東京都で過去最多の5773人の陽性者。現実を知る、4つのデータ

小池さん

8月13日、定例記者会見で説明する小池百合子東京都知事。

撮影:三ツ村崇志

8月13日、過去最多となる5773人(うち、65歳以上は203人)の新型コロナウイルス陽性者が報告された東京都。重症者数は12日の218人からさらに増加し、227人となった(都は、重症病床を392床確保している)。

小池百合子東京都知事は13日午後2時から定例の記者会見を開き、ひっ迫する感染状況への危機感と感染対策の徹底を訴えた。

緊急事態宣言下にありながらも感染者数に減少傾向がみられない東京都。

多くの人が、度重なる自粛要請や新型コロナウイルスが流行している中での生活に慣れてしまっている側面もあるかもしれないが、都の感染状況の現状を知る上で重要な4つのデータを見て欲しい。

1.直近の感染者数の増加比は微増も、陽性率は20%超え

陽性率

陽性率は上昇を続けている。

出典:東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和3年8月12日)

8月13日に5773人の陽性者が報告された東京都。直近1週間の移動平均は、4155.7人と前週比で108.8%だった。

前週比が200%近くにまで上昇していた8月1週目と比較すると、増加比は落ち着いてきた。ただし、100%を上回っている以上、感染者数は増え続けてしまうため、まだ対策が不足している状況であることに変わりはない。

また、検査数に対する陽性者数(陽性率)は20%以上と非常に高い状況が続いている。

7月後半から検査数自体は増えている一方、陽性率が一向に下がらないことを考えると、日々報告されている陽性者数以上に補足しきれていない陽性者がいることが想定される。

2.重症者の6割は40代〜50代

重症化

重症者の6割が40代〜50代。また、既往症として糖尿病や高血圧などを患っている人が多い。

出典:東京都知事記者会見資料

陽性者の年代別データを見ると、20代〜30代の感染が目立つ。ただし、重症者数の内訳では40代〜50代が6割を占めている。

高齢者に対するワクチンの接種が進んだことで、感染者数に対する重症者数の割合は少ないものの、20代などに比べてリスクが高く、ワクチン未接種者も多い40代〜50代の感染が広がれば、その分医療は圧迫される。

なお、既往症として糖尿病や高血圧、気管支喘息、喫煙歴、肥満(BMIが30以上)の人はどの年代であっても重症化リスクは高いとされている。

3.重症化リスクの高い年代の夜間滞留人口が多い

夜間滞留人口

年代別に見た、東京都の繁華街における夜間滞留人口。年代別に見ると、夜の早い時間帯では重症化しやすい年代の滞留人口が多い。

出典:東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議資料(令和3年8月12日)

東京都内の繁華街における年代別の夜の滞留率を見ると、現状の重症者の大半を占める中高年が高い割合を占めている。

午後10時〜午前0時の深夜帯には、15歳〜39歳と40歳〜64歳の人口がほぼ同じ割合になるものの、午後6時〜午後8時の時間帯には中高年代の方が16%も高い。

感染拡大を防ぐという意味では、年代に限らず人との接触を少なくすることが求められている状況ではあるが、若い世代がスケープゴートにされがちな中で、医療提供体制のひっ迫に直結する重症化しやすい年代の協力が求められているとも言えるだろう。

4.東京都の感染、デルタ株が8割超

デルタ

デルタ株の割合はすでに8割を上回っている。

出典:東京都知事記者会見資料

感染力が従来のウイルスに比べて1.5倍ほど強いとされているデルタ株。

東京都では、すでに陽性者の8割以上がデルタ株に置き換わっている状況だ。

新型コロナウイルス感染症対策分科会の資料によると、デルタ株が主体になったとしても、感染拡大リスクが高い場面は依然として以下の場面だとしている。

  1. 普段から一緒にいない人(同居家族以外等)との飲食や会合。
  2. 長時間・大人数が集まる場面。
  3. 混雑した場所及び時間帯。
  4. 休憩室や喫煙所、更衣室でのマスクを外した会話。

ただし、感染力の高まりに伴い、これまではクラスターが発生していなかった場所でも、クラスターが発生しつつある状況が見えてきている。

12日に開かれた政府分科会の尾身茂会長の記者会見では、百貨店などの地下食品売り場(いわゆるデパ地下)での感染が目立つとして、人出を抑制する必要があると訴えた。

なお、13日の都の記者会見において、小池都知事は事業者に対してテレワークのさらなる実施やソーシャルディスタンスを1.2メートルから1.8メートルに拡大すること、さらに百貨店などの商業施設における滞留時間をできるだけ減少させるよう依頼する方針を語った。

ただし、営業の制限に対する追加の協力金の有無などについては、

「施設の方との協力ということで進めているところでございます。事業者のみなさまにおかれましては、それらをしっかりと守っていくということも、コンプライアンス上必要な対策としてお取りになるのではないかと思います」(小池都知事)

とした。

なお、13日の会見では、救急搬送の受け入れ先が見つからない場合に患者を搬送する「搬送困難対応入院待機ステーション」の新設や、宿泊療養施設の確保(16施設、約6200室)、一部の宿泊療養施設での抗体カクテル療法実施に向けた体制整備を進めていくことを報告。

加えて、医療機関や宿泊施設の役割の明確化も進めていくとしている。

(文・三ツ村崇志

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