レジュメはボットが読みやすいように書こう。
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憧れの仕事に就きたいなら、レジュメ(履歴書)はロボット(自動プログラム、以下ボット)が確実に読める内容にした方がいいだろう。
こう話すのは、米求人サイト、ジップ・リクルーター(ZipRecruiter)の共同創業者でありCEOでもあるイアン・シーゲルだ。採用マネジャーに自分の応募書類を確実に見てもらえるようにする一番の方法は、できるだけシンプルに分かりやすくすることだ、とシーゲルはInsiderに語った。凝ったフォーマットや、華美な文章は不要だ。
つい最近までなら、クリエイティブなレジュメにすれば、採用マネジャーの目に留まっていたかもしれない。しかし今日では、応募書類をふるいに掛けるボットが混乱して、このようなレジュメを除外しかねない。
雇用市場が加熱している今、シーゲルのアドバイスはことさら重要だ。2020年7月、アメリカの労働市場は180万人の新規雇用を創出。さらに、米求人広告サイトIndeedでの7月30日時点での求人数は、新型コロナウイルスのパンデミック前の基準値である2020年2月1日の数字と比べ、35.2%増となっている。仕事は豊富にあるのだ——自分の存在に気付いてもらう方法さえ心得ていれば。
シーゲルによると、雇用主と人材採用担当者の70%以上が、何らかのレジュメ解析ツールを使っており、応募書類を処理したり、集まった候補者の概要を作成したりするほか、候補者をランク付けする時もあるという。
そのため、解析ツールに確実に理解されるようなレジュメを作ることが大切だ。こうしたことから、シーゲルは求職中の人たちに、3つのルールをアドバイスする。
1. 仕事の肩書はシンプルに
シーゲルは、「仕事の肩書は、最も一般的な表現にするべき」と言い、「雇用主が求人サイトなどに入力すると思われる肩書の内容をそのまま使うと良い」と続ける。
例えば、「プログラミングの達人ではなく、『Pythonエンジニア』と書く」ようアドバイスしている。
2. 標準的なレジュメのフォーマットを使う
レジュメのフォーマットに凝り過ぎる、という間違いを犯す求職者はあまりにも多い。
「ボットは、体系的な構造を好みます」とシーゲルは話す。例えば、2つのコラムで左に職務経歴、右にスキルを記すようなデザインは避けるべきだ。
「可能な限り、最も伝統的かつ標準的なフォーマットで、すべてを上から下に直線的に並べた方がいい」と言う。
3. 分かりやすい言葉遣いを貫く
「長々と書いても意味はありません」とシーゲルは語る。「レジュメ解析ツールは、その人物のスキルは何か、経歴何年か、それを裏付けるのは何か、といったものを見つけようとします」
そのため、長々とした文章を書いたり、洗練された表現で仕事内容を説明したりするのは、避けた方が賢明だ。例えば看護師なら、「看護学校卒業後、さまざまな病院での勤務を通じて、長い道のりを歩んできました」とは書かずに、「5年の経験を持つ看護師です」と書いた方がいい。
求人ソフトウェア「グリーンハウス」のダニエル・チェイトCEOも、シーゲルと同様のアドバイスをする。いわく「『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』的なやり方はしない方がいい」。チェイトは、まったく同じレジュメを50社に送りつけて、うまく行くよう願うのは避けるべきだと言う。それぞれの応募先に合ったレジュメを作る候補者の方が、成功率は高くなる傾向にあるそうだ。
例えばクリエイティブなポジションとプロジェクト・マネジャーのポジションに応募するなら、2つの異なるレジュメを作ってそれぞれ提出するといいとチェイトは述べている。
もちろん、ボットに解析してもらいやすいレジュメを作るというシーゲルのルールには、注意すべき点がいくつかある。特定の企業向けにレジュメを本気でカスタマイズしたいなら、レジュメ冒頭の文か段落でやるようシーゲルは言う。さらに、例えばライティングのスキルや個性的な性格をアピールしたいなら、それはカバーレター(と面接)で行うべきだ。
シーゲルはまた、シニアレベルのポジションについても、次のとおり明言している。ほとんどの候補者は、彼らの人脈やヘッドハンターを通じて集められる。そのため、候補者のレジュメには、「特別な注意が払われる」のだと言う。
もしあなたが応募しているのがシニアレベルのポジションであるなら、シーゲルは「レジュメを思い切り作り込むといい」と言って、こうつけ加える。
「自分のストーリーを語りましょう。こうした人材の場合、ボットにレジュメを読んでもらわないと人との面接にこぎ着けられないわけではありません。人があなたのレジュメを読みたいと競い合っているのですから」
(翻訳:松丸さとみ、編集:大門小百合)