回は警察庁や法務省の調査、性暴力加害者の再犯防止プログラムに取り組んでいる斉藤章佳さんの著書『男が痴漢になる理由』などのデータに基づき、20代から50代まで4人の加害者像を描きました。

大卒で結婚しているような、いわゆる『普通』のサラリーマンが痴漢行為に及んでしまうという現実を知って欲しかったからです」(松永さん)

学校でも痴漢について学ぶ機会を

痴漢

周囲が注意を払うだけで痴漢がやりにくくなることを表現したアニメーション。

提供:一般社団法人・痴漢抑止活動センター

松永さんはアニメーションや特設サイトを、学生だけでなく「学校の教員にも活用してほしい」という。

2021年度から公立学校で試験的に開始された「生命(いのち)の安全教育」は、性犯罪や性暴力対策の授業だ。文部科学省による高校向けの指導の手引きには、女子学生が電車内で痴漢被害にあっているようなイラストが描かれ「電車通学の生徒が多いなど、各校の実態に応じて痴漢被害について言及してもよい」と記されている。

随分と消極的な言及だが、痴漢被害の深刻さを考えると、その実態や相談窓口、被害にあっている人を見かけた時の第三者介入の重要性を伝えることは必須だろう。

アニメーションでは被害にあった場合の相談先を紹介し、「大人が助けになります」というナレーションが流れる。この言葉が偽りにならないよう、社会全体で痴漢被害に向き合うべきだ。


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(文・竹下郁子

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