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- DeFi(分散型金融)プラットフォームのポリ・ネットワークから6億ドル分の暗号資産を盗んだサイバーハッカーは、そのほぼ半分を返却した。
- ポリ・ネットワークは返却するように訴えていた。
- ハッカーは、「クロスチェーンのハッキングはホット」なので、「楽しみのために」資金を盗んだと述べている。
サイバーハッカーは、DeFi(分散型金融)プラットフォーム「ポリ・ネットワーク(Poly Network)」から盗んだ6億ドル(約660億円)分の暗号資産の半分近くを返却した。これは史上最大の暗号通貨強盗だとされている。
2021年8月11日の正午(現地時間)の時点で約2億6000万ドルが返還されたと、ポリ・ネットワークはツイートしている。投稿によると、返還された資金のうち、330万ドル(約3億6300万円)はイーサリアム、2億5600万ドル(約282億円)はバイナンススマートチェーン、100万ドル(約11億円)はポリゴンだった。
ポリ・ネットワークは8月10日、ハッカーに対して資産の返還を求め、暗号資産取引所やマイナーにハッカーのウォレットからのトークンを凍結するように要請していた。10日のツイートでは、「あなたがハッキングした金額は、DeFiの歴史の中で最大のものだ」と述べ、数万人が影響を受けると訴えていた。
ハッカーたちは11日に、盗んだ資産を「返す準備はできている」と述べた。いつ全額を返還するつもりなのかは分かっていない。
ポリ・ネットワークのツイートによるとイーサリアムで約2億6900万ドル(297億円)、ポリゴンで約8400万ドル(92億7000万円)がまだハッカーの手元にあるという。
返却の際にイーサリアムの取り引きに埋め込まれたQ&Aセッションによると、ハッカーたちは「クロスチェーンのハッキングはホットだから」という理由で「楽しみのために」資産を盗んだと述べている。
この取り引きのスクリーンショットは、ブロックチェーンの分析とコンプライアンスを行うElliptic社の共同設立者であるトム・ロビンソン(Tom Robinson)が入手した。
「ポリ・ネットワークはきちんとしたシステムを持っている。ハッカーが楽しめる最もチャレンジングなアタックだ」とハッカーたちは述べた。
ハッカーたちは「セキュリティを確立させるために」バグを見つけて資産を奪ったとも述べている。
ポリ・ネットワークへのサイバー攻撃は、急速に成長しているDeFiへの攻撃が増加していることを表している。
Ciphertraceのレポートによると、これまでのところ、DeFiへのハッキングは2021年の暗号通貨の強奪の4分の3以上を占めている。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)