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- アメリカのネブラスカ州リンカーンにある1ドルショップのファミリー・ダラー(Family Dollar)は、従業員が全員辞めてしまったため、一時閉店した。10/11 NOWが報じた。
- 低賃金で離職率も高く、マネジメントがお粗末で、長時間労働を強いられたと、元従業員はInsiderに語った。
- 人手不足の影響で、店はすでに営業時間を短縮していた。
ネブラスカ州リンカーンにあるファミリー・ダラーは、従業員が全員辞めてしまったため、一時閉店せざるを得なくなった。
最後に残った2人の従業員は、8月8日に店を辞めたとInsiderに語った。7日には別の従業員が辞め、その数日前には店長も辞めたという。地元放送局の10/11 NOWが最初に報じた。
最後まで残っていた従業員の1人ブレアナ・フェラーさんは8日に店を去る時、ドアに「全員辞めました! ご不便をおかけしてすみません!」と書かれたオレンジ色の看板を出した。
フェラーさんは副店長として約1年働いてきた。その間、フェラーさんは次第に、本来なら別のスタッフに割り振るべき仕事まで自分が引き受けなければならないことに気付いた。人手が不足していたからだ。
「本来、店にいるはずの5人のスタッフの仕事を全てわたし1人で引き受けなければならないことがありました」とフェラーさんはInsiderに語った。
深刻な人手不足は長時間労働を意味した。開店から閉店まで、働き続けなければならないこともあったという。
「新しい従業員の補充などもありませんでした」
「1日に11時間くらい働いていました。わたしには子どもが2人います。もうやっていられませんでした」
フェラーさんによると、離職率も高かったという。
「レジ担当は、時給10ドルをはるかに超える仕事を求められていました」
「時給10ドルで生活できる人なんていません。時給10ドルでうちの店のレジ担当がやらされていた仕事をやりたい人なんていません」
フェラーさんとともに8日に店を辞めた元レジ担当のミマリー・ランキンズさんは、店を辞めた理由の1つに店長からの不当な扱いを挙げた。人手不足がもう1つの理由だという。
「2人で店を営業することはできません。あり得ません」とランキンズさんはInsiderに語った。
「わたしたちを助けてくれる人を確保できなかったんです」
人手不足のせいで、ランキンズさんはしばしば2つの役割を果たさなければならなかったという。
「レジ打ちをしながら、同時に品出しもしなければなりませんでした。お客さんは常にいるので、思うように仕事は進みません」
この店では、人手不足の影響ですでに1日の営業時間を2時間短縮していた。
店の出入り口に掲げられた看板には、ファミリー・ダラーはスタッフを募集していて、「やりがいのある」仕事を提供すると書かれている。フェラーさんは、この約束を果たすためにファミリー・ダラーが労働条件を早急に改善することを願っている。
「従業員をもっと大切に扱うべきです。そうでなければ、こうしたことが起こり続けるでしょう」
店は8月9日の時点で営業を再開している。Insiderの取材に対し、ファミリー・ダラーは「リンカーン地域の店舗は営業しています。人事や個人のステータスについてはコメントできません」としている。
アメリカでは逼迫した労働市場の影響で、低賃金の仕事をしていた労働者がより賃金の高い仕事を求めるケースが増えている。5月にはメイン州エリオットにある1ドルショップのダラー・ゼネラル(Dollar General)で働く従業員たちが、人手不足や低賃金、経営陣のコミュニケーション不足を理由に店を辞めた。7月にはネブラスカ州リンカーンにあるバーガーキングで従業員が全員辞めた。長時間労働、低賃金、調理場のうだるような暑さがその理由だという。
(翻訳、編集:山口佳美)