シティグループが電子商取引(Eコマース)向けの決済サービスを強化する。
REUTERS/Brendan McDermid
米金融大手シティグループが電子商取引(Eコマース)向けの資金決済サービス強化にとり組んでいる。
Insiderが入手した社内メモによれば、シティは米金融大手JPモルガン・チェースの経営幹部を務めたロン・カルポビッチを引き抜き、新たに設立したEコマース専門営業チームのトップに据えた。
カルポビッチはJPモルガンに8年超在籍し、直近はホールセール(大口資金)決済向けソリューションのグローバル責任者として活躍した。それ以前は、英投資銀行RBS(現ナットウェスト)マーケッツで13年弱、Eコマースや外国為替などの決済商品を担当していた。
新たな営業チームは、シティグループのトレジャリー&トレード・ソリューションズ部門(=多国籍企業・金融機関・公的機関向けのキャッシュマネジメントおよびトレードファイナンスを提供)に所属する。
カルポビッチはロンドンから米西海岸に拠点を移し、10月22日からシティグループの任務に着手する。先述のトレジャリー&トレード・ソリューションズ部門のグローバル責任者、シャミル・ハリクが直属の上司となる。
2020年は新型コロナ感染拡大の影響を受け、小売り店舗がオンライン販売に雪崩を打って駆け込んだため、Eコマースが爆発的な成長を遂げた。
この流れを受け、シティグループの新設チームはオンライン決済サービスの提供に特化した営業活動を展開することになる。
リテール決済市場は競争が激しく、現在はJPモルガンや金融機関向けITサービスの米ファイサーブ(Fiserv)がリードしている状況だ。
Insiderが今回入手した社内メール(発信元はシャミル・ハリク)を全文紹介しよう。
To: トレジャリー&トレード・ソリューション部門
From: シャミル・ハリク
Re: Eコマース営業チーム責任者
この1年半、新型コロナウイルス感染症がビジネスのあらゆる側面に影響をおよぼし、ほぼすべての業界・顧客セグメントにおいてフィジカルがデジタルに置き換わったことで新たな課題とチャンスが生まれ、金融業界全体が大きく変化していくのを私たちは目の当たりにしました。
なかでも爆発的な成長を遂げたのがEコマース分野で、消費者と法人・機関の間のデジタル取引は増加を続けています。
今日、Eコマースは私たちにとって最大の成長機会のひとつであり、私たちシティグループはこの新たに生まれたグローバルなデジタル市場をリードし、勝ち抜く決意です。
お客さまのニーズに応え、市場をリードするソリューションを提供し、シティグループとお客さまの両方がデジタル時代の勝者となるためには、従来のEコマース戦略を刷新するグローバルチームを構築する必要があります。
そこで、新たに「Eコマース営業」セグメントを設立することを発表します。
新セグメントの責任者は、JPモルガン・チェースのホールセール決済部門で、テレコム・メディア&テクノロジー・ソリューションのグローバル責任者を務めたロン・カルポビッチです。
バンカーとして20年以上の経験を持つロンは、複数の銀行でトレジャリー・サービス、マーチャント・アクワイヤリング、外国為替サービス部門の上級管理職を歴任し、今後その豊かな経験をシティグループにもたらしてくれるでしょう(以下、社内の詳細な職掌が続くため省略)。
ロンがシティグループおよびトレジャリー&トレード・ソリューション部門に加わることを心から歓迎します。
(翻訳・編集:川村力)