2020年10月28日、ニューヨークのタイムズ・スクエアで。ニューヨークでは、コロナウイルスの感染拡大を防ぐための規制を受けて、再オープンに向けた取り組みが続けられていた。
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- アメリカ人は、2020年にオンライン詐欺で42億ドル(約4600億円)を失った。
- 中でも20歳以下のZ世代が狙われるケースが増えている。
- 詐欺師たちは、ソーシャルメディアのプラットフォームを悪用し、オンラインで個人情報を共有することに抵抗が少ない若年層のユーザーを狙っている。
新しい報告によると、Z世代(1997年から2012年生まれ)の中でも10代の若者が他の年齢層よりも多くのインターネット詐欺の被害に遭っているという。
オンラインID検証サービスを提供するソーシャル・キャットフィッシュ(Social Catfish)は、インターネット犯罪苦情センター(IC3)、連邦取引委員会(FTC)、連邦捜査局(FBI)および自社の調査データを分析した結果を発表した。
IC3のデータによると、2020年にオンライン詐欺の被害に遭った21歳未満の被害者は2万3000人を超え、2017年の9000人強から156%増加したという。2020年の損失総額は7000万ドル(約77億4400万円)を超えている。
ソーシャル・キャットフィッシュによると、2020年にアメリカ人全体がオンライン詐欺で失ったお金は、42億ドル(4838億円)という記録的な金額だった。
また、Security.orgが実施した調査では、18歳から29歳の人が45歳以上の人よりも「なりすまし」や「不正アクセス」の被害に遭う確率が高いことが分かった。
テクノロジーに精通した若い世代は、一般的に古い世代よりも詐欺に遭いにくいと考えられている。しかし、Security.orgのシニアエディター、アリツァ・ヴィグダーマン(Aliza Vigderman)によると、若い世代の方がインターネットをより多く利用しており、ソーシャルメディアのアカウント数も多いことが一因だという。
「彼らは、自分の情報を守る方法について、それほど知識がないのかもしれない」とヴィグダーマンは付け加えた。
「テクノロジーに囲まれて育ってきた彼らは、大人になってから学んだり使い始めたりした人よりも、本質的にテクノロジーを信頼しているのだと思う」
出会い系アプリを含むソーシャルプラットフォームは、オンライン環境が主流となった新型コロナウイルス時代に、多くの若いユーザーを引き寄せた。ソーシャル・キャットフィッシュの調査結果によると、個人が狙われるのは主にソーシャルメディアのプラットフォームで、その上位は、フェイスブック(Facebook)、Googleハングアウト(Hangouts)、インスタグラム(Instagram)、ワッツアップ(WhatsApp)となっている。
詐欺師は、フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディアで、偽のプロフィールを作成し、若いユーザーにダイレクトメッセージを送り、交流を深める。若者の信頼を得た後は、Googleハングアウトやワッツアップなどのプラットフォームに誘い込み、前者のアプリで報告されないようにする。
フェイスブックとグーグルは、自社のプラットフォーム上での詐欺広告に対し、対策を講じているとしているが、複数の報道によると、両社は自社のプラットフォーム上での詐欺行為を十分に取り締まることができていないという。
フェイスブックとグーグルにコメントを求めたが、回答は得られていない。
ソーシャル・キャットフィッシュは、実際に会ったことのない相手を信用しないように注意し、身元を確認することを勧めている。例えば、海外で仕事をしていると主張する人や、共通の知り合いがいないのにソーシャルメディアでつながっている人は要注意だ。また同社は、詐欺師にパスワードを推測されにくくするために、パスワードマネージャーの導入を推奨している。
もしも、オンライン詐欺の被害に遭った場合は、IC3、FTC、FBIに通報しよう。
(日本では、国民生活センターの「消費者ホットライン」や、最寄りの都道府県警の「サイバー犯罪相談窓口」に相談を)
[原文:Gen Z is falling prey to internet scams at a faster rate than its millennial and Gen X counterparts]
(翻訳:大場真由子、編集:Toshihiko Inoue)