建築界のトップランナー・中村拓志氏に聞く、HARUMI FLAGで実現する次世代の暮らし

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提供:HARUMI FLAG

現在進行中の国内でも最大規模の都市開発プロジェクト『HARUMI FLAG』。東京・中央区晴海五丁目西地区にある約13ヘクタールの広大な敷地に、分譲・賃貸住宅と商業施設を含め24棟を建築。2024年3月から入居を開始し、将来的には総戸数5632戸、約1万2000人が暮らす環境・交通・ダイバシティーの最先端都市が誕生する。

この『HARUMI FLAG』の街づくりやマンションデザインに携わったのは、世界で活躍する25人の建築家たちだ。幾度となく議論を重ね、それぞれの個性を活かしつつ、街としての統一感を実現した。彼らは、晴海という土地に何を感じ、新たな街のあり方をどう捉えデザインを創り出していったのか。

SUN VILLAGE D棟とPARK VILLAGE D棟の外装デザインを担当した、NAP建築設計事務所 代表の中村拓志氏に、デザインのコンセプトやこれからの住まいと暮らしに対する考えを聞いた。

「都会の利便性」と「リゾートのような開放感」が両立した街

「建築家として、固定された作風や作家性に拘りはありません。その時々の環境や状況において、最適なものをデザインソリューションとして提供しています」(中村氏)

今、注目を集めている建築家の一人である中村氏は、自らの設計スタイルをこう語る。住まう人・使う人の目線で、心に触れる建築を心掛けているという。確かに、代表作である『東急プラザ表参道原宿(東京都渋谷区)』『ベラビスタ スパ&マリーナ 尾道(広島県尾道市)』『Ribbon Chapel(広島県尾道市)』『ZOZO本社屋(千葉県千葉市)』といった建築には、良い意味で一貫した作家性が排除されている。共通しているのは、場所や地域性が重要視されていることだ。

「本来、人・場所・建築は強く結びついています。しかし、近代の建築は場所性が剥ぎ取られて、どこにでも存在しうるようなものが多い。私は常々、風景や土地の記憶など、その場所を丸ごと引き立てていくような建築が必要だと考えています。それがあってこそ、建物に誇りと愛着を持つことができるはずです」(中村氏)

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中村 拓志(なかむら・ひろし)氏。1974年 東京生まれ。鎌倉と金沢で少年時代を過ごす。明治大学大学院 理工学研究科 建築学専攻博士前期課程修了後、隈研吾建築都市設計事務所入所。2002年 NAP建築設計事務所を設立。街づくりから家具まで、扱う領域は幅広く、自然現象や人々のふるまい・心の動きに寄りそう「微視的設計」による、「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条としている。そしてそれらが地域の歴史や文化、産業、素材などに基づいた「そこにしかない建築」と協奏することを目指している。

建築デザインにおいて、場所・地域性を重んじる中村氏。その目には晴海という土地はどう映っているのだろうか。

「都市の良さは情報が高密度で集まることです。一方で、ストレスや閉塞性を感じやすいデメリットもあります。晴海は、都会的な利便性があると同時に、三方が海に囲まれていて、リゾートのようにリラックスできる雰囲気もあります。

相反するものが同時に存在することで、感受性も刺激され、これからの時代に必要とされる創造性が高まる。街としてのポテンシャルの高さを感じます」(中村氏)

土地の「記憶」を現代につなぐ

建築デザインを行う際に中村氏が大事にしているものの一つが、「その土地が持つ記憶」だ。そもそも、晴海の歴史は明治期以降に始まった月島・佃一帯の埋め立てまで遡る。中村氏は、そのような場所にどういった記憶を見出したのか。

「埋め立て地である晴海に場所の固有性があるのか、と言った懐疑的な意見があるかもしれませんが、僕はあると思っています。

そもそも、江戸湾(今の東京湾)では漁業や養殖が行われていました。なかでも晴海のような浅瀬で盛んだったのが海苔の養殖だそうです。晴海の浅瀬にも、海苔の養殖に必要な網を固定するための竹が、海から林立した独特の風景がありました。時代は変わっても、海風の心地よさや海の煌めき、空の広さといったこの土地ならではの空気は今も変わりません」(中村氏)

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江戸時代や明治初期、江戸湾で海苔を養殖していた場所が今、新たな街として生まれ変わろうとしている。中村氏は、「刻々と移り変わる時間が堆積して、大きな時間の流れになる。その事実こそ、人をどこかホッとさせて、自分が住む街や土地に愛着を感じることができる大きな要素」だと考える。今回は、その竹の風景もファサードデザインに反映させた。

「HARUMI FLAGのような新しい街には、積み重ねてきた時間がありません。ゼロから新しいデザインやコンセプトで街を創っていくことに加えて、それだけではない歴史に裏打ちされた豊かさを表現したかったのです」(中村氏)

「竹」をモチーフにした理由

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「竹」をモチーフにしたデザインが印象的なSUN VILLAGE D棟の外観CG。

提供:HARUMI FLAG

中村氏は、担当する棟のデザインコンセプトを「日本固有の表現をシンプルモダンに昇華」として設計を進めた。

風景を「記憶」として作りだすことができないか──そう考え日本古来の素材であり、晴海の海の象徴でもあった「竹」をモチーフにしたルーバーを開発。建物側面にランダムに配置することで、町家の格子のような日本らしく繊細な風景を実現した。

また、竹の活用はここだけに留まらない。ランドスケープ(景観)のデザイナーと話し合い、建物の周辺に竹を植えるアイデアを出した。

「一般的に、マンションのような建築は大地とのつながりからはかけ離れがちですが、今回は建築とランドスケープの融合を大切にしました。

外には竹林があり、ロビーに入ると竹をモチーフにした内装がある。そして、部屋から外を眺めると竹をモチーフにしたルーバーが目に入る。これによって、大地とつながっているような体験を目指しました」(中村氏)

また、各部屋のバルコニーにも暮らす人への配慮がある。

「通常の集合住宅のバルコニーよりも張り出しを大きくしました。これにより、間口を広く取りながら、下から見上げたときのプライバシーも確保しています。また、軒を深くすることで、日本家屋らしい縁側的空間にもなりました。半屋外の空間を作ることで、自然と人の調和を感じる場所になればと思います」(中村氏)

幼少期を鎌倉や金沢といった古都で過ごした中村氏にとって、日本家屋は身近なものだった。「深い軒は、強い日差しと高温多湿な風土で生きる人々が、心地よい風と日陰を取り入れる知恵。今回はそれを現代的に再現しました」と中村氏。

「コロナ禍によって、半屋外空間が改めて見直されています。バルコニーのアウトドアリビング、あるいはアウトドアダイニング的な使い方も増えてきました。そういった需要にもぴったりなバルコニーになったと思っています」(中村氏)

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SUN VILLAGE D棟のエントランス。時間帯によって変化する光の影が印象的だ。

提供:HARUMI FLAG

25人のデザイナーによる調和と連携

「家にはさまざまな価値があります。そのなかでも重要なのは、窓から見える風景や近くの自然など、半径1kmくらいの環境面の価値です。家や近所で過ごす時間が増えた今、改めてその価値が見直されていると思います。そういう意味で、三方が海に囲まれ、緑豊かなHARUMI FLAGは、街としての魅力が大きいと感じます」(中村氏)

こういった街を生み出せたのは、25人のデザイナーが関わっていることも大きい。複数の建築家とのプロジェクトでは、各自の個性が押し出され、全体として調和がない仕上がりになるケースも珍しくないという。

「HARUMI FLAGでは、それぞれ個性はあるのにどこか統一感があり調和しているといった、絶妙な関係性のデザインが実現しました」と中村氏はその仕上がりに自信を覗かせる。

そんなHARUMI FLAGという街に、中村氏は何を望むのだろうか。

「住宅選びでは、部屋数や広さ・内装など、スペック面に目がいきがちです。しかし、広い意味では“街の風景の一部”を所有すると考えてほしいです。

その土地ならではの季節のうつろいや、時間の流れによって変化する風景を愛して大事にすることが、巡り巡って自分たちの生活を豊かにすると思うんです。HARUMI FLAGはそれが実現できる場所だと思っています。風景や自然を愛することが出来る人に住んでもらい、この街をさらに次の世代へとつなげていってもらえたら嬉しいです」(中村氏)

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HARUMI FLAGについて、詳しくはこちら。

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